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003 [アドラー心理学] 自己肯定感、自尊心、そして劣等感

先日のエクステンションセンター「アドラー心理学入門」で「自己肯定感が低い」あるいは「自尊心が低い」ということで悩んでいる人が何人かいました。今回は、アドラー心理学から見た、自己肯定感、自尊心とはどういうことかを、劣等感という概念をからめて考えてみたいと思います。

・国際的に見ても日本人は自己肯定感が低い

国際比較によると(平成26年版子ども・若者白書)、日本では「自分自身に満足している」や「自分には長所がある」といった質問に対する肯定的な回答の割合が小さくなっています。

https://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/h26gaiyou/tokushu.html

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この現象には、日本では謙虚さや控えめが美徳であるという伝統が影響していることもあるでしょう。しかし、謙虚であってもそういう自分に満足しているということはあり得るはずですから、自分自身に満足していると答える割合が低いという現象を説明するには弱いと考えられます。これはそのまま自分自身を肯定的に考えている人の割合が少ないと見た方が良さそうです。

・自尊心はどのように作られるか

私たちは自分自身を何らかの基準で評価していて、それが自分自身に対する肯定的な態度を形成していると考えられるからです。この態度を「自尊心 Self-esteem」と呼びます。

自尊心は3つの方法で作られます。1つ目は、他者との比較です。私たちは、ある基準で自分と他者とを比較します。そして自分が比較した相手と同等、あるいは優っていれば、安心していられます。たとえば「私はあの人よりも、頭がいい/学歴がある/美しい/スタイルがいい/健康だ/スポーツができる/お金を持っている/階級が上だ/気前が良い/やさしい/気がきく/友人が多い/影響力を持っている/地位が高い……」というようなことを確認すると自尊心が維持されます。そうでないと自尊心が脅かされます。

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