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小説「双校の剣、戦禍の盾、神託の命。」

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声プラが贈る、小説と音声ドラマによって紡がれていくファンタジー作品 ~あらすじ~ その国の名はシュバルトメイオンと呼ばれていた。  国内には東西に分かれた学園があり、互いに競い…
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#声プラ

75 仄かな香り

「ありがとう。助かったわ」  そう言ってティルスはゆっくりと鞘へと剣を納めた。 「これほ…

30 魔女信奉者

【最後に今回の模擬戦闘の勝利条件を通達しておく____条件は、相手の四肢のいずれか三か所…

29 国からの通達書面

 メルティナが生徒会に入ってから程なく、東部学園都市にいる生徒達にとって特別な機会である…

18 東西戦の存在意義

「今後、お前たちに課せられる学内での通常の模擬戦闘というのは個人同士の戦だ。これまでの歴…

17 魔法・魔術・魔導と呼ばれるモノ

 失われた過程には諸説あるが、魔法・魔術・魔導と呼ばれる技法・技術は遠い過去のものとなっ…

16 暗躍する者達

 シュレイドが立ち去った食堂の隅に生徒の少人数集団が立って一部始終を眺めていた。おおよそ…

14 テラフォール流剣術 対槍の章

「はああああああっ!!!!」  エナリアの槍がシュレイドの目線の高さで真っすぐに繰り出されていく。  視点、視線の中心を目掛けて突き出された槍の軌道が真っすぐであればあるほど、相手は距離感を狂わせる。 「くっ、これも避けますの!?」  彼女の表情が僅かに曇った。初撃で相手のペースを崩す際に用いるエナリアの得意な立ち上がりでの速い一突きは空を切る。シュレイドは無駄のない動きで距離を取り一呼吸する。  エナリアはすぐさま追撃の動作に入り、二突目の突きを構えた。 「テラフォ

7 最初の洗礼(?)

 翌日からは全新入生達の日常に基礎体力作りという名の過酷な授業の時間が始まっていた。地獄…

6 学園で過ごす者達

 日が落ちる前くらいにシュレイドは自分の部屋である場所へとたどり着いた。入学した生徒達は…

5 学園内区画

 この学園の生徒たちはこの学園内に住む形で生活拠点として過ごしている。基本的には学外に出…

4 頂に登りし者

 生徒たちに様々な事を教えていく大勢の先生のうちの一人が先ほど退室していった女性。  彼…

3 ある存在、ない存在

「ではこの騎士の話について気になる点はあるか?」 「……双校制度自体が生まれたのは確かま…

2 東西の学園と騎士

 彼らが過ごす学園というのは、この国、シュバルトメイオンが誇る由緒ある学園のことである。…

1 終始の瞳

 横薙ぎに左腕を払ったその刹那。  僅かに遅れて風を切る音が聞こえてくると共に握り締めた剣が目の前を通り過ぎていく。剣の切っ先が相手に触れ、肌の表層からその奥へと剣が入り込む。骨に当たる衝撃が腕に伝わり、その瞬間、目の前の人物を切り飛ばしていた。  雨のような飛沫を上げて散る鮮血と涙、そして相手の身体が空の青に吸い込まれるように綺麗な弧を描き宙を舞ってゆく。  相手と視線が交差した瞬間、瞳に映りこんできた彼女の表情をみた青年の呼吸は、一瞬、止まった。  ――世界の時間が