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「つなげるデザイン」—NTT Designer Meetup 2024イベントレポート

こんにちは、KOEL 新入社員の高橋と明石です。
NTTグループのデザイナーが集うイベント、『NTT Designer Meetup 2024』が2024年6月14日(金)に開催されました。今回は、そのイベントの様子をお伝えしていこうと思います。

今年度もNTTコミュニケーションズの事業共創の場である「OPEN HUB Park(オープンハブパーク)」にて開催され、NTT東日本の配信部隊「V-TECHX」にライブ配信をご協力いただいた
今年度の司会は、KOELの金 智之さんと山本 陽一さんの2人体制で進めた

2022年2023年に続き、第三回目の開催である今回のテーマは「つなげるデザイン〜事業、組織、社会をどうつなげるか?~」です。
NTTグループは、通信を超えて幅広い領域で事業を展開し社会を支えています。その中で、”デザインはどのような役割を果たせば良いのか?”を改めて考え、NTTグループに必要なデザインの視点を見出すことを目指しました。

今回の開催テーマは「つなげるデザイン〜事業、組織、社会をどうつなげるか?~」

昨年度同様、NTTグループを中心としたデザイン実践者の方々に実際の活動事例をお話しいただきました。さらに今年の基調講演では武蔵野美術大学の岩嵜先生に「デザインで未来の社会をつくる」をテーマに講演いただきました。ここからは各プログラムについてご紹介していきます。

NTT Designer Meetup 2024のタイムテーブル

OPENING REMARKS:NTT持株会社 島田代表取締役社長「時代をつないでいく」

オープニングのご挨拶は、NTT持株会社 島田 明代表取締役社長にお願いしました。昨年度に引き続きデザインを通じたCX(カスタマーエクスペリエンス)向上の重要性についてお話いただきました。またイベントテーマである「つなげるデザイン」から古今和歌集など1000年前に書かれた古筆を例に挙げ、”デジタル時代でも文化をつなぎ、長い時代をどうやってつないでいくかデザイナーとして考えてほしい”と、人の心を動かし次世代へ想いを伝えることができるデザインの力について語っていただきました。

NTT持株会社 島田 明代表取締役社長

NTTグループ内でのデザインの実践例を共有するSESSION & LIGHTNING TALK SESSION

1つ目のセッションはNTTコミュニケーションズ デザインスタジオKOELの高見 逸平さんにご登壇いただきました。「『データ×デザイン』地域の主体者の意思で実現する観光DX」をテーマに、デザインの観点からデータの活用方法や、地域の方々に当事者として主体的に参画していただくための取り組みについてご紹介いただきました。

NTTコミュニケーションズ デザインスタジオKOEL 高見 逸平さん

2つ目のセッションでは、NTT東日本の鈴木 巧さんにご登壇いただきました。「地域と共に、一緒に体感しながら作る防災・防犯・見守り『シン・オートコール』についてご紹介いただき、デジタルを用いた「古くて新しい取り組み」を地域の方々と現地で一緒につくることの意義についてお話しいただきました。

NTT東日本 鈴木 巧さん

3つ目のセッションでは、「QUINTBRIDGEにおける共創の場のデザイン(理念への共感で人が集う)」をテーマに、NTT西日本 技術革新部 イノベーション戦略室の浮田 昭夫さんにご登壇いただきました。NTT西日本のオープンイノベーション施設で取り組まれている新規事業創出への貢献や企業ブランディング活動等のご紹介をいただき、事業共創を生みだす場の方針がどのようであるべきか発表いただきました。

NTT西日本 技術革新部 イノベーション戦略室 浮田 昭夫さん

NTTデータ Tangityの田中 真生さんからは、「サステナビリティを加速するデザインアプローチ」をテーマに、企業の温室効果ガス排出量を可視化するソリューションのデザイン支援事例をご紹介いただきました。著名な専門家を交えた国内外のトレンドリサーチや、様々な業界のサステナビリティ担当者へのインタビュー、それらから導くコンセプトの3つのフェーズについて、作成されたモックの説明を交えつつお話しいただきました。

NTTデータ Tangity 田中 真生さん

LIGHTNING TALK

また、多種多様な事例を共有していくライトニングトークも実施しました。

NTT 研究開発マーケティング本部の村上 圭一さんからはグループ各社のCX向上に向けて実施している様々な施策についてご紹介いただきました。

NTT 研究開発マーケティング本部 村上 圭一さん

NTTコムウェアの高崎 咲耶子さんからは、デザイン組織「KAIKA」の立ち上げについてビジョンや取り組みと共にご説明いただき、同じくNTTコムウェアの森田 ちかさんからは、デザインシンキングを実践するワークショップとその効果について共有いただきました。

(左)NTTコムウェア(KAIKA) 高崎 咲耶子さん
(右)NTTコムウェア 森田 ちかさん

NTTドコモ スマートライフカンパニー 第一プロダクトデザイン部の上野美紗さんからは、CX向上を支える社内データ分析ツールのUX向上プロジェクトについて、改善策とその具体的効果を共有いただきました。

NTTドコモ スマートライフカンパニー 第一プロダクトデザイン部 上野 美紗さん

NTTテクノクロス 営業推進部 こころを動かすデザイン室の鈴木 雅貴さん、原田 保さんからは、UX向上に向けたアクセシビリティ、インクルーシブデザインの重要性と、それらの観点をもとにした「身近な実践事例」をお話しいただきました。

(左)NTTテクノクロス 営業推進部 こころを動かすデザイン室 原田 保さん
(右)NTTテクノクロス 営業推進部 こころを動かすデザイン室 鈴木 雅貴さん

NTT社会情報研究所 Well-being研究プロジェクトの齋藤 俊英さんからは、近年注目されている「Well-beingな生き方」を自分ごと化して表現できるコミュニケーション支援ツールと、その活用事例についてご紹介いただきました。

NTT社会情報研究所 Well-being研究プロジェクト 齋藤 俊英さん

武蔵野美術大学クリエイティブイノベーション学科、岩嵜教授によるKEYNOTE:デザインで未来の社会をつくる

本イベントの基調講演として最後にご登壇いただいたのは、武蔵野美術大学 クリエイティブイノベーション学科教授でビジネスデザイナーとしてご活躍されている岩嵜 博論さん。
複雑化した社会における「やっかいな問題」に対し、「課題解決や機会創出のための創造的な方法論」として、デザインの可能性を語っていただきました。

武蔵野美術大学 クリエイティブイノベーション学科岩嵜 博論教授

大きな変動が起こっている自動車業界や新型コロナウィルスのパンデミックなどの「やっかいな問題(Wicked Problem)」を例に挙げ、その複雑さに向き合うのがデザインの役割。さらにデザインの本質は形を作ることではなく、さらには課題解決だけでもなく、機会創出にあるとお話しされた岩嵜さん。
米国ではデザインの考え方やプロセスがブレイクダウンされ、体系化した具体的方法論としてさまざまな領域で活用されていることに衝撃を受けたといいます。
そんなご自身の経験から、デザインとビジネスをつなぐ名著を紹介した『デザインとビジネス 創造性を仕事に活かすためのブックガイド』執筆など、様々な人が使えるツールとしてビジネスの現場でもデザインを民主化していく活動をされていらっしゃいます。
「デザインが発揮する創造性は特別な人だけのものではなく、多くの人に拓かれたものである」とのお言葉には、デザインを取り入れてみようかな?と心を動かされたノンデザイナーの方も多かったのではないでしょうか。

続いて、複雑な課題に向き合っていくためのデザインの構成要素(共感:エンパシー、統合:シンセシス、試行:プロトタイプ)を踏まえ、その実践事例についてご紹介いただきました。
「共感」は単純に人の情報を受け取るのではなく情報を受け取った自分自身が変える営み、「統合」は複数の要素を掛け合わせて創造する力、「試行」は身近なものから手軽にプロトタイピングをしていく姿勢。この3つをデザインの重要な構成要素だとご説明いただきました。そしてケーススタディとして、株式会社エムスクエア・ラボの『やさいバス』という、地域で生鮮品の流通を支援するサービスをデザインで支援したお話をご紹介いただきました。

フィールドワーク型の調査でユーザの気持ちになって考えてみる。混沌とした要素を試行錯誤しながら掛け合わせ、図として整理し可視化することで課題点を浮かび上がらせる。ラフなプロトタイプから確認と修正を繰り返し、だんだん精度を高めていく。基調講演を通じ、「複雑さ」と向き合うデザインプロセスを改めて理解する機会をいただけたと思います。

組織の枠組みを超え、ひと、事業、社会を「つなげる」デザインへ

NTTグループ各社で草の根的に始まり、現在は組織的な活動へと大きく広がりを見せているデザイン活動。デザインを日々の業務に地道に取り入れ実践されている方々や、既にデザインに興味を抱かれていた方々にとっても、NTT Designer Meetup 2024は「つながるきっかけの場、後押し」になったのではないかと思います。またデザイナーでない方々にも、デザインがもたらす力を、多様な事例から実感いただけた時間になっていれば嬉しいです。
事業や組織の枠組みを超え、NTTグループが持つ幅広いアセットをつなげていく。今後もイベントなどの活動を通じて、NTTグループでのデザインの可能性を広げる取り組み——つなげるデザイン——を実践していきたいですね。

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