見出し画像

非常時の対応で「避けてほしい」こと

この記事は2,021文字あります。個人差はありますが、3分〜5分でお読みいただけます。

今日はnoteの連続更新88日目です。noteのほかに、Voicy(音声配信)もしておりますので、併せてご活用いただけると理解しやすいと思います。また、noteの通知をオンにしていただけると記事が更新するたびに通知がいきますので、フォロー、スキ、シェアと合わせて通知オンもしていただけると嬉しいです。

昨日は、非常時の支援の原則について話をさせて頂きました。

今日は、その中で話しきれなかった「避けてほしい対応」です。どうぞお付き合いください。


日常を送ることも大切

お正月からショッキングなできごとが増え、それによる混乱や不安が生じていると思います。こうした時に、自分はいつも通りのこと、楽しみをしていいんだろうか?と悩まれる方々もおられます。

だけれども、そこは引っ張られすぎずに、いつも通りの活動をすることも大切です。自粛しすぎてしまうことで、自身のメンタルの問題が出てしまうこともありますし、いつも通りの活動をすることが、「心配していない」ということにもなりません。むしろ、何らかのサポートをしたいと思うのであれば、自分達が心身ともに健康でいることが、まずは大事になります。

それぞれの考え方があるとは思いますけれども、日常生活を送ることも意識してもらえるといいかなと思っています。

「避けてほしいこと」

非常時・災害時には予想外の事態になり、これまでとは違う生活を余儀なくされます。そして、「いつになったら元の生活に戻れるのだろう?」と不安になります。同時に、過度な刺激(例えば、繰り返しのショッキングな報道)が増えて、適度な刺激(例えば、いつもの遊び)が減ります。その結果、子どもであっても、大人であってもさまざまな影響が出てきます。

いつもと違う行動をとるようになったり、いつもしていた行動をしなくなったり。でも、これらは当たり前の反応です。強い混乱と不安に襲われて、長期に続けば続くほど人の行動、メンタルが変わってきます。

そうした時に、段階的なケアモデルというのがあって、その中では最初に必要なのは、「治療ではなくて情報」と言われています。情報といっても色々あります。どこに避難するのか、どこで食べ物が手に入るのか、どこが安全なのか等の生きるために必要な情報です。

次に大事なことは、専門用語になりますが、「サイコロジカル・ファーストエイド」という考え方になります。例えば、以下のようなものがあります。

・被災者の方々の精神的苦痛を悪化させないように配慮して支援にあたる
・控えめに関与すること(いきなり介入しようとするのではなくて、穏やかに見守ることから)
・傾聴するけれども、無理に話をさせ過ぎないという態度
・水や食料など生活上の基本的なニーズを満たす手助けをする
・家族などの大切な人と連絡を取るのを助ける

特別な治療をするのではなくて、今の状態を受け止めて、生活していくために必要なサポートが大事だという態度のことです。

これも専門用語になりますが、「心理的デブリーフィング」という療法があります。これは、つらい出来事や自分の思いなどを被災直後に積極的に語るよう被災者に求める手法です。だけれども、これは、被災者をかえって傷つけるなどの大きな問題があります。

「心のケア」という名前で専門家たちがすることもありますが、かえって逆効果なこともあります。むしろ、サイコロジカル・ファーストエイドの考え方でも話をしたように、控えめに、穏やかに関わる、傾聴するけれども無理に話はさせないことが大切です。

当時の絵を描かせたり、作文を書かせたりなどは、専門家と言われる人たちが推奨することがあります。でも、それはマイナスな影響もあること、トラウマ体験になりうるできごとを思い出させるきっかけにもなります。

ですから、子どもであっても、大人であっても、
・そうした体験を無理に思い出させようとしない
・無理に絵を描かせたり、作文を書かせたりしない
・無理に聞き出すことは傷口を広げる可能性がある

ということを理解しておく必要があります。

もちろん「話すことでスッキリする」「不安が軽減される」という人たちもいます。確かに、それはそうかもしれませんが、「内容やタイミングによる」とぼくは思います。

今回のように大きなショッキングなできごとの直後は逆効果である可能性の方が高いかもしれません。

サイコロジカル・ファーストエイドの考え方にもあるように、早急に何とかすることを考え過ぎるのではなくて、長期で考えていくことが重要だと思います。特に、急性期(ものごとが生じた直後)には、メンタルのケアも大事ですが、それ以上に今の状況で必要な情報、必要な物資の支援の方が必要だろうと思います。

補足はVoicyの配信をお聴き頂ければと思いますので、宜しければVoicyの方も応援していただければと思います!

佐々木康栄

災害時に役立つさまざまな情報

被災地で、発達障害児・者に対応されるみなさんへ(国立障害者リハビリテーションセンター)

防災・支援ハンドブック(日本自閉症協会)

災害時、発達障害の子どもの支援についての医療関係者へのお願い(内山登紀夫先生)

その他お知らせ

オンラインサロン「みんなで考える発達障害支援」

クラウドファンディング

▼9月に大阪にて講演会をさせて頂いた「一般社団法人泉大津・発達支援勉強会Lien」さんが、「大阪府泉大津市、及び、泉州地域である近隣市町村一帯が、発達障がいや多様な子どもたちにとってより過ごしやすい地域に」を目指して、クラウドファンディングをされています。特に、4月2日の世界自閉症啓発デーでは、世界中がブルーライトアップされます。これは色々な人に目を向けてもらうための活動でもある一方で、それだけ予算がかかります。

そのため、どの地域でもできるわけではありません。今回、泉大津市内のブルーライトアップをしたい!という想いを叶えるためのクラウドファンディングです。目標金額は220万円です。ちなみに、これは行政と一緒に取り組んでいるものなので、「ふるさと納税」として寄付ができます。

ぼくも応援メッセージを出させて頂いています。どうか皆さんも応援していただけないでしょうか。

皆さんの応援が力になり、その力が地域を進める行動になり、その行動が当事者やご家族の未来になります。

一緒に地域の未来を変えるお手伝いをしてくれませんか?

セミナー情報

▼TEACCHプログラム研究会 第16回実践研究大会 in 東北・東京・熊本・鹿児島 「共に学び 成長する 熱い冬」

ぼくは仙台会場にいって、一丁前にコメンテーターというのをさせて頂きます!翌日にはTEACCHプログラム研究会東北支部主催でイベント「自閉症支援の未来会議 in 仙台」も開催しますので、2月10日(土)、11日(日)はご予定の確保をお願いします!

▼会員限定動画▼

これまで、会員の皆さんには限定のコラムや動画を配信してきました。現在下記のような動画を配信中です。閲覧にはパスコードが必要です。何度かメールでご案内しておりますが、もし会員の方で「パスコードがわからない!」という方はteacch.tohoku@gmail.comまでご連絡ください。

▼会員限定コンテンツ▼

現在、会員限定の質問フォームを設けています。匿名にしようかとも思ったのですが、会員の方からのご質問であることを確認するためにお名前のご記入をお願いしたいと思います。ご質問については、全てにお返事できるわけではなく、会員の皆さん全体にとって有益だろうと思うものを中心に取り上げて、限定コラムなどで書いていきたいと思います。

▼その他▼

ここに記載した以外にも、東北支部ではさまざまな取り組みを今後もしていきます。会員の皆さんには、「今こんなことを考えています」というのもお届けしますのでお楽しみに。公式LINEもあり、会員以外の方もぜひご登録ください!定期的に情報発信していく予定ですので、「TEACCHって何だろう?」「興味はあるんだけれども、どんな活動をしているんだろう?」という方はぜひご登録ください!

SNS

▼Voicy

▼stand.fm

▼X

https://twitter.com/KoeiSasaki

▼Instagram

https://www.instagram.com/koei.sasaki/

▼Facebook

https://www.facebook.com/koei.sasaki.5


この記事が参加している募集

#多様性を考える

28,107件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?