【SDGs こども 本だな 3】 学ぶことの大切さを伝える。
SDGs17の目標にまつわる絵本・児童書を並べていく「SDGsこども本だな」。今回のprat3は、目標4「質の高い教育をみんなに」に向けた本をご紹介いたします。
17の目標のうち今回の「教育」は、テーマである「こどもとSDGs」を考える上で切っても切れないテーマです。世界中のだれもが平等に教育を受ける権利があること、そして正に今子どもたち自身に必要であること、今この瞬間が大切であること、これらを伝えるのに今回紹介する2冊の本が少しでも役に立てばと思っております。
たいせつなこと
文/マーガレット・ワイズ・ブラウン
絵/レナード ワイスガード
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雨にとって、スプーンにとって、そらにとって、大切なものは何なのか、理由はいたってシンプル。そのまま、ありのままで良い事。
「あめにとって たいせつなことは うるおすこと」
「スプーンにとって たいせつなことは それを つかうと じょうずに たべられるということ」
「そらにとって たいせつなことは いつもそこにあるということ」
と、いくつもの大切なことがあげられた最後に、あなたにとってたいせつなことは…という一節。
「これからあらゆることをあじわって おおきな おとなのひとや おんなのひとに なるのでしょう でも大切なのはあたながあなたであること。」と締めくくられます。
これから大人になるまでにあらゆる事を学び一歩一歩進んで行く子ども達に、迷いや悩み、苦しみなどいくつもの壁が立ちはだかっても、自分が自分自身でいる事、着飾る必要はない、ありのままの自分で良いんだよ、と伝えてくれる1冊です。
学び進んで行く上での不安や戸惑いを無くして、前に進む子どもたちの背中をそっと押してあげる、そんな1冊ではないでしょうか。
「教育」を大人からの目線ではなく、子どもの立場になって考えた時、それは「学ぶ」という事だと思います。常に子どもたちは大人が発信する「教育」を受ける側に立っています。そんな時、「学ぶ」ことに対して、前向きに考えられること、不安にさせないこと、それが大人にとって重要な役割なのではないでしょうか。
子どもが大人になる過程で切ってもきれない「教育」の大切さを子どもだけではない、大人にも深く考えさせられる1冊です。
木をかこう
文/ブルーノ・ムナーリ
訳/須賀敦子
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グラフィックデザイナー、プロダクトデザイナー、絵本作家そして教育者の顔も持っていたブルーノ・ムナーリ。そんなムナーリが、タイトル通りまさに木の描き方を解説してくれる1冊です。
どんな木にもひとつの規則がある。それは「先に向かって枝が分かれるたびに細くなる」ということ。高い木でも、細長い木でも、こんもりした木でもみんなこの法則に則っている。
この規則さえ守れば、あとは自由に描けばいい、表現の幅をどんどん広げていけばいいと、伝えてくれます。
木を一つとってみても、いろいろな捉え方や描き方があると、それぞれの違いが描かれていることでよく伝わってきます。
同じようなタイプの木でも枝振り、幹の太さ、葉の生え方や形、それぞれに特徴があることを知らされます。
例えば、カシワの葉脈はよく見ると、カシワの木と同じ形をしている。葉脈を写して、これに葉をいっぱいつけると、また1本のカシワの木ができるという。小さく細かいものから、一歩引いて大きな全体へと目線を広げて見るという観察する事の大切さや、その新しい発見へのワクワクを感じさせる一節です。
木を描く上で大切なこととは、規則というあるポイントさえ守れば、あとは表現の幅を自由に広げて描いていけばよいこと。
じっくり近づいて見たり、大きく引いて見たり、色んな角度から観察すること。そんなことを教えてくれる1冊です。
1冊を通してただ上手な木の描き方を教えるだけではなく、想像力や表現力、観察力が「学び」にとって大切なんだと感じさせる1冊です。
「教育」を考える上で、方法を教えるだけではなく、「感じる力」「表現する力」「見る力」そんな力を養う事が重要なんだと知らされた1冊です。
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