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中央集権症候群

症状

権限委譲していない
判断やクオリティ基準を提示・合意していない
決まったことだけを指示・通達している
メンバーに自分で考えさ、判断させていない。指示・管理しかせず、任せていない
いちいち確認しなければ気が済まない

症状の概要と症状が招く結果

現場で判断・決定させず、報告だけさせてすべて自分が行おうとすれば、プロジェクトのスピードは遅くなります。自分自身が見聞きせず触れていない情報は、判断を誤る可能性があります。自分一人の認知能力には限りがあります。疲労が蓄積すれば集中力が低下し、忙しくて余裕がなくなってくると、次々と舞い込んでくる仕事に対して深く考えずに処理していくようになるか、長い時間考えても整理がつかず、自分の判断待ちという状況をつくってしまいます。
なぜ現場で判断・決定させないのか?「うちのメンバーには判断する力がない」というマネージャー・リーダーは間違っています。現場は権限を委譲されていない限り決定できません。基準はマネージャー・リーダーが自分だけで決めて現場に押しつけるのではなく、メンバーと合意していなければなりません。その基準なくしてメンバーは判断できません。権限と基準はどちらが欠けても成り立ちません。セットで渡す必要があります。ささいな指示、確認をメンバーに求めるのも、プロジェクトのスピードとメンバーの士気を低下させます。

問題の全体像

中央集権症候群

随伴症状

メンバーに指示した作業が自分のイメージや求めるクオリティとズレる

本症候群が原因となって発生・強化される症状、症候群

コミュニケーション不全症候群
フォロワーシップ不全症候群
後天性蛇足・転変症候群

原因

プロジェクトマネジメント経験不足
抱え込み症候群

予防のためのお勧め図書

抄訳マネジメント―課題・責任・実践
過度な中央集権的マネジメントが、いかにメンバーの働きがいを奪い、責任を放棄させ、人間や組織を麻痺させてしまうかということ。メンバーとのコミュニケーションを成立させるための言葉の使い方、情報の量の調整や経験の共有の必要などを学ぶことができます。本書は各章の扉に章ごとのポイントを図解しており、読みやすくなっています。

用兵思想史入門
メンバーに権限を渡した結果、各人がてんでバラバラに行動したり、間違った判断をしてしまっては元も子もない―。そう思って分権に踏み出せないマネージャーの参考になる「ドクトリン」「委任戦術」といった、分権指揮で成功を収めた戦史の事例と方法を解説。直接戦場を見て、すぐ傍でメンバーに指示を与えることのできないプロジェクトマネジメントで、大いに参考になります。

決断の本質 プロセス志向の意思決定マネジメント
人は、自分に情報提供の機会がほとんどなかった計画を実行せよと言われても、なかなか乗り気になれません。実行面で主役となる人たちに意思決定プロセスでの発言の機会を与えれば、「この計画は自分たちのものだ」という感情が生まれます。自分たちの決定ということになれば、実行のプロセスで通常の力量以上の努力をする可能性が生まれます。そうなるための方法とプロセスを具体的に解説しています。フォロワーシップ不全症候群にも。

考える力はこうしてつける

これまでの「教師は生徒に教え込まなければいけない」という思い込みを解き放ち、生徒自らが考えられるようにするための方法が満載です。教師-生徒関係は、マネージャー(上司)-メンバー(スタッフ、部下)関係に置き換えることができます。本書で紹介されている「ポートフォリオづくり」、ポートフォリオづくりを通じた評価基準づくりは、メンバーが自ら考えるようになるだけでなく、メンバーを評価する材料・土台としても有用です。

その他の問題症候群はこちらからご覧ください。


未知なる目標に向かっていくプロジェクトを、興して、進めて、振り返っていく力を、子どもと大人に養うべく活動しています。プ譜を使ったワークショップ情報やプロジェクトについてのよもやま話を書いていきます。よろしくお願いします。