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後天性蛇足・転変症候群

症状

大事なこと・複雑な事情が、後からわかる
追加作業、仕様変更・修正が相次ぐ
上司やクライアントからやり直しを度々求められる

症状の概要と症状が招く結果

コスト超過、遅延、品質不足など「プロジェクトの死」に至る手前の症状は、そこに至るまでのあいまいな計画や分断されたチームによって引き起こされています。ツール導入担当者が現場の生の声を聞いていないために、あとから必要な機能がわかってしまった。クオリティの基準を共有していなかったから、あがってきたものに満足がいかなかったり、これで満足していいのかわからず、何度もやり直しを命じてしまう。成功の定義とそのためのあるべき状態の優先順位がついていない、途中で思いついたものを追加するだけして、他のものを除いたり諦めたりできない。症状のほとんどは自分が蒔いた種によるものです。
ただし、当初の計画からの変更が絶対悪ということではありません。未知のプロジェクトでは計画の変更はつきものです。どのような変更を受け容れ、残された資源で全体のバランスを整えるのかが問われるのです。

問題の全体像

後天性蛇足・転変症候群

随伴症状

手戻り発生

本症候群が原因となって発生・強化される症状、症候群

プロジェクトの死

原因

アパルトヘイト症候群
あいまい・多義性症候群
中央集権症候群抱え込み症候群
変化への対応など意思決定のプロセスを記録・共有していない

予防のためのお勧め図書

アジャイルサムライ−達人開発者への道−
プロジェクトでは計画の変更、使用の追加などは日常茶飯事ですが、これを際限なく受け付けるわけにはいきません。本書では、新しく機能などを追加する場合、どれか既存の機能や変更のために要する時間に同等するものを削るといった対処方法を知ることができます。またこのようなルールをクライアントと共有することで、際限のない追加・変更を予防することができます。

クリエイティブ・ラーニング:創造社会の学びと教育
クリエイティブラーニングとはつくるなかで学びを深める学び方。その過程では一発で正しい答えを出すことよりも、問題を発見して解決し、つくり直し、改善していくことが重視されます。バグ(bug)を取り除く(de-)「デバッグ」の思想をプロジェクトに組み入れて計画・進行していくヒントを得ることができます。

レッジョ・エミリアと対話しながら:知の紡ぎ手たちの町と学校
本書で紹介されている「ドキュメンテーション」は、子どもたちの学習過程を、意味の探究を、知識の構成方法を、目で見えるものにしてくれるものです。この手法は、プロジェクトの複雑さを汲みとり、定型的であったり不定型であったりする複数の動きをよく記述し、変化を活かす視点を与えてくれる方法です。

プロジェクトのトラブル解決大全 小さな問題から大炎上まで使える「プロの火消し術86」
予防していても問題は起きてしまうもの。読まないにこしたことはありませんが、問題が起きたときに使えるテクニックが学べます。(もちろん、読んでおくことで「こんなことに気をつけておくといいんだな」という事前の心構えや体制づくり、進め方の予防になります)

その他の問題症候群はこちらからご覧ください。


未知なる目標に向かっていくプロジェクトを、興して、進めて、振り返っていく力を、子どもと大人に養うべく活動しています。プ譜を使ったワークショップ情報やプロジェクトについてのよもやま話を書いていきます。よろしくお願いします。