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あいまい・多義性症候群

症状

成功の定義が決まってない
オーナーの意図・指示があいまい。テーマだけを現場に適当に投げている
意思決定・判断基準がない。指標と測定方法が未定
色んな人の意見ややりたいことを盛り込みすぎている
どこまで展望しているかかわからない(範囲が決まってない)
アウトカム、アウトプットの因果関係がよくわからない

症状の概要と症状が招く結果

あいまいさは成功の定義や判断基準、視程・範囲(どこまで展望しどこまでやるか?)が明確に規定できていない状況を意味します。多義性は一つのものごとに対し複数の解釈が存在することを意味します。
目標はあるのに「それがどうなったら成功と言えるか?」という成功の定義を決めていない、或いは決められていないと、目標と目標実現のために行う行動の不一致、不整合が起きます。成功のイメージが多義的なままだと、メンバー間で認識の食い違いが起き、いざ成果物ができあがってきたときに「思っていたのと違う」という結果を招き、手戻りを生み、時間を浪費してしまいます。判断基準のあいまいさは、意思決定のスピードを遅らせます。ステークホルダーから意見を募るのは良いことですが、集めるだけ集めて、あれもこれもやりたいという八方美人な計画にしてしまっては、限られた時間と資源で行うプロジェクトの成功は望むべくもありません。

問題の全体像

あいまい・多義性症候群

随伴症状

情報収集・計画が終わらない
手段が目的化してしまう
KPIだけが先行して、具体的なKPI実現の方法が未定
間違ったKPIを設定してしまう
筋のいい仮説を立てられない。豊かな選択肢を出せない

本症候群が原因となって発生・強化される症状、症候群

アパルトヘイト症候群(縦割り・分業症候群との合併症にも注意。情報が偏在する。正しい情報が伝わらなくなる。間違った情報にもとづく意思決定などの問題を生む)
情報コスト高症候群
後天性蛇足・転変症候群

原因

取り組む問題を誤っている
プロジェクトの仮説・全体像・関係性・状況・過程を表現・対話・記録・更新・共有する認知コストが高い

予防のためのお勧め図書

天地創造デザイン部
世界と人間を創造した神様が、面倒になって動植物は人間に外注するというお話。「すごく高い所にある葉っぱを食べる動物」というふわっとした要望に、デザイナーの好みや経験、要素間のつじつま合わせやトレードオフといったプロジェクトの設計に必要な思考を楽しく体験できます。

要求工学―プロセスと環境トラック
利用者がそのソフトウェアにどういったことを望んでいるか、どういった問題を解決したいかを把握して、ソフトウェアがもつべき機能や性能といったソフトウェア要求をまとめるためのノウハウがまとまっています。ソフトウェアの分野でなくとも、要求をまとめていくためのプロセスは参考になるものが多いです。

新しいリハビリテーション
あいまいさを過度に拒むことで、最初に立てた計画に固執してしまうことがあります。しかし、目的と手段と要素の組み合わせは必ずしも固定的なものではなく、実はかなりの柔軟性があります。このことをリハビリテーションの分野でわかりやすく説明してくれています。

その他の問題症候群はこちらからご覧ください。


未知なる目標に向かっていくプロジェクトを、興して、進めて、振り返っていく力を、子どもと大人に養うべく活動しています。プ譜を使ったワークショップ情報やプロジェクトについてのよもやま話を書いていきます。よろしくお願いします。