保育の学校に2年通わなくても目指せる!国家試験受験で保育士資格を取得するルートとは
「保育士」になるには、保育士になるための専門学校や短大に学校に通って、実習に行って・・・というルートを思いうかべる人が多いかもしれません。しかし、保育以外の専門学校卒、短大卒、大学卒の人も、「保育士国家試験」に合格することで保育士になれること、知っていますでしょうか?
実は案外知られていない「保育士国家試験」について簡単に解説します。
1.保育士国家試験の受験資格は?
まず、4年制大学に在学している方は、2年以上在学して62単位以上修得済みであれば、保育士と関係ない学部・学科でも受験資格があります。また、在学中の方も年度中に上記を満たす見込みの段階で受験可能です(年度内に満たさなかった場合は合格および一部合格になりません)。そのため、保育の学科に通っていなくても、最速で2年生終了時に保育士資格を得ることができます。なお、上記を満たして中退した方も受験資格があります。
短期大学卒業、2年制以上の専門学校を卒業した方は、保育士とは関係ない学科でも受験資格があります。なお、在学中の方も、年度内に卒業する見込みの段階で受験可能です(年度内に卒業できなかった場合は合格および一部合格にはなりません)。
その他、高校卒業の方も一定の条件を満たすと受験資格があります。詳細は、全国保育士養成協議会のホームページを確認してください。
2.試験科目(筆記試験)
筆記試験は以下の8科目です。
① 保育原理
② 教育原理及び社会的養護
③ 子ども家庭福祉
④ 社会福祉
⑤ 保育の心理学
⑥ 子どもの保健
⑦ 子どもの食と栄養
⑧ 保育実習理論
出題形式は、語群から正解を選択するマークシート方式で、20問ずつ出題されます。各科目で6割以上を得点すると合格になります(2は教育原理・社会的養護それぞれ10問出題のうち6割以上の得点が必要です)。
なお、介護福祉士・社会福祉士・精神保健福祉士をすでに取得している人は、子ども家庭福祉、社会的養護、社会福祉の受験は免除になります。
3.試験科目(実技試験)
実技試験は、筆記試験にすべて合格した後に受験します。内容は「保育実習実技」で、以下3つの課題のうち2つを事前に選択して受験します。
① 音楽に関する技術
幼児に歌って聴かせることを想定して、課題曲2曲を弾き歌いします。ピアノ、アコーステックギター、アコーディオンのいずれかを用いて演奏します。
② 造形に関する技術
保育の一場面を絵画で表現します。問題文で設定された一場面が試験当日に示されますので、鉛筆またはシャープペンシル、色鉛筆を用いて45分間で表現します。
③ 言語に関する技術
3 歳児クラスの子どもに「3分間のお話」をすることを想定し、事前に提示されたお話のうち1つを選択し、子どもが集中して聴けるようなお話を行います。
詳しい受験概要はこちらを確認してください。
4.保育士試験独自!合格科目の有効期限
社会福祉士や介護福祉士の試験は年1回、合計点が合格点に達したら合格です。もちろん、合格点に達しなかったら、翌年すべての科目を受験し直します。一方、保育士国家試験は、合格点に達した筆記試験科目は、3年間有効です。つまり、次回の筆記試験は、前回不合格だった科目に集中して学習が可能です。さらに、通常3年間の合格科目の有効期間を、対象施設において対象期間内に一定の勤務期間及び勤務時間、児童等の保護に従事した場合、最長5年まで延長できる制度もあります。
5.受験時期と準備
筆記試験は例年4月と10月、実技試験は7月と12月の2回です。受験申込はおおむね3カ月前になります。また令和5年の試験より、オンラインによる受験申請ができるようになりました。なお、受験資格を証明する書類などの準備が必要になりますので、余裕をもって準備することが大切です。
6.試験は通過点
保育士を取得することで、働くことのできる職場の選択肢を増やすことができます。しかし、「資格を取得している=即戦力で働くスキルがある」とは必ずしも限りません。試験に合格することはゴールではなく、学びの通過点です。
大切なのは、保育士養成校に通う場合も、試験で資格取得を目指す場合も、「資格を取得すること」のみ目的にするのではなく、学ぶプロセスにおいて、働くために最低限必要な資質をしっかり身につけることを意識することが大切です。また、資格を取得するまでの学習よりも、むしろ現場に出た後から学ぶことも多いところです。専門職の一員として、働き始めた後も「学び続けることの覚悟」を決めるとともに、その基盤となる知識・技術をしっかり習得することこそが、資格を取得する意義です。
参考:こどもソーシャルワーカー科で目指す保育士資格は
こどもソーシャルワーカー科では、在学中の国家試験受験で保育士取得にチャレンジすることで、保育士養成学科では2年かかる資格取得を最短1年で実現することを目指します。そのため、入学を目指すみなさんは、入学前から保育士試験の勉強に取りかかることで合格が一歩近づくことができます。また、授業は単なる試験対策だけでなく、実技や演習の授業を通して、保育士養成学科の学生と同様に、多様なこどもたちに関わっていく力を習得することができます。
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