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マネフォHRソリューションの価値を高めるデザインチームを大解剖

お金を前へ。人生をもっと前へ。すべての働く人のために、企業の様々なバックオフィス業務を効率化するマネーフォワード クラウド。会計・財務系ソリューションのイメージが強いと思われがちですが、実はHRソリューションも主力の業務領域です。

マネーフォワード クラウドのHRソリューションは、「正確性とスピードが求められる」「帳票書類が多く管理の手間がかかる」「管理するツールが増えミスや修正の負荷が高い」といった人事労務の課題をスムーズに解決します。

マネーフォワードのHRソリューション

この労務の課題に向き合いプロダクトのグロースに貢献しているのがHRデザイン部のデザイナーです。

2023年現在、70名を超えるまでに成長したマネーフォワードのデザイン組織ですが、各領域で異なるミッションを持つため、多種多様な働き方が存在します。その中でもHRデザイン部は、どのような特性をもち、デザイナーは、普段どのような働き方をしているのでしょうか。


デザイナー同士の連携を意識したチーム作り

マネーフォワード クラウドのHRソリューションでは様々なプロダクトを提供していますが、個々にプロダクトを導入するよりも複数のプロダクトを併用しデータ連携することで、より便利に利用することができます。

HRソリューションのプロダクト同士の連携の例
HRソリューションのプロダクト同士の連携の例

このプロダクト同士の連携活用が鍵となるHRソリューションの特性上、プロダクトの仕様を検討するデザイナー同士の連携も非常に重要です。

HRデザイン部はプロダクトデザイナー陣とメンバーを取りまとめるマネージャー、で構成されています。プロダクトデザイナーは各々の担当プロダクトチームにも所属し、PdMやエンジニアとともにプロダクト開発に取り組んでいます。

そして、HRソリューションのプロダクトのほとんどはマネーフォワード社内でも導入されています。プロダクトを触って業務をする人事労務の社員は実際のユーザーです。サービス向上を検討する上での重要なステークホルダーであり、良きパートナーでもあります。

人事労務の社員自身もプロダクトの成長に関わっていくことをポジティブに捉え、関係者全員が伴走しておりデザイナーにも協力的であることが特徴です。身近なユーザーから多くの声を集めてデザイナー同士で共有していくことも大切です。

さらに、HRソリューション全般のクリエイティブ制作をおこなう専任のコミュニケーションデザイナーもおり、リモートワークが中心のチームで働き方の工夫をしています。

それでは、各デザイナーが普段どのような仕事をしているのかを見てみましょう。


デザイナーの働き方

1. プロダクトデザイナー

プロダクトデザイナーの担当する業務範囲は、プロダクトのUIデザイン制作だけではありません。プロダクトの特徴やライフサイクルによって求められるデザイナーのスキルは少しずつ異なります。さらに、PdMやエンジニアとの役割の境界線も様々です。

プロダクトデザイナーそれぞれに普段の仕事内容を伺い、プロダクトごとにどのような違いがあるのか話を伺いました。

プロダクトデザイナー:林 駿佑さん

”私が担当するプロダクトの開発チームでは、基本的に2週間サイクルでスクラム開発をしています。スプリントの始まりにPdMから機能概要が開発チームに共有されます。その内容が本当にユーザー価値に繋がるのかの精査をするところからデザイナーの役割です。

その後UIデザインを制作し、インタラクション設計までをデザインツール上で行ってから、エンジニアに実装を依頼します。エンジニアもUXの視座が高い方が多いので、柔軟に設計の改善をしながら実装完了までエンジニアと伴走します。ちなみに仕様書はエンジニアやPdMがまとめてくださっています。

あとは実装前に、かなり精緻な画面モックアップでユーザービリティテストをしていますね。私が担当するプロダクトのエンドユーザーは企業に所属する労務担当者の方ですが、社内にも労務部門があるので、その方たちにご協力いただいています。エンドユーザーにかなり近い属性の方を対象にしたユーザビリティテストが実現できていて、自分の制作したデザインを確認できるステップでもあり安心感がありますね。

スクラム開発のプロセス改善にも積極的に関与しています。当初は設計の手戻りが多かったですが、ユーザーの声をプロダクトチームのメンバーにシェアする機会を増やしてゴールがズレないようにしています。

今後は、プロダクトのビジョンやロードマップなど長期的な戦略や取り組みにもデザイナーとして関わっていきたいですね。そして関係者にもデザイナーが戦略に関わっていける存在だと認知を広げられるといいなと思います。”


プロダクトデザイナー:青山 玲子さん

”私が担当するプロダクトは、1サイクルの開発プロセスの期間が長いので、開発前の要件を決めるために、リサーチや相談の時間を多く取っています。

ビジネスサイドのセールス部門やマーケティング部門と協力して、社労士さんの意見を取り入れる機会をいただいています。あとは、既存ユーザーから広くアンケートを収集して前回は700件程度の回答が集まり、そこから改善の要件を固めています。

このように、開発ロードマップの計画に加え、ユーザーの声も開発計画を決める上で重要になってくるため、連携する他のHRのプロダクトと足並みを揃えることが大事になってきます。

私は今までHRソリューションの複数のプロダクトを担当してきたため、連携する他プロダクトのデザイン経験が今に活きています。他プロダクトの状況や開発サイクル、現在のフェーズを意識して、担当デザイナーさんへ情報連携しています。

プロダクトで今後開発する機能のロードマップやスケジュールは、通常PdM同士で共有されるものですが、デザイナー同士が連携観点で気にするポイントって少し違いますよね。デザインとしてのHRソリューションの連携を意識して全体像が見えてくると、ユーザーである労務さんへの影響も見えてきて、日々責任と遣り甲斐を感じます。”


プロダクトデザイナー:石沢 舞さん

”私が担当するプロダクトはHRソリューションの中では歴史が長く、機能改善が中心です。現在プロダクトが抱える課題出しの段階で、PdMと一緒に解決策のアイデア出しを行っています。一般的に解決策や要件定義までPdMが担われるサービスが多いなか、より上流に関われるのはデザイナーとして貴重な機会です。

アイデア出し段階でデザイナーが入ると、簡単なプロトタイプをデザイナーで作って具体的な議論ができるのが価値だと思います。エンジニアも巻き込んで議論ができたり、プラスアルファの付加価値を提供できないかという話もできます。

加えて、ユーザーでもある社内の労務担当さんの協力を仰いで、課題やアイデアに対して意見を聞く機会をたくさんいただいてます。仲の良い労務担当さんとはランチにも行く関係です。

プロダクトチームで議論したアイデア価値をすぐ気軽に検証できるのは助かりますし、ユーザーである労務担当さんから「用途がわかる」「利用イメージがつく」「かゆいところに手が届く」などと直接言ってもらえるのは嬉しいですね。

こうやって開発の多くのプロセスにデザイナーが関わるには、関係者との信頼構築が重要だと思っています。デザイナーに対してコミュニケーションコストが大きいと思われないよう普段から意識していますし、そのためにはドメイン知識を身につけて、関係者と同じ視座で会話をすることを大事にしています。結果として、信頼関係が成熟されるのだと思っています。”


プロダクトデザイナー:永岡 響さん

”私が担当するプロダクトは比較的若いチームで構成されてます。私自身も現在新卒2年目なのでUIデザイン制作やユーザーストーリーの整理はもちろんですが、PdMで担っているタスクも積極的に関わっていきたい意図を汲んでもらい、仕様書も作成させてもらっています。

ここでいう仕様書は、画面のUIデザインやインタラクションに関わる部分ではなく、計算ロジック、バリデーションチェック、連携する内部データの情報構造、テスト時のチェックリストなど開発に関わる部分が中心です。

開発仕様書の作成は、必ずしもデザイナーがやるべきタスクと決まっているわけではありません。ですが、これをやるかやらないかでアプリケーション開発の理解がかなり変わってきます。仕様理解ができた状態だとデザイン制作もスムーズに進むため、ポジティブに取り組ませてもらっています。

さらに、実際にアプリケーションを開発するエンジニアが海外拠点ということも背景にあります。日本の慣習に馴染みのないエンジニアさんに仕様やその背景をデザイナーから説明することにも今後チャレンジしていこうと思っています。自身が仕様書を書き、エンジニアと直接コミュニケーションをとらせてもらう機会が増えれば、より開発プロセスもスムーズに進行していくのではと思います。

最近では目の前のタスクに精一杯だった頃に比べて徐々に余裕が出てきて、自然と視野が広がってきています。デザイナーがプロダクトをより良くしようと思った時、UI/UXデザインのスキルを活かしてプロダクト体験をより良くする以外にも、チームや組織に対してデザインの視点で課題解決できることはたくさんあると思っています。デザイナーという肩書きに捉われずに様々なことにチャレンジすれば、やれることはいくらでもありますね。”


2. デザインマネージャー

デザインマネージャーは、HRソリューション全体のチームの取りまとめや、各プロダクトデザイナーの品質管理、評価などを役割としています。

またHRソリューションのデザインチームとしてのヴィジョンを掲げ、実現のためにプロダクトチームへ働きかけることでデザイナーの成長に向けた機会提供の場作りをする役割も担っています。

より具体的に、どのようなチームを目指してマネジメントに取り組んでいるのか、話を伺いました。

プロダクトデザイナー:小野 康基さん

”サービスとして「HR」はとても興味深い領域です。現在は、主に労務業務の文脈にフォーカスしていますが、そもそも労務とは「従業員の働き方」と向き合う仕事です。

社会保険料や毎月の給与支払いの計算が業務の中心ですが、広く捉えると「人の暮らしや働き方」に直結すると考えています。それだけ発展の可能性がある領域でデザインの活動をしているのが、私たちのチームだと思っています。

日常では「HR」の課題にとことん向きあうチームではありますが、最終的にはどんな領域のプロダクトであってもデザインできる組織を目指しています。デザイナーの果たすべき役割は課題解決ですから、どんな課題に対しても向き合えるデザイナーになれる環境を作りたいですね。

現状のプロダクトデザイナーは、担当プロダクトとそれに対するユーザーの課題に向き合うことが期待されていますが、普段の仕事の中では組織課題にも向き合う必要が出てきますよね。そういう時に、デザイナーが率先して解決に向けて価値を発揮して信頼を築いていける。そんなチームになれるんじゃないかなと思っています。

このプロダクトチームへの信頼貯金を少しずつ増やす取り組みの一つとして、デザイナー同士で各々のプロダクトで計画しているスプリントの進行レビュー会を開いています。

スプリント進行レビュー会では、進め方や段取りの計画に問題がないか、巻き込むステークホルダーに漏れがないか、作業工数は妥当かなど、基本的なことを確認するのと同時に、よりよい信頼構築のためにデザイナーから関係者にとれるアクションの提案をするようにしています。

デザイナー全員でレビューし合うので、私自身、制作物を見るだけでは分からない各デザイナーの創意工夫を知る機会にもなっていて、良い効果を感じています。”


3. コミュニケーションデザイナー

プロダクトに関わるデザインの範囲はUIデザインだけではありません。HRソリューションでは、社外発信のためのクリエイティブ全般を専任するコミュニケーションデザイナーがいます。

特にマーケティング、セールス、カスタマーサクセスの部門と協働することが多く、制作するクリエイティブの種類は多岐に渡ります。具体的な取り組みとプロダクトデザイナーとの関わり方などについて話を伺いました。

コミュニケーションデザイナー:青野 颯太さん

”私は主にマーケティング全般のクリエイティブ制作を担当しています。制作物は本当に多種多様で、プロダクトのLP、キャンペーンのバナー、プロモーションのアイキャッチ、プロダクト紹介資料・ウェビナー資料・ホワイトペーパー・パンフレットの制作、 展示会ブースの設計まで幅広いです。社内向けのインナーノベルティ、人事労務担当者向けのカレンダーの制作などもやってます。

常に何かのマーケティング施策が動いているので、日々慌ただしくはありますが、何でも柔軟にできるが故に、いろんな方から声がかかり、デザインの力の認知に貢献できている感覚があり嬉しいです。

私はHRソリューション専任ですが、横断部門に比べると、その領域のマーケティング戦略やセールスの課題などの背景や前提をしっかり理解して制作できますし、より良い案をデザイナー側からも提言しやすい感覚があります。

プロダクトデザイナーとは特に、新機能リリースに関わるクリエイティブを制作する時に密にコミュニケーションをとるよう心がけています。その新機能は誰にとってどんな価値を提供するのかは、プロダクトデザイナーが責任を担って言語化してくれているので、ビジネスサイドの意向とバランスを取っています。"

クリエイティブ制作の例
クリエイティブ制作の例


コミュニケーションデザイナー:新井 裕可里さん

”私は主にセールスに関わるクリエイティブを担当しています。制作の対象は提案書やプレゼン資料が中心です。幅広く活用される通常のプロダクト紹介だけではなく、クライアント固有の要件にどのように応えるかを表現しカスタマイズした資料を作ることも多いです。

セールスの場合、クライアントに伝えたい情報が多くなりがちなので、伝えたい内容の軸をブラさず、情報を整理することもデザイナーの役割だと思っています。また資料作成だけではなく、活用してもらいやすいように使い方を発信したり、資料が古くならないように管理したりする取り組みも、デザイナー主導で行おうとしています。

あとは、提案に刺さるクリエイティブって提案資料だけではないと思っているので、例えばデモ環境の見せ方を検討したり、動画制作をしてみたりと、今後はより幅広くプロダクトの魅力が伝わる方法を考えたいと思っています。まだまだ出来ることはたくさんありますね。

プロダクトデザイナーとの接点は、セールスのクリエイティブでも、新機能に関する資料作成の時がほとんどです。たまに、プロダクトデザイナーのチャットで新機能のUIデザインのレビューをし合っている中に入って、私からアイデアや意見を出したりすることもあります。これをやっておくと、背景まで理解して新機能の資料を作成しやすくなります。”


チームの結束力を高める取り組み

どのデザイナーも担当プロダクトの中での活動がメインですが、デザイナー同士の連携を強めるために、デザインチーム内でも様々なことに取り組んでいます。ここでは二つの取り組みを紹介します。

一つは、UIデザイン制作スキルの勉強会です。普段は各プロダクトチームで別々に制作をしているため、完成したUIデザインをデザイナー同士で確認する機会はあっても、制作過程を確認する機会はあまり多くありません。

そこで、他のプロダクトデザイナーが制作する様子を見るための勉強会を企画運用しています。どのようにコンポーネントを構成していくか、どの単位でレイヤーをグルーピングするかなど、個々のデザイン制作の癖や効率的な作業方法を真似して、制作スピードを高めながらデザイン制作物を標準化する狙いがあります。

もう一つは、英会話交流です。HRソリューションの開発では、日本人でないエンジニアとの関わりも多く、デザイン仕様をエンジニアに伝える時に英会話が必要になることがあります。元々英語の文化があったわけではないデザインチームですが、デザイナー同士でお互い鼓舞しながら英語学習に取り組んでいます。

具体的には、毎朝15分、デザインチームで英会話の時間を設けています。完全なフリートークで、英語の苦手意識を払拭するのが目的です。さらに週一回デザイナー全員が出社でリアルに対面する日を設け、定例会議の中でシチュエーショントークの時間を設け、英語で会話するようにしています。

ここで紹介した取り組み以外にも、前述のマネージャー小野が紹介したスプリントレビュー会も含め、デザイナー同士が交流しお互いにスキルアップするための取り組みをチームで推し進めています。


さいごに

マネーフォワードのプロダクトデザイナーは、自分が担当するプロダクトのチームとデザインチームの2つに属していることがほとんどです。特にユーザーへ価値提供をする立場としては、プロダクト開発チームへのコミットが最重要です。

プロダクト開発でデザイナーが最大限のパフォーマンスをするには、デザイナー同士の支援や、成長に対する取り組みが日々行われているかは密接に関わっており、デザイナーチームとしてのあり方を再発見できました。

それぞれのデザイナーから伺った話から見えてきたプロダクトに対する愛と、よりプロダクトを成長させたいと思う当事者意識はチーム内の関係性から培われていくものだと感じました。マネーフォワードのHRソリューションの今後に期待です。



マネーフォワードではプロダクトデザイナー・コミュニケーションデザイナーを積極採用中です。プロダクトの価値を高め、より良いサービスを一緒に創っていきませんか?

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