【秋田の注目業界vol.3】eスポーツを福祉の現場へ|「社会福祉法人北杜」インタビュー
こんにちは!「KocchAke!(こっちゃけ)」編集部です。
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秋田県内の「業界」について第3回目をお届けします!
今回インタビューに伺ったのは、秋田県秋田市の「社会福祉法人 北杜(ほくと)」。障がい者支援施設、特別養護老人ホーム等の運営を中心に、デイサービスやショートステイ、ヘルパーサービス、相談支援、居宅介護支援などの在宅サービスにも力を入れています。最近では利用者のリハビリに“eスポーツ”を取り入れ、注目を浴びています!
そんな北杜の皆さんに、福祉業界についてお話を伺ってきました!
「生きがいを実感できる職場」
──「社会福祉法人 北杜」についてご紹介をお願いします。
常務理事事務長の石井と申します。
社会福祉法人北杜はお客様の利便性向上の為、障がい福祉制度と介護保険制度の2枚看板方式で事業運営をしております。秋田市において、下新城中野で障がい者支援施設を1拠点、中通で特別養護老人ホームを2拠点、そして茨島でデイサービスを1拠点の計4拠点で運営をしております。
いずれも共生型サービス(※1)でして、この他にもショートステイ、ホームヘルパーステーションの運営などを行っております。また、2023年4月には「特別養護老人ホーム中通」内に、障がい者の働く場として就労継続支援B型(※2)事業所「Re:mix(リミックス)」を開設し、更なるサービス提供に努めております。
現在職員は160名ほどおり、働き方の面で言いますと、新人から中堅、ベテランまで、その道のりのキャリアパスを定めております。チームリーダーを目指す人、あるいは管理職を目指す人、また、現場で専門性を高めていきたい人、各々の目標に到達できるような道筋を示しております。
また、心身共に健康で働けるように、働く環境整備にも力を入れております。
例えば、1日4時間の時短勤務や週2日出勤など、職員がライフステージに合わせて働き方を選べます。小さなお子様がいる職員もおりますが、自宅で誰も面倒を見られないという時には子連れ出勤も可としております。ご家族のためにリフト付きの福祉車両を使いたいという場合は、福祉車両の貸し出しも行います。
休暇につきましても、新規雇用されたその日から10日間の有給休暇が付与され、さらに年2回、有給休暇を3日間連続して取得可能なリフレッシュ休暇を奨励しております。令和4年度の有給休暇取得率は81.2%と高く、前年の取得率も70%を超えており、休暇が取りやすい環境です。
──「福祉業界」の魅力について教えてください。
福祉業界はお客様から感謝される喜び、そしてお客様とコミュニケーションを取りながら、自分自身も成長していける職場であると思っております。そういう意味では、生きがい、やりがいを実感できる職場が、福祉の現場だと思っております。
しかしながら、福祉の現場は、やはりどこも人手が足りていない現状です。職場の見学はいつでも受け入れておりますので、働く様子を実際にご覧になり福祉業界の魅力を知って頂ければと思っております。
「eスポーツで身体と心のリハビリを」
──2020年からリハビリの一環で「eスポーツ(※3)」を導入を決めたきっかけを教えて頂けますか?
eスポーツの取り入れを発案した作業療法士自身がゲーム好きであるという事と、その作業療法士の弟さんが障がいをお持ちだが一緒にゲームをしていた、という原体験からの発想がきっかけでした。また、「eスポーツを通じてリハビリ」というよりも、生活の中の楽しみを見つける、そして社会との繋がりを持てるようにという願いもあります。
──「eスポーツ」導入後、お客様の反応はいかがでしょうか?
eスポーツをきっかけにして、他施設の方、あるいは全国各地の方とオンライン上で繋がり、そこでの交流に楽しみを見出している方が多いようにお見受けしております。2021年1月には、お客様がeスポーツの全国大会に初出場を果たしました。
身体機能の回復や身体のリハビリのためだけではなくて、心のリハビリも出来ている印象を受けます。あるいは、共生社会(※4)の実現に向けて近づいている側面もあると感じております。
「お客様との距離の近さが魅力」
──現在の業務内容を教えてください。
作業療法士の建部 風我と申します。
お客様の身体機能維持向上のためのリハビリテーションや、レクリエーションの実施などを担当しています。その他にも、近隣店舗への買い物引率や身の回りの環境整備など、一人一人の生活に密着した支援が業務内容の一つです。
まだ1年目で知識も技術も不十分ですが、そんな中でも「体の調子が良くなったよ、ありがとう」という言葉を頂けると作業療法士として働いていて良かったなと感じます。
──就職を決めた理由を教えてください。
大学4年生時の実習で、「障がい者支援施設ほくと」に6週間お世話になりました。その際に感じたのが、入居するお客様と職員の間の距離の近さです。また、お客様が主体となって企画する行事がたくさん行われていたことに魅力を感じました。私もそんな魅力溢れる職場に身を置き、作業療法士としてのキャリアを積んでいきたいと考え、就職を決めました。
──印象に残っているお客様とのエピソードについて教えてください。
今担当している方は片方の身体が全く動かず、以前入居していた他の施設では、ほとんど寝たきりのような状態でした。「障がい者支援施設ほくと」にきてから、リハビリのサポートを続ける中で、徐々にベッドから起きる時間も増え、自分で車椅子で移動できるようになり、その人本来の姿が見えてきました。目に見えて身体機能の回復や精神面が向上しており、その人の頑張る姿が自分にとっても励みになり、仕事のやりがいを感じております。
──最後に就活生へのメッセージをお願いします。
「作業療法士」と聞くと、主に病院で働いているというイメージがありますが、お客様一人一人とじっくり時間を掛けて向き合い、話し合って、生活に密着したリハビリや支援を行える施設で働くという選択肢もあります。実際に自分の目で見て体験することで、福祉業界のリアルな魅力が伝わると思います。興味のある学生の皆さんは、様々な病院や施設に足を延ばしてみることで、自分に合った職場を見つけて欲しいと思います。
──今回の取材を通して、福祉業界の雇用環境・職場環境の一端に触れました。社会福祉法人北杜では働く職員を始め、入居する利用者まで終始笑顔とユーモアに溢れ、双方向的に信頼している様子が伺えました。利用者自身が主体となって企画するイベントも「カラオケスナック」「スポーツ大会」「バナナボートを食べる会」など多岐に渡り、あくまで職員はサポート役で、利用者の自発的な発想や行動を尊重されている点も、有意義に生活を送れている理由であると思います。eスポーツの効果を踏まえた導入など、福祉業界におけるゲームチェンジャーとして、今後の動向も期待されます。
石井事務長の言葉にもあるように、施設を利用される方への支援を通じて、感謝される喜びや自分自身の成長を感じられるのが福祉業界の魅力のひとつですが、さらに、相手とのコミュニケーションなどから新しいアイデアが生まれ、それを現場に柔軟に取り入れることでさらに新しい支援の手法やつながりが生まれるなど、働く人自身の発想や思いを自分の仕事に積極的に活かすことができる、そんな部分もこの業界の魅力なのではないでしょうか。
◯取材・文・写真/KocchAke!(こっちゃけ)」編集部
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