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クリスマスがやってくる

ハロウィンが終わり、街でクリスマスツリーを見かける時期になった。
あの頃は、今よりもっとたくさんのクリスマスツリーやら、イルミネーションやらが身近にあったはずなのに、目には入っていなかったんだな…。

「あのー、クリスマスの打ち出し、どうしたらいいでしょう?」
店舗のスタッフが、おずおずと電話の向こうから聞いてきたのは、もう11月も半ばすぎていたころだったと思う。

「え、何?クリスマス?」
「はい、もう12月になっちゃいます」

マネージャーのニノマエさんが過労で入院して以来、
6人しかいないオフィスで、我々本部スタッフは日夜PCにしがみついて頑張っていた。

私は転職して半年、店舗研修を終えて本部配属になったばかりだった。
仕事は山のようにあり、9時から21時まで会社にいた。土日も出ていた。そして、バッティングセンターにいるみたいに、来る球来る球を打ち返していたら一日が終わる、という日々だった。

だから、クリスマスがもうそこに来ているのに、全く気付いていなかった。

生活雑貨の店にとって、クリスマスはバレンタインや母の日と並んで書き入れ時、絶対はずせない季節行事で、何をどう売るかの戦略もとても大事なのだが、それすら意識になかったのだった。

クリスマスと言われて、何を呑気なことを、とまず思ったが、
呑気なのはスタッフではなく、我々のほうだった。

あのときスタッフに何と言ったのかもう覚えていないほど、
慌ただしすぎて記憶があいまいだけれど、
何人かの店長やスタッフがディスプレイやギフトの案を考えてくれて、それを店舗にメールで配信してなんとか乗り切ったのだった。

クリスマスっていい時期にあるなと思う。
年末に向けて、忙しさが最高潮になるころに、
寒さが増してくるころに、クリスマスがある。

クリスマスの装飾をみて悲しくなったり、
クリスマスソングをうるさいと思ったり、
そもそもクリスマスに気づいていなかったりするなら、
それはもう心がピンチなのだと思う。

仕事は大事だけど、自分の心身を犠牲にしてまでするものではないと改めて思うし、
そうなってしまったら、それはもう仕事ではなく戦争のようなものだ。
誰のためにもならない。

この10月11月は、コロナ拡大の谷間に重なって、いろんな仕事が一気に動いて慌ただしくしていたので余計にこのことを思い出したのかもしれない。

もうすぐクリスマスです。
忙しいあなたは、自分のためにお茶でも入れて、
ひと息ついてください。心身の健康が第一です。
第一、というのは、それより大事なものはない、という意味です。

息という字は、自分の心って書くんですね。

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