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【女将のエッセイ】自分のお店に100%満足できてる人なんていないことを知った話

なにごとにも理想が高く、完璧でなければ気が済まないタイプの人っていますよね。

実は私はどちらかというとそちらのタイプで、趣味は形から、掃除もやるとなったらトコトン。しっかり準備をして、目標を立てた上で順番に取り組みたい。


この傾向がいちばん顕著なのは、やっぱり飲食店経営という今の仕事ですね。

しかしながら、ときに理想ばかりが先行し「商売たるものこうあらねば!」という義務感みたいなものを感じやすいところは前々からありました。少々、理想が強すぎるのかもしれません。

そんな気持ちに拍車をかけるのは、テレビやネットの飲食店特集、グルメ情報誌、同業者向けの雑誌など。どのお店を見たって、すごくキラキラしてるじゃないですか。

料理も、うつわも、インテリアも、立地も、コンセプトも、ストーリーも、食材へのこだわりも、スタッフの笑顔も、売り上げも、すべてが完璧に見えてしまう。


うちなんて居抜き物件そのままの状態で使っているから、経年劣化で床材がところどころ剥がれているし、前の店から持ってきたらしい4人がけのテーブルは、超せまい。

それでも、何年も前から立ち退きの噂があったせいで、あれやこれやとお金をかけることができなかったのです。


「慎重に扱ってたらいつまでたっても洗い物が終わらないから」と、高いうつわは買わないし、旦那とふたりで営業することが多いので、ちょっと忙しくなるとすぐに料理が遅れる。

もう、至らない点がわんさか。

理想と現実がかけ離れすぎていて、しょっちゅうイライラ、あるいは落ち込んだりなどしたものです。



オーナー満足度100%のお店なんてない


こんな悩みが次第に晴れることとなったきっかけは、よそのお店に通いはじめたことでした。

それも勉強のために「ちょっとイイお店」へ定期的に行くようになってからです。そこで私は、あるひとつの事実に気づきました。

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