胸がズキンとした

「あの子、言われなくても動くんだよね」

職場が同じ彼氏が、最近入ってきたバイトの女の子を褒めた。

その子は職場で評価が高かった。私より5つほど年下だ。愛嬌があり、気配り上手で、入った時から皆に可愛がられていた。

私が今の職場に転職したのは1年前。注意されてばかりの毎日だった。今も職場で馴染めていない。


…「私、仕事が出来なくて…それに全然馴染めないんです」

1年前、思わず弱音を吐いた相手が、今の彼だ。

「慣れですよ」「フォローはしますんで」

と彼は答えた。


…そこから関係が深まり付き合うことになった。後から聞くと、彼は、仕事の相談をしてくる私の事が可愛いと思ったらしい。

…彼の口から、入ってきたばかりのバイトの女の子が上手くやっている事を聞いた時、胸がズキンとした。

反射的に傷ついてしまった。私は仕事が出来なくて、その子は何も言われなくても出来るってこと?嫉妬とかヤキモチの感情は一切なかったが、プライドはズタボロだった。彼に対し、じゃあその子と付き合えば良いのに、なんで私なんだろう、とまで思った。

弱音を吐きながら頑張る、ダメだけど可愛い私を好きになったのかもしれないと不安になった。

だから私は咄嗟に言い聞かせた。「私が本当にダメダメなら、彼は私と付き合ってるはずがない」「私は私でやれている」と。

…私は彼に、「あの子、すごいよね」と言った。