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新規就農をするには?ー就農地を考えるー

前回の記事では、農業に携わる手段はいくつかあることを書きましたが
今回は新規就農=実際に独立して農業をする場合に
どこで農業を始めるか、様々な角度から考えて検討していくと自分にあった場所選びができると思います。
農業は土地がまずなければ始まらない、しかし始めてしまうと簡単に場所を変えることができません。

自分自身がどういった経営をしていきたいのか
始める前にしっかり検討したうえで就農地を選ぶといいのではないかと思います。

つくりたい作物から考える

私はイチゴ農家になりたい!美味しいぶどうが作りたい!美しいお花を作りたい!
最初から作りたい作物が決まっている、もしくは酪農家や養豚、養鶏など
具体的に携わる方向性が決まっているならば
それが生産、飼育できるのに最適な場所を選ぶことはとても重要であると思います。
高原でしかできない野菜なのに平地で作っては失敗するリスクが高まります。
農業はリスクがとても高い産業であるからにして少しでも成功率を上げる手段を考えるのが重要であると痛感します。
例えば、イチゴ農家になりたければ、イチゴはどういった気候に適しているのか日本の中で有名な生産地はどこにあるのか(都道府県単位ではなく地域名を知ること)
その生産地での流通経路の主軸はどこになるのか(市場出荷、JA出荷、個別販売等)
新規参入する面積は十分に確保できるか、設備投資におけるシミュレーションはできるか(ハウス、大型機械、倉庫等)

つくるものが決まっていればどのような経路でどのくらいの量を売れば生計を立てられるかシミュレーションを立てることができるでしょう。
面積が広げられる将来性がない、設備投資が難しい地域では参入できたとしてもその先が苦しくなってしまいます。
目標とする収益性を明確にしながら場所を選ぶと拡大のチャンスも広がるかもしれません。


なりたい経営像から考える

まだ具体的に作りたいものは決まっていないけれど
こんな農家になりたい、こんな経営者になりたいなど漠然とイメージしている人も多いと思います。
私もこの考えの1人です。

いっぱい稼ぎたい、一旗揚げたい、観光と組み合わせたい、6次産業化に取り組みたい、飲食店も経営したい、のんびり暮らしたいなどなど
農業は多様性があるため、可能性も無限に広がっていると思います。
農業に携わると一言で言っても、参入する人の考えは十人十色。

その夢が実現できそうな場所から選ぶのもいいでしょう。
例えば観光農園がしたいと思ったら、コンセプトを立ててターゲット層をイメージしたときにアクセスのいい場所や非日常感を味わえるロケーションを選んだり
住民が多く住んでいるような都市部を選ぶこともできるでしょう。
さらには飲食店も経営しようと思ったら商業にも目を向けることが必要になってきますので、
商業に力を入れている地域を見てみるのもいいかもしれません。
つくりたいものから考えるのではなく、飲食店を開くならばこういう作物が必要になるよね、収穫体験の需要がありそうな果物は何があるかなど
コンセプトから落とし込んでいくと出口が決まっているので
イメージが膨らみやすいかもしれません。

就農したい場所(住みたい場所)から考える

移住して農業をはじめる例や、その土地が(場所の雰囲気)好きで農業をはじめる例があります。
ワークライフバランスを重視して家族との時間を大切にしながら生計を立てていくことを考える人も多いでしょう。
住に重きをおいてから生業を考える場合、
特に家族がいるならば、子どもの学校問題、働き場所など理解を得ることも必要になってくるでしょう。
就農初期は収入が安定するまでに時間がかかるため
家族の協力なしにはできませんし、手元のお金を稼げる場所があるのか
出稼ぎに行かなければならない場合もあるかもしれません。

住みたい場所で農業を始めたいと考える場合、
その地域での主な産業は農業も含まれているのか調べておきましょう。
港町で農業を始めたくても、主な産業は漁業であることは明白です。
米を作りたくても水路がなければ米は作れません。
自給自足の生活を目指す方もいるかもしれませんが
本当に自給自足の生活を営むにはかなりハードルが高いため
何を一番優先させるか、また実現可能な地域があるか調べてから
移住されると理想と現実のギャップに苦しむことが少なくなると思います。


新規就農を応援してくれる地域を選ぶ

この問題はふたを開けてみないと分からないところもありますが
特に都道府県全体で力を入れている(アピールしている)、援助が手厚い
住居など生活のサポートまでしてくれる。
地域が移住者を歓迎してくれる雰囲気がある
など、入りやすい、始めやすい環境を選ぶのも一つではないかと思います。

人気の場所で、黙っていても人が参入してくるところは
あえて積極的なPRをしていないところもあるかもしれません。
ただ注意しなければいけないのは、力を入れているということは
裏を返すと、参入するには厳しい条件があったり、定着しにくい、過疎地域にある、地域住民は歓迎していないなどで
人が集まりにくいという場合もあります。
表だけの情報ではなく、実際に場所に出向き、役所での対応や地域性などを確かめながら
本当に自分に合っている場所なのか、生計を立てられるのか、将来性はあるのか総合的に判断したほうがいいのではないかと思います。

特に新規就農の受け入れの実績がないところは、他の地域では受けられる助成が受けられなかったり
役所内での制度整備に時間がかかるなど、スタートに時間がかかる場合があります。
役所では人事があるため担当者が変わると全く事が運ばなくなるなどのリスクもあります。
それらも加味して地域性をよく知るということはとても重要であると痛感しています。


他にも様々な視点で就農場所を決める考え方はあると思います。
実際に就農してみて、思っていたところと違った、うまくいかないなど
後悔しないためにも、情報収集はとても重要で、よく精査したほうがいいのではないかと思います。

いい話に飛びつかない、とても大事ですよね。
次回はそんな話しも踏まえつつ

次回はつくる作物の考え方、販売先をテーマにお話ししていきます。
お楽しみに。