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ブランドデザインの実践と星加さんの総括【日米珈琲・神戸酒心館・KHM・イスズベーカリー】

続いて1期生の成果発表会「ブランドデザインチーム」の4社です。
組織デザインは下記から。

<ブランドデザイン①>催事で実績を上げ、百貨店で売り場を確保したい。:日米珈琲株式会社

 日米珈琲は喫茶店やホテルを中心としたBtoBを得意としており、もう一つの柱としてBtoCの展開も進めています。とくに百貨店の催事出店で実績を残し、常設棚での商品展開につなげるべく、「いつ、どんなお客様に、どんな商品を何個売るのか」「インパクトのある新商品の開発」「重点商品を軸としたディスプレイの見直し」をテーマに詳細な仮説を立てました。そして1月26日から2月1日における川西阪急の催事出店を実践の場と位置づけました。

 催事用に、コロンビア産の最高級豆を炭火でじっくり焙煎した「ブラックエメラルドマウンテン」を新発売。ディスプレイについては重点商品と位置付けたブラックエメラルドマウンテンを引き立てるとともに、重点商品とのセット販売も展開。また、コーヒースイーツも陳列しました。販促計画立案・総括表には、日ごとの詳細な販売計画を立て、次回につなげるためのフィードバック事項も書き込めるようにし、次回以降の催事に生かしていこうとしています。

 担当メンターの星加氏は「商品開発力など他社にない自社の強みも確認したうえで、催事の3カ月前から誰に何をどう売るのか仮説を立ててそれを全員で共有し本番に臨みました。仮説を立てることで何が足りなかったかを明らかにし次の修正行動につなげることが重要」と述べました。

<ブランドデザイン②>SDGs達成に取り組む人材育成プログラムを作りたい:株式会社神戸酒心館

「福寿」ブランドで日本酒を製造する神戸酒心館は、SDGsを経営の中核に位置付けています。中でも「SDGs人材の育成」こそが「エシカルな社会づくりと資源の持続可能性向上」につながると考え、神戸市北区大沢を舞台に地域を元気にする(リバタイズする)大沢リバプロジェクトを進めていこうとしています。

 美しい棚田がありながらも農業従事者の高齢化や後継者不足などから耕作放棄地が増加している大沢地域でまずは竹林を伐採し復活させた棚田で生産した米を使った日本酒を造ろうとしています。そのプロセスについては大学と協働することにより、学生に田植え、収穫、酒造り、販売促進のための広報までを体験してもらうとともに、地元の人との交わりを通じ交流人口の拡大を目指しています。

 その具体的な手法として、神戸芸術工科大学の2学科と連携し、広告・企画クリエーティブ演習、広告・企画デザインの授業を設け、学生に主体的に課題を考えてもらいSDGsの人材育成につなげるプログラムを考えています。

担当メンターの星加氏は「プロジェクトはただやるだけでなくプロセスを発信しながらファンを作っていくことが大事。学生には映像、デザイン、SNSなどを活用した広報部隊として活躍してもらうことも期待している」と思いを語りました。

<ブランドデザイン③>キッチンカーを作るならKHMに、のブランディングを確立したい:合同会社KHM

 KHMでは移動販売車を製作しています。コロナ禍を受けて移動販売車全体の市場は伸びているものの参入する企業も増え、他社で制作した移動販売車、キッチンカーのトラブル相談が増えているとのこと。同社では過去にキッチンカーを使った販売も行っていたことから移動販売を使ったビジネスモデルの相談も受け、事後フォローも行えることを強みに「正確な移動販売車のノウハウを伝え、移動販売で失敗する人を一人でも多く救いたい」との思いから、ホームページをリニューアルすることにしました。

 以前のページではキッチンカーの車体ばかりを載せていましたが、新ページでは移動販売車に客が行列を作っている写真をメインに使うとともに、キャッチコピーにも製造だけでなく、販売車運営のノウハウを伝える文言を加え「移動販売ビジネス」をイメージできるようにしました。また、過去実績に依頼主の地域・業種・SNSを掲載し、同社の支援内容や、依頼主の活躍をイメージできるようにしました。電話応対のみで応じていた相談の入口を改め、問い合わせフォームも作りました。

 担当メンターの星加氏は「モノ(車)からコト(移動販売ビジネス)へと見せ方を変え、あくまでも車は手段であり、ビジネス支援が目的であることを明確にしました」と今回のアドバイスのポイントを述べました。

<ブランドデザイン④>イスズらしさを明確にし、販売戦略を明確にしたい:株式会社イスズベーカリー

神戸を代表するパンのブランド「イスズベーカリー」ですが、「ブランド作りとは一貫性を持たせ、それを継続すること」という今回のプログラムにおける学びをもとに「THIS IS ISUZU(これぞイスズベーカリー)」を確立し、顧客をもっとワクワクさせるための品ぞろえ、店舗のしつらえ、接客とは何かを明らかにするために経営陣と社員が率直に対話する対話型研修を実施しました。

 「ワクワクするイスズについて」をテーマにした研修では思いついたワードを模造紙に書き込み、それを「パン」「接客」「店舗」「暮らし」のカテゴリーに分類。それをふまえ店内で使う素材やカラーなどを定めた「イスズブランドガイド」を制定。素材については木やレンガなどぬくもりの感じられるものを使うとともに、カラーについてはレトロモダンを演出する色としてメインカラーにエンジ、サブカラーにこげ茶、アイボリー、マットブラックを使うこととしました。

 今後はガイドに則り、各店舗のPOP、飾りつけなどのルールなどをスタッフに浸透させるとともに、今回好評だった対話型研修を半年ごとに実施していくことも決めています。
担当メンターの星加氏からは「対話型研修は社員同士でブランドのことを考えるだけでなく社内の共通言語を作る意味でも良い機会になった。社員の皆さんの気持ちをモチベートしていくためにぜひ継続してほしい」とコメントしました。

ブランドデザイン担当メンター星加氏による総括

何のために自分の会社が存在し、どうなっていきたいのかを考えるのがデザイン経営であり、そこに終わりはありません。皆さんはこの機会を通じてようやくスタートラインに立ったところであり、会社の足もとを見直す良いきっかけにしてほしいと思います。デザイン経営には「歴史や強みを棚卸しする」「未来を想像する」「魅力ある物語を発信する」「実験と失敗を繰り返す」など9つの入口があります。皆さんにとってどこが入口になるのかを考え、その解像度を上げていってください。

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