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組織デザインの実践と岩野さんの総括【MCC食品・市場連・建隆MG・小泉BS】

<組織デザイン①>VUCA時代に対応できる自走する組織をつくりたい:エム・シーシー食品株式会社

 創業100周年を前にプロジェクトチームを組織してみたものの、経営側からは「思ったように機能しない」、一方メンバーの社員側からは「普段の業務もあるのに」と捉え方にズレがありました。これらをふまえ同社では、保守的な風土を打破し「自走する組織をつくりたい」というテーマを掲げました。

 組織を作る際には「まずお膳立てが必要」と担当メンターの岩野氏からアドバイスを受け、まずは土台となる「共通の目標」(業務レベルにおける具体的な目標設定=KPI、企業全体の戦略的な目標=KGIの明確化など)を設定。そして、組織が機能するよう、経営側、メンバーがお互いに弱さを見せ、補い合うための「弱さの開示」、予算や承認、支援、利点などを明確にし、プロジェクトへの帰属意識を高める「安全な環境づくり」について議論しました。そのうえで「2023年3月発売の新商品の開発・PRに活用できる資料を作成する」という共通目標を設定。また「押し付けられるやりがい」を排除すべく、プロジェクトメンバーは公募で募りました。

 岩野氏は「プロジェクトが機能しない問題の所在をチーム側に探しがちだが、それは任せる側にある。チームが最大限に力を発揮できるチーム設計のデザインが重要」と述べ、「経営側はここまでできたらあとは口を出さず、信じて任せきる我慢が必要」とコメントしました。

<組織デザイン②>市場連の変革を担う最強の若手チームを作りたい:神戸市小売市場連合会


 神戸市内の市場21団体約400店が加盟する神戸市小売市場連合会ですが、小売店との競争で小売市場が衰退の一途をたどり、組合員の高齢化が進んでいるのが実態です。そこで「若い人が継ぎたいと思う小売市場、店にしていきたい」という目標を掲げ、そのために10年後の小売市場のあるべき姿を見据え新たな取組を企画実行できる若手メンバーの育成を急いでいます。

 2月には、既存の課題解決に取り組むメンバーと事務局の計4人、さらには外部の生産者、飲食店のメンバーも交えたチームが発足しました。「中心市街地や駅に近い便利な立地にある」という市場ならではのメリットを生かし、「国内、世界に誇る食の資産を生かし神戸の食を盛り上げよう」という共通ビジョンを策定。「それぞれの個店で事業承継者がいない」「小売業の特性として利益が薄く事業の継続が難しい」という課題をふまえ「神戸の食の資産を活用して小売商業で利益を出す」というミッションも掲げました。今後は、実行に向けた議論を重ねていくことにしています。

 担当メンターの岩野氏は「若手が参加したいと思える小さなメリット、そして小さな成功例を作り、それが外部から評価されることで熱量が伝播していくようなコミュニティデザインが重要」とアドバイスしました。

<組織デザイン③>会社のDNAを受け継ぐ人材を確保、育成したい:有限会社建隆マネジメント

 建隆マネジメントグループはこれまで創業者の頴川欽和社長のカリスマ的なリーダーシップにより事業を成長、発展させてきた歴史を持っています。同社ではそのDNAを受け継ぐ人材の育成・確保が必要であることを認識するとともに、「面白い会社に成る!」という企業理念をふまえ、DNAの言語化と、それを体験させるための仕掛けの具体化に取り組んできました。

 DNAの言語化については。今後時間をかけながらビジョン・ミッション・バリューを見直していくことにしています。また、体験させるための仕掛けの具体化については、ビジョン・ミッション・バリューを中心にしながら、それを取り囲む6つの事業分野を、間接部門のサポートチームが支える図を作成することで組織構造を視覚化。そのうえで、事業分野については共創文化(さらなる多角化と事業間連携)と位置づけ複数リーダー体制とし、またサポートチームについては創造文化(さらなる専門職化)と位置づけ全員リーダー経営体制とし、二つの文化のバランスが取れた組織デザインを目指していくことにしました。

 担当メンターの岩野氏は「カリスマ経営者が持つ属人的な実践知をチームで補完できるような構造を作っていくことはチャレンジングだが、会議を重ね共有すべきことを視覚化することでメンバーの理解が進んでいったのを感じた」と取り組みを振り返りました。

<組織デザイン④>「小さなチャレンジ」を「し続ける」ことができる企業文化を醸成したい:株式会社小泉ビジネスソリューション

 小泉製麻グループは、「小さなチャレンジ」を「し続ける」ことができる企業文化を醸成したい、をテーマに掲げ、グループ全社でそのための課題と分析を行ってきました。その結果「経営層からのメッセージは都度発信されているものの、社員はそれを伝わっていないと感じている」という実態が明らかになりました。この解決には「両者の潤滑油であるマネージャー層が経営層の言葉を受けて部署の価値観を決め、自身のメッセージとしてその価値観へと部下を導く役割を果たすべき」との結論に達しました。

 価値観を落とし込むための手段として「ほめる文化の形成」の重要性に着目。「ほめる理由となった“いい仕事”とは何かを定義することにより、社員のモチベーションアップと仕事の理解の促進を目指そうとしています。今後は、幹部、幹部候補生からなる「私たちが会社を作る会」を組織し、ほめる文化の形成に向けて動き出す予定です。

 担当メンターの岩野氏は「マネージャーは、社員の仕事が何の成果につながっているのかを意味を解釈して伝えるだけでなく、いい仕事が生まれた背景にある行動、意識を紐解いて伝えることでいい仕事がさらに繰り返されるサイクルを作ることが大事。マネージャーの仕事は参加するメンバーのポテンシャルを上げるファシリテーターであるということ意識してほしい」とコメントしました。

組織デザイン担当メンター 岩野氏による総括

 組織開発はつまるところ事業承継や収益性、ブランド価値の向上など企業が抱える課題を解決するための手段として有用であることを改めて実感しています。どれだけAIやロボティクスが進化しようとも、人がどれだけ価値を生み出していけるかが問われるようになります。他の先進国に比べ経済成長率が低い日本ですが、それだけ組織開発による成長の余地があるということ。小さなことから始めて波及効果を広げていくことで会社をアップデートしていってほしいと思います。

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