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シン・長田を彩るプレイヤー番外編 〜下町芸術祭を彩るアーティスト〜(前編)

2023年11月3日(金祝)〜19日(日)の17日間で開催される「下町芸術祭2023COMMONS HACK」。
今回は「シン・長田を彩るプレイヤー特別編」として、下町芸術祭の参加アーティストの方に取材しました!!

1人目 アラン・シナンジャさん
    (日程:11月4日、会場:ハッピーの家)
2人目 小畑亮平さん
    (日程:期間中、会場:角野邸)

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–1人目 アラン・シナンジャさん–
日本の舞踏に興味を持ち単独で来日。その後様々なダンスプロジェクトに参加しダンサーとしての道を歩んでこられたアランさん。11月4日の下町芸術祭では「はっぴーの家」(介護付き多世代型シェアハウス)を舞台にアフリカンパフォーマンスを繰り広げ、みなさんにハッピーを届けます!!アランプレゼンツの下町芸術祭について取材しました。

Q、経歴、普段の活動内容や拠点についてお伺いします。

メインの仕事はコンテンポラリーダンサー、あとは振り付けを作ったりダンスを教えたりしながら、今、ここはっぴーの家でもバイトで介護の仕事をやっています。
なのでこの3つが普段の主な仕事内容です。
介護の仕事は長田だけですが、ダンス講師やダンサーとしてのパフォーマンスは長田だけじゃないです。例えば和歌山、東京、京都とかいろんな場所で教えてる。
参加してるパフォーマンスも日本だけじゃなくて香港でもしたし、9月にはダンスのプロジェクトでシカゴに行きます。

あとギンガンゴンという3人組のチームがあって、パーカッションの北さんと、和太鼓の恵風(けいふ)さんと多国籍音楽ダンスチームでも活動しています。

取材先「ハッピーの家」で遭遇したキタ ぽんぽこ☆ タカユキさんとのツーショット

Q、応募のきっかけ、展示内容は何ですか?

下町芸術祭のときいろんな人がめっちゃ長田に来てるから、アフリカの文化をシェアしたいと思ったのと、はっぴーの家の高齢者たちと交流したいと思ったのがきっかけです。
下町芸術祭はすごく大きなイベントでめっちゃ人気。だからいろんな人が来るし、それで人と人を繋げられたら、ありがたいかな。

下町芸術祭では、アフリカンパフォーマンス・グッズ販売・ワークショップをやります。
アフリカのグッズを販売しようと思ってたけど、アフリカ以外のグッズも販売しようかな。
だって、はっぴーの家にはみんないるよ。日本人も多いし、外国人も居るし、文化のフュージョンの場所だからいろんな国のグッズを出したいです。

あとはっぴーの家に来れない人のためにパレードもやります。商店街の中でパレードしたら、商店街の忙しい人も楽しめるだろうから。
パレードしながらみんなで盛り上がりたい。
それも商店街の中だけじゃなくて鉄人広場まで頑張りたいと思いますね。

あとはアフリカの文化のこととかをみんなでトークもしたい。
3月に1回自分の国トーゴに帰って、日本では見れないものをたくさん撮ったんです。みんなでトークしたら、もっと日本人もトーゴやアフリカのイメージが出来ると思います。

やりたいことが多くて、多分全部はできないけどできるところまで頑張りたい。
トーゴ料理も出したいんですけど、僕1日中忙しくてあまりお店に居る時間はないから迷ってます。
みんなトーゴ料理食べたいかな?
トーゴ料理はスパイスが多い。
インディアンショップのカレースパイスを使うと、辛さとか、香りニオイとかは似てるけどやっぱり味が違う。
この前帰ったときにトーゴのスパイスを持って帰ってきたから作れるよ。
あとトーゴ料理は日本の料理に比べて重たい。
1回食べたら、あとは1日水だけで十分かな。
もちろん軽いやつもあるけどね、でも美味しいよ!

Q、下町芸術祭への意気込みをお願いします。

当日は頑張らないよ、楽しみにしています。
楽しむことが大事。
今回は、僕がこのプロジェクトのリーダーだけど、みんなでやるし、お客様もパフォーマンスの日にみんなで踊るから僕は頑張らなくてもみんなと交流できるのを楽しみにしています。
楽しみー!!

後はもう皆さんと触れ合うこと、
交流することですね。
やっぱり人間関係がとても大事。
でもこの大事な中で幸せがあれば一番ベスト。
みんなに来てもらって楽しい場所を作る、一緒に楽しいことをシェアできたらいいな。

Q、最後に見どころを教えてください!!

僕は会場にはっぴーの家をチョイスしました。
はっぴーの家には高齢者が多いんですけど、高齢者は外に出歩くことがあんまりできないから、全然知らない人も来てもらって、みんなではっぴーの家の中でイベントをやりたい。
そして幸せな気持ちをここの高齢者たちとシェアしたい。
だから本当に、はっぴーの家の中でやることがめっちゃ大事。

It`s very important for me.

なぜなら元々高齢者が大好き。だから僕のアートを、もっと高齢者たちとシェアしたい。

はっぴーの家は、みんなの家です。

誰でもウェルカムな家で、高齢者たちもすごく心が広くて楽しい。
この楽しさは言葉では伝えられない。
だからみんなはっぴーの家に来てほしい。

来てみたらわかる!!

普段の高齢者たちは穏やかで落ち着いているけど、アフリカのダンスやってるときはめっちゃ変わる。
急に表現して激しく踊ってるんです。
この変わり具合をみんなに見に来てほしい。

あとはっぴーの家だけじゃなくて長田の人は心が広い。日本人は控えめな人が多いけど、長田の人は全然知らない人でも急に立ち止まって、お喋りを始めます。
考え方がワイドだから楽しいし温かい。
この温かい気持ちでみんな一緒に楽しいことしよう!!


–2人目 小畑亮平さん–
大阪を拠点とし、全国各地でアート活動をしている小畑亮平さん。
下町芸術大学のセミナーにも通い、今回念願であった下町芸術祭に参加されることとなりました。そんな小畑さんが繰り広げるアートの世界をのぞいてみましょう!

Q、経歴、普段の活動内容や拠点についてお伺いします。

普段の拠点は大阪で、大阪に住居兼アトリエを構えています。
僕は元々美術教育を受けてきたわけじゃなくて、大学は哲学科だったんです。
在学中になんとなく油絵を始めたのですが、だんだんアートの道に進みたいなあと思うようになってきて、大学を卒業してだいぶ経ってから美術の大学院に入り直しました。
元々は油絵からのスタートでしたが、大学院では特に扱うメディアは限定せず、サイトスペシフィック・アート(特定の場所に存在するために制作する作品)の制作に取り組んでいました。

大学院を修了したのが2019年で、さあこれからいろんなところで作品発表するぞ、と意気込んでるうちにコロナ禍が始まって、発表どころか家の近所以外どこにも行けなくなってしまったので、自宅の周辺にあるのものを題材にして取り組み始めたのが現在の作品の出発点です。

Q、応募のきっかけ、展示内容は何ですか?

2021年に新神戸のANAクラウンプラザホテル神戸で開催された「ART LIVE KOBE 2021」に参加させていただきました。
その時に下町芸術祭のディレクターさんが見に来てくださってお話を伺い、前回(2021年)の下町芸術祭を見に行ったんですよ。
長田の町のあちこちの路地を散策しながら作品を巡って、「この町の路地の感じ、好きだなあ」と感じていました。なのでそれからずっとこのロケーションで自分も作品制作をしたいなと思っていて、今回応募させていただきました。

今回制作する作品は、今般のコロナ禍以降取り組み続けてきた「行為の気配」シリーズをベースとしたインスタレーション作品です。
コロナ禍が始まった一番最初の時って、急に自分の周りから他の人が見えなくなっちゃったじゃないですか。でもいなくなってしまったわけじゃなくて。どこかにはいるけど見えなくなってしまった誰かをどうにか感じる方法はないかと考えた結果、誰かの動作の痕跡が残されたものを集めるようになりました。

例えば街中に落ちている、誰かがくしゃっと潰した空き缶やペットボトルなんかを拾い集めて、その中に直接樹脂を流し込んで形を写し取って、周りの容れ物の部分は取り除いてしまって、“知らない誰かが無意識に作った形”だけになった立体作品を制作しています。
その空き缶を拾った時にはもうすでにその場からはいなくなってしまっている誰かが、それを置いていった時には、何気なくくしゃっとつぶしたその瞬間には、確かにそこに存在していたんだということが確信できるようになるんですよ。

Q、下町芸術祭への意気込みをお願いします。

下町芸術祭のことを知って、実際に前回に見に行って、素晴らしいなあと思っていました。
そしたら下町芸術大学というセミナー的な活動をされてらっしゃって。
地域と芸術とのまちづくりの話も毎回おもしろくて、2カ月に一度くらい長田に通っていました。

次こそは下町芸術祭に出たいなとずっと思っていて、今回公募という形をとられるということだったので、応募させていただきました。
取り組み自体が素敵だなと思っていたから、意気込みとしてはもう、前から参加したい一心で、念願のっていうやつです。(笑)

Q、最後に、見どころを教えてください!!

僕の作品は、過去に誰かが残したものやその人が存在していたことを確かめるということを主軸にしています。
古い建物、今はもう住まれなくなった場所とも相性がいいと思うので、今回の会場はそういう部分に注目して選ばせていただきました。

作品にはそこら辺に落ちてる普通のゴミを使うんですけど、「誰か」が残したゴミに直接触れて作られたっていうことが大事だったので、僕の手でその形に似せて作るんじゃなくて、ゴミの中に直接樹脂を流し込んで、ゴミ自体を型として使っています。
一応洗ってから作ってますけど、拾ったときはめっちゃ汚いですからね。(笑)
それが物質の質感だったりパッケージデザインだったりがなくなって、誰かがくしゃっとした形だけになるんですけど、それが透明な形だけの状態になった時にすごく美しくなるんですよ。
最初の綺麗じゃない状態を知ってるので、あの汚いゴミを残した人は実はとっても美しい形を作り上げていたんだぜっていうことを発見する嬉しさがあります。

ただ何の気なしに作ってしまったそこにすごい美しさがあるっていう。
人間ってわざわざ美しいものを作ろうと思わなくても、普段から知らず知らずのうちすごく美しいものを生み出し続けてるんじゃないか、ということを僕は感じながら制作しているので、そういうところを見ていただけると、とても嬉しいです。
だから僕が作ったというよりは、今回長田のまちで集めたもので作るので、それってもうメインは長田の方が作ったようなものですよね。
まちの人が見に来てくれたときに、自分かもなと思いながら身近に感じていただけるとすごく嬉しいです。

今回は長田区域全体を対象にしてるんですけど、リサーチ活動の様子を写真か映像か、何かしらの形で取り入れていきたいので、皆さんの見知った光景がそこにあると思います。