長田の最大の魅力”人間関係の力”を次世代へ「ナガタお好み焼きセッション」初開催!イベントレポート
2022年3月26日、長田区で初開催となる「ナガタお好み焼きセッション」が行われました。
募集定員を大幅に上回る40人近くの方々にご参加いただき、「長田」を切り口にさまざまな人が交流しました。今回は交流やイベントの様子をレポートします!
ナガタお好み焼きセッションとは?
そもそも「ナガタお好み焼きセッション」とは何ぞや!というところからお伝えしていきます。
他のnoteの記事にあるように、下町や商店街があり、人とのつながりや温かさを感じられるコミュニティが存在している長田区。そしてそこでは、程よい人間関係がミックスされ、ユニークな取り組みがたくさん生まれています。そう、具材の組み合わせによって多様な味を奏でる、ナガタ名物「お好み焼き」のように!
このような、素晴らしいお好み焼きコミュニティが今後も生まれ、長田区最大の財産である“人間関係の力”がさらに活かされていくことを目指して、今回のイベントが誕生しました。
長田で何かやりたい・始めた、暮らしの情報を知りたい、特技を活かしたい人同士が、自分の活動や関心事を伝えあったり、子育てなど暮らしに役立つ情報・近々やってみたいことを語り合ったり、と様々な情報交換や知り合いづくりができる交流の場、それが「ナガタお好み焼きセッション」です。お好み焼きを囲んで話すような気分で交流できたら、という思いをタイトルに込めていますが、なんと実際にお好み焼きは出てきません(汗)。
初開催となる今回は、お好み焼きの聖地「新長田」で開催。近年誕生した「新長田合同庁舎」の1階、神戸生活創造センターの全面協力を得て、フリースペースを大々的に活用させていただきました。SESSION1はゲストトーク。SESSION2はみんなでフリー交流会、と2部構成で進行しました。
オープニング
“本物のお好み焼きは出てきません!”
だけどこんなもの作ってきました!と手作りの巨大お好み焼きと巨大コテを披露するところから始まったオープニング。このイベントの進行を担当されている、こと・デザインの角野さんより、開始の口火が切られ、イベント趣旨やスタッフの紹介、グラフィックレコーディングでみんなの話がリアルタイムで記録されるという説明もありました。
(注)グラフィックレコーディング:文字や絵、アイコンなどを用いて、話し合いを模造紙やホワイトボードに可視化する方法。
そして、巨大コテを持ち上げているのが、長田区役所まちづくり課の平野さん。
”人同士の出会いから面白い動きが生まれる長田。今日も楽しみです!”
“一般的には『イメージが悪い』と言われている長田ですが、来てみたらめっちゃいい所じゃないですか?!その魅力の源泉は「人」。そんな人同士の出会いから面白い動きが長田でどんどん生まれているので、今日もどんな出会いが生まれるか楽しみです!”と、想いを熱弁しました。
ちなみに、巨大コテは、発言が長くなった人に注意を促し、進行を管理するのにも使えるようになっています。
SESSION1|ゲストトーク
今回のイベントでは、介護・医療・教育・IT等、活動も様々で、かつ居住・移住・通勤・Uターン等、長田への関わりも様々な5人のゲストをお呼びし、まずはゲスト間で、ご自身の活動や長田との関わり、長田の好きなところ語っていただきました。
まずはトップバッター、保育士起業家の「合同会社こどもみらい探求社」小笠原舞さん。
“まちの中で子どもたちが育っている!このまちで子育てしたい!”
“社会課題ってなんで減らないの?核家族って大変じゃない?という疑問から「福祉×教育」を軸に、大人も子どもも個性豊かに過ごせるように!を目指す活動をしています。いろんなきっかけで長田の人たちと出会い、まちの中で子どもたちが育っている様を目撃し、このまちで私らしく子育てしたい、と移住を決断しました。子育てコミュニティの場とか、いらんやん!て思えるほど、まちの中で子育ての助け合いができているところが長田の魅力です。“
2番手は、理学療法士で福祉やデザイン事業など幅広い事業を手がける「株式会社PLAST」の廣田恭佑さん。
“「こんな人おらん?」と聞いたら、すぐ誰かとつながる豊富な人材が魅力”
“長田との関わりは、起業する場所を探していて、たまたま見つかった物件が新長田にあったことからです。リハビリ事業からはじまり、保育施設、福祉用具店、チョコレート店と事業が増えていき、そこから、商店街と関わるようになりました。今やりたいことは、商店街を中心としたにぎわいづくり。ちなみに長田のいいところは、美味しいお店がたくさんあること。宝寿し、イカリ、神戸キムチはおすすめです。また、長田では「こんな人おらん?」と聞いたら、すぐ誰かとつながるくらい、多様で豊富な人材がいます。これもまた魅力です。“
つづいて、フリーランスのシステムエンジニアである栗本裕基さん。
“1人仕事の孤独感を解消する活動で仲間を増やしたい!”
“生まれも育ちも長田。東京のIT企業へ勤めることがきっかけで神戸を離れたのですが、コロナ禍の完全リモートワーク化をきっかけに帰神し、その後フリーランスのシステムエンジアとして独立しました。現在は、企業のスタートアップ支援としてECサービス、スライドサービスなどの事業に関わっています。長田の好きなところは、交通の便が良く、適度に公園もある、そして、大好きなあぐろの湯。もちろん、この後も行く気満々です。今後やりたいことは、フリーランスならではの悩み「1人仕事の孤独感」を解消するべく、イベントをして、フリーランスの仲間を増やしていきたいです。“
お次は、作業療法士で社会人大学院生の今田泰裕さん。
“移住して最初のお好み焼き屋さんでアットホームな関係が生まれました”
“元々、仙台出身で、大学を機に神戸に来ましたが、就職で一旦神戸を離れました。その後、大学院進学のために再び神戸に帰ってきました。下町や商店街があるエリアを希望し、新長田に移住を決めました。移住して最初に訪れたお好み焼き屋さんで、鉄板一つを囲みながら、その場でアットホームな関係性が生まれました。銭湯好きでマラソン好きなので銭湯ランナー部に入り、高速まち歩きをしてるような感じで、いち住人として日々色んな発見を楽しんでます。人との関わりの中で暮らしてる実感があるのが長田の魅力ですね。“
最後は、「株式会社Happy」にて介護事業をはじめ多様な事業を展開されている首藤義敬さん。
“「そこにいて何かやりたい人たちとやりたいことをする」ことを大事に”
“長田で生まれ、長田で育ち、長田で子育てしている生粋の長田の人です。「カオスクリエーター」と自称するくらい、とにかくカオスを生み出していくことが好きです。多世代型介護付きシェアハウス「はっぴーの家ろっけん」は、子育てと介護が重なって自分達だけでは大変なんで、周りを巻き込んでやってしまおうと「エゴを社会化」するところからはじめました。高齢者の方が入居する介護施設でもあり、近所の子どもが遊びに来る場所でもあり、日々様々な人が集うカオスな場となっています。
「そこにいて何かやりたい人たちとやりたいことをする」ことを大事にして、はっぴーな暮らしを問い続けたいと思っています。長田って多様な人たちが集うエリアだから、多様性のパズルを集めて、ダイバーシティな社会を作りたいです。“
皆さんのトークが終了後、それぞれの活動や長田への思いを聞いてから、長田を軸に探り合いトークをしていきました。
「ちゃんとしなくても良いまち」と「程よい距離感」が安心感に
栗本さん:「はっぴーの家ろっけん」って、たくさん色んな人が訪れてると思うんですが、来る人のコーディネートってどうやってるんですか?気軽に行っても良いんですか?
首藤さん:特に何もやってない、というかほったらかしです(笑)。誰でも気軽に出入りできるようになってますけど、たぶん放置されます(笑)。あの場所には、空間が散らかっていても良しとする「だらしなさのデザイン」ていうのがあって、もしかしたら、そこからくる「敷居の低さ」が来る人にとって、受容されてる感覚になってるかもしれません。
小笠原さん:似たようなことは、長田のまち全体にもあって、出張して新神戸駅に帰ってきて、新長田駅に降り立つと、そこで何か安心するんですよね。長田が「ちゃんとしなくても良いまち」という感じ。先程、今田さんもおっしゃられてましたが、お店の人が話しかけてくれるとか、地域の人も程よい距離感で接してくれて、「地域にいる」実感をあらためて感じます。
今田さん:そうですね。まちの人が何となく自分たちのことを知ってくれてて、家族ってほどでないにしても程よい距離感がいいですね。で、ちょっとさみしくなったら、子ども連れて銭湯行ったらかまってくれたりとかすると、地域の一員として認められてるんだなとか、地域の中にいるんだなという実感が本当にありますね。
小笠原さん:銭湯は衝撃的ですね。銭湯のおばちゃんが優しい!子ども見といたるわの一言でとても助かる。
首藤さん:銭湯はいいよね。萬歳湯の電気風呂は最高にしびれます。飛び上がるほど。あと、廣田さんに聞きたいんですが、なんで長田を起業の場所として選んだんですか?それ気になってて。
「関わりしろ」と「縁をつなぐ場所」がやりたいことを生んでくれる
廣田さん:元々は長田にこだわりがあった訳じゃなくて、何店舗か展開したら別の地域に進出しようかなーって思ってたけど、商店街やまちの人と関わってるうちに、関われそうな余白があって、間にある穴をぽこぽこと埋めていけそうやなーと思って、色々やってたらたくさんの事業をやることになってました(笑)。長田って、関わりしろという意味のゆるさもある地域だなとも思います。あと、コミュニティの縁をつないでいける場所が点在していることも魅力でしたね。
小笠原さん:そういう、縁をつなぐ場所って子どもの教育的要素にもなりますよね。子連れでの外出って大変だけど、子どもにとっての刺激物をまちが作ってくれているのは、すごくいい環境。
栗本さん:あの、どなたかに聞きたいんですが、大人と子どもが参加できるボードゲームのイベントをしたいと思ってて、どこかそれができるいいところないですかね?
会場から:この会場を管理してる、神戸生活創造センターの早瀬です。この施設でイベント企画してくれる人を探してるんで、是非つかってください!
角野さん:さっそく、なにか実現しそうですね!さすが長田!ちょうどいい感じなんで、次のSESSION2に進みたいと思います。
自分がやりたいことを伝えたら、アイデアやリソースがたくさん生まれる。これこそお好み焼きコミュニティ。そんな瞬間を垣間見たトークでした。
SESSION2|フリー交流会
ゲストトーク終了後は、全員参加のフリー交流。まずは、参加者一人一人がマイクを持って、普段の活動、長田への思い、なぜこのイベントに来たのか、などご自身のことを簡単に紹介。
カポエイラでの健康改善を実践されている方がいたり、「新長田ばかり話が出てるけど、高速長田も良いんだよ!」と声を上げてくださった方がいたり。はたまた、長田をフィールドワークにまちづくりの勉強をしている学生さんや「今度お店を出します!」とお知らせしてくださる方、そして障がい者アートのアーティストとして活動されている方、長田のまちをどうにかしたいという熱い思いをお持ちの方など、まさに多種多様な人たち、それぞれの人となりがわかってきました。
それぞれの人となりがわかったところで、完全フリーのごちゃまぜ交流がはじまりました。それぞれの自己紹介を聞いて、「繋がりたいな」「面白いな」「何か一緒に活動したい!」と思う方々同士が自由に交流していきました。
写真から見て分かるように、皆さんご自身の活動やお仕事に熱い思いをお持ちで、交流会もとても熱量が高かったです。
大人が交流しているのを横目に、子どもたちも子ども同士で遊んだり作ったりと、子どもたちも交流していました。
クロージング
最後に、交流からどんな話ができたか、どんなことが生まれそうかと、参加者の皆さんと全体でシェアしました。
苅藻川の清掃活動をされている方と長田中学校の先生方がつながり、一緒に活動するお話が生まれたり、高速長田エリアで活動する方同士がつながることができたという声や真野エリアで空き家リノベーションを進めている方に、住みながら交流したいと言ってくれる方が話しかけてくれたり、すでにたくさんのつながりが生まれていったようです。そして、次回のこのイベントをぜひ高速長田でやりたい!というコメントもいただきました。
次回はまだ未定ではありますが、このイベントから皆さんがつながって、新たな長田の魅力が増えていくと素敵だなと感じたイベントでした。
最後にお好み焼きのポーズで集合写真!皆さん、お越しいただきありがとうござました!
文:有廣悠乃 編:角野史和(こと・デザイン)