シャンブルズ

 1学期の中間テストがついこの間終わった。僕にとっては"教員人生初めてのテスト期間"だった。テストの点は"自分の授業でどれだけ生徒が理解できているか"が顕著に現れる。テストを受けるのは生徒だがテストされているのは教員側だと感じた。だから、採点するのは楽しみな事でありほんの少し怖いの事でもあった。

 採点した結果

全体的に良かった。

もちろん個人の能力差があるので良い点を取っている子も入いれば、少し努力を要する子もいた。もちろんそれはそれでフォローしないといけないけれど、とりあえずはクラス全体の出来が良かったので安心した。

しかし、ここで1つの問題が発生した。

隣のクラスの点が良すぎた。

隣のクラスは違う先生が担当しているのだが、そのクラスの点数がめちゃくちゃよかったのだ。平均90近く。高すぎる。僕は少し動揺したが、『よそはよそ!』のマインドで自分を納得させた。

そして迎えたテストの返却日。自分の点数を見た生徒は満足げな表情を浮かべていた。難しいもので、決して悪い点ではないし、どちらかと言えば良い方だったが、こちらからすると満足して欲しい点ではない。そこで僕は生徒の闘争心に火をつける事にした。

もちろんその材料は隣のクラスの平均点だ。

意外と凹んでた。うそーん。凹むんかい。「期末では逆転してやるよ!」ぐらいの反応を予想していたのに...僕は"慰める"方向に舵を切る事にした。

「先生も一年目だからまだまだ授業にも改善点はある!だからその分全力で授業をするから、みんなもついてきて!!」

という話をした。するとさっきまでの様子から打って変わって、クラスの雰囲気はまたいつもの"ちょい調子乗り"に変わっていった。

そして1人の生徒が

「先生!先生は1年目ですよ!最初から上手く行く方がおかしいですよ!元気を出してください!!」

と言ってくれた。純粋に嬉しかった。そしてこの言葉に甘えることのないよう精進していこう!と決心した。みんなありがとう!慰めてくれて!

ん?慰めてくれて?

慰めてたつもりがいつの間にか慰められていた!立場が入れ替わっている!シャンブルズされている!おそらく生徒の中に"死の外科医"がいる!

期末では慰められることのないよう、生徒の自信につながるよう、授業の質を高めていきたい。



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