大人がそんな簡単に走んな

ここ数日、夏が過ぎて秋を感じさせるような日が続いていたが、今日は暑い。とは言っても、やれ真夏日だ、やれ異常気象だと騒ぐほどの暑さでもない。こんな日はカフェに行くとよい、と相場が決まっている。

と、いうわけで僕はカフェに向かった。その店は車で10分で行けるところにあるが、川と山に囲まれていて、ゆっくりとした休日を過ごすにはピッタリだ。

店は山道の途中にあり、一本道。僕の後ろには一台の車。ルームミラーで確認すると、僕と同世代のカップルが乗っていた。僕は駐車場で車を停めた。後ろの車はと言うと、店のギリギリまで車を寄せて女だけ降り、先に店にむかった。男はその後、車を停めて後から合流する算段だ。この時点でその女は僕より少しだけ後ろにいた。

そして、女は走り始めた。

そして、こいつはそのまま店の入り口まで走り続け、紙に名前を書いた。この店はとても人気のカフェで割と待つ事が多い。だから、少しでも待ち時間を少なくしようとしたのだろう。実に姑息だ。ルールには反していないがモラルには反しているだろう。日本人のいいところ全部捨ててしまっている。日本出ろ。

駐車場に車を停めずに女だけ降り、そのままダッシュで店に入る。そうする事で僕を追い抜き、待ち時間は少なくなる。しかし、その後、僕も同じ店内でコーヒーを飲むのだ。ちょっと気まずくなるだろう。だから普通の人は数十分後の事を考えて、そんなことはしない。でもこいつらはおバカちゃんだからそんなことをしてしまえるのだ。数分後の事は考える事ができても、数十分後の事は考える事ができない。脳みそがチロルチョコぐらいしかないから。

そもそも、カフェなんてゆっくり過ごしに行くものなのだから、そのために必死で急ぐなんて本末転倒だろう。例え僕の後になったとしても10分ぐらいしか変わらない。その10分が惜しいのならカフェなんか来るな。給水所で水飲め。

僕の先を行く女を追いかけて髪の毛引っ張り回して、ツバでも吐きかけ踏んづけてやろうかとも思ったけど、それじゃ僕もカフェに来た意味がなくなる。ミイラ取りがミイラになってしまってはいけないので、今回は許してあげた。カフェに免じて。カフェの神様に感謝しろ。

こいつらのちっちゃい脳みそならコーヒーの味の違いもわからないだろう。

お前らにコーヒーはもったいない。泥水すすっとけ。


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