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お守りレシピ1. 炊き込みごはんの方程式

#捨てない料理チャレンジ  へようこそ!
古くても、中途半端な量でも捨てずに料理できる、困った時のお守りレシピをお伝えしています。

今回のテーマは、炊き込みごはん。

米離れが進む中、なぜごはんを初回にしたか。それは、炊き込みごはんは忙しい人の完全食になるからです。これさえ覚えれば、冷凍もできるし、お弁当にも朝ごはんにも夜食にも使い勝手がいい。スイッチひとつで完成し、これ1つで満足いく1食が完了する「忙しい人にスーパーポジティブな調理法」なのです。

食品ロスの観点から言えば、糖質オフダイエットの流行等により、米離れが加速し米の廃棄が問題になっています。米が売れなければ米農家さんは減少し、将来日本で米が食べられなくなるかもしれません。
遠い国から小麦粉を輸入するより、地元で生産されたお米を食べてほしいという願いを込めて、初回はお米でスタートです!

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米を食べなくなった日本人/nippon.comより引用

1.炊き込みごはんは塩分が決まっている

炊き込みごはんをおいしく作るポイント。それは、塩分です。炊き込みごはんは、塩分さえ守れば味付けで失敗することはほぼありません。

米 2合に対して、塩5g

これだけ守れば、おいしくできます。
簡単でしょう?

豆ごはんは、米2合、塩 5g(=小さじ1)、グリンピースを一緒に炊き込めばできますし、夏に人気のとうもろこしごはんも米2合、塩5g、とうもろこしで完成です。

シンプルな炊き込みご飯として有名なのは、
春の豆ご飯、夏のとうもろこしご飯、秋の栗ご飯、冬の大根ご飯といったところでしょうか?(大根は普通じゃない?おいしいですよ!京都時代によく作りました、ぜひお試しください) レシピがなくても、米2合に塩5gだけ覚えていただければ、すぐ作れますね。シンプルな炊き込みご飯は風味をつけるために酒 スプーン1杯分程を入れる場合もあります。米がふっくらして、食材の臭み消しになったりするので、余力があれば入れてみてください。

では、この炊き込みごはんをもっと広げていくにはどうしたらいいでしょうか。この後は、ひらめく方程式をお伝えしていきます。

2.炊き込みごはんの広げ方

炊き込みごはんで変化させるのは、この3つ!

炊き込みごはんを作っているのは、水、調味料、具材の3つです。これを「2合の米に塩5g」の塩分量を守って変化させていきます。まずは、ひとつ目、塩分。

①調味料を変える

2合に対して、塩 5gとお話ししましたが、では塩以外のものを使うときはどうすればいいでしょうか。
調味料には塩分が決まっているので、以下を参考に調整します。

塩 小さじ1=塩分5g
醤油 小さじ1=0.9g
ナンプラー 小さじ1=1.4g
めんつゆ(3倍濃縮) 小さじ1=0.6g
ポン酢 小さじ1=0.5g
味噌 小さじ1=0.8g
オイスターソース 小さじ1=0.7g
ケチャップ 小さじ1=0.2g

塩分一覧

細かい差はありますが、わたしは「塩以外のサラサラした調味料は大体小さじ1=1gの塩分」と覚えています。

そうすると、例えばとうもろこしごはんをさっぱりとした夏向きにしたかったら、米2合、ポン酢 大さじ2、塩 2gに調整すれば良いのです。エスニックにする場合は、ナンプラーを効かせて米 2合、ナンプラー 大さじ1、塩 2g。という具合に、塩分(2合に対して塩5g)に合わせ、調味料を調整していきます。

塩分5gというのは、そのままでおいしい塩分量です。例えば、とうもろこしごはんとカレーを合わせるといった、別で味が濃いものを使うときには2合に塩5gではなく、4g、3gと減らしていきます。

調味料によって味の役割が決まっているので、以下を参考にアレンジを楽しんでくださいね。

・しょうゆ→色をつける(茶色はおいしそうな色に仕上がる)。大豆の風味をつける。臭み消し
・めんつゆ→だしを取るのが面倒なときに使う。めんつゆには既に味醂や砂糖などが入って甘辛い味になっているので、お子様向けやコンビニの炊き込みごはんの味を目指したいときには使うのがおすすめ
・ポン酢→酸味が加わり、さっぱりした味に仕上げたいときに使う。例えば、牡蠣、きのこ、秋刀魚など、シンプルに焼いてポン酢をかけるとおいしい食材は炊き込みごはんで合わせてもおいしい
・味噌→隠し味に使うと、味に深みが出る。味噌バターコーンや味噌豚骨のように、既に味噌と相性のいい人気の味付けなら間違いない。味噌だけで味をつけようとすると、味噌風味が強くなってしまうので、塩分の半量ぐらいまでにして塩で味を整えたほうが良い
・ナンプラー→エスニックの味付けにするときにおすすめ。最後に刻んだパクチーをのせると相性抜群
・オイスターソース→めんつゆのポジションに近く、これだけでうま味も甘みも入っているので味を決めやすい。中華風の炊き込みごはんに使える
・ケチャップ→オムライスのケチャップごはんを作るときに。それ以外にも、トマトの旨味がたっぷり入っているので、洋風の炊き込みごはんをするときの味の隠し味としても使える

とうもろこしごはんを醤油風味に変えた.ver

②液体を変える

米を炊くときの水分を変えることで、味のバリエーションを出すこともできます。水分量は、炊飯器のメモリに合わせればOKですが、土鍋などご自身で調整する場合には、1.2倍という数字を覚えましょう。

米(1合180ml)の1.2倍=216ml水が必要 

米に対する水分量

216mlの水分を変えることで、バリエーションを出していきます。

かつおと昆布の出汁
昆布出汁
鶏出汁(中華風だし)
洋風出汁(コンソメやブイヨンと呼ばれるもの)
ホタテ出汁
あご出汁
牛乳
トマトジュース
麦茶
緑茶

とうもろこしの炊き込みごはんを、麦茶で炊くと香ばしさが加わっておいしいですよ。また、水をだしを加えることで、少ない塩分でもおいしさが続くようになります。お弁当など、冷めておいしい状態を目指すときには、液体をだしに変えるのはおすすめです。

そら豆ごはん、昆布だしと生姜を効かせています

③具材を変える

炊き込みごはんには、具材と米の量にルールがあります。

具材は米の1/2量まで(米2合の場合150gまで)

米1合=150gです。
(※米 1合は重量は150gですが、容積になると180mlです!先程の水分の計算は180mlを使っているので、混乱しないようご注意ください)

具材を多くすると米も具材も生炊きの原因になるので気をつけましょう。具材は何を入れても OKですが、長時間の加熱に向かないものは相性が良くありません。ごはんは炊くのに15分ほど沸騰状態を保ちます。つまり、15分煮込んでもおいしいものなら何でも大丈夫です。スープでコトコト煮込めるものなら大概OK。しかし、サラダで食べるきゅうりやレタスなどの葉野菜は食材の食感が悪くなるので避けた方がいいでしょう。

例えば、とうもろこしごはんを、ホタテととうもろこしの洋風炊き込みごはんにする場合は、米 2合、洋風だし、塩 5g、ホタテ+とうもろこしで150g にすると完成します。

ピラフのように、米をパラパラした状態に仕上げるときには油を足すのがおすすめです。

・ピラフ=バター、オリーブオイル
・中華チャーハン風=ごま油

例えばとうもろこしごはんを、中華風チャーハンに仕上げる場合、米2合、中華だし(鶏ガラだし)、醤油 大さじ1、塩 2g、とうもろこし・ねぎ・チャーシュー(150gまで)、ごま油 小さじ1 といった形になります。

3.#捨てない炊き込みごはん を作る

さて、#捨てない炊き込みごはん を作るときには、3つのポイントを押さえるとおいしく仕上がります。

①酒を足すと風味UP

古くなった食材は臭みが出たりしているので、酒を加えると柔らかな香りになります。また時間がたって乾燥してしまった食材でもふんわり仕上がるので、入れるのがおすすめです。

②香りを組み合わせる

以前のnoteでもお伝えしましたが、食材は古くなると香りからなくなっていくので、香りの組み合わせを楽しむのがおすすめです。
香りといっても、実は塩+水以外であれば、全部香りがあります。しょうゆの香り、だしの香り、バターの香り…。

なので、鮮度がよいときはシンプルな調理でOK。
(とうもろこしごはんなら、米、塩、水だけ)

少し古い(=捨てない料理)場合は、風味を足すとおいしく仕上がります。調味料以外にも、スパイスやハーブなどを足していく方法もありますが、香りは紹介すると本1冊分ぐらいのボリュームになってしまうので、今回は夏のおすすめの香りを紹介します。

・大葉 夏の和ハーブ。千切りにして出来上がったごはんにのせる
・バジル 夏に安くなるので、洋風の味付けに組み合わせるとおいしい
・にんにく 夏バテで食欲のないときにおすすめ。一緒に炊き込む
・山椒 粉でOK。夏食材と相性がいい。和風の味付けに出来上がり時にかける。
・カレー粉 米2合に小さじ1ぐらいで風味がつく。食欲のない日におすすめ

残った乾物(ひじき)と冷凍の鮭とめんつゆの炊き込みごはん、山椒を効かせて。

③予約炊飯しない

夏場は水でも腐りやすい季節です。万が一、食材に菌が付着していたときに、ごはん全体に菌が増殖してしまうので、セットしたらすぐスイッチを入れましょう。
これは通常の炊き込みごはんでも言えますが、調味料が沈んでしまい味村の原因にもなるので基本的に炊き込みごはんは予約炊飯はNGです。

帰宅してすぐ食べたい!起きてすぐ食べたい!という場合は、洗米し、具材は切っておく、調味料は合わせておき、全てを冷蔵庫にしまっておきます。直前で釜に入れ、炊飯することで対応しましょう。

4.食べきれない場合には?

冷凍保存が可能です。
ごはんを冷ましてから冷凍される方もいらっしゃいますが、炊き立ての湯気まで包み込むと解凍したときにふっくら仕上がるので、熱々を冷凍しましょう。

ラップにごはんを1膳ずつのせ、なるべく平に広げます。冷凍庫は、急速室があります。氷を作るコーナーの隣です。この部屋にはアルミのトレイが一緒に入っているはずです。すぐに冷気を回すためのものなので、アルミトレイに乗せ、急速冷凍室で半日以上置きましょう。凍ったら、通常の冷凍庫に移動させてOKです。

炊き立ての湯気まで包み込むのが大事

冷凍炊き込みごはんは、夜食や朝ごはんにはもちろんのこと、仕送り飯にも使えます。ごはんは正しく冷凍すれば、おいしく保存できるので「熱々を包む、平にする、急速冷凍室を使う」などのポイントを意識してやってみてくださいね。

5.事例紹介

買い物に行ったら焼きそば麺が1袋だけ、赤いシールが貼られ半額になっていました。一人分の麺ってご家族がいる方は使いにくいですよね。私はオイスターソース、ウスターソース、塩で「2合の米に塩分5g」を作り、麺、冷凍庫に残っていたえび、キャベツ、ねぎなどを入れて炊き込みました。懐かしのそばメシがスイッチ一つで完成です。こちらは、6/18のInstagramの投稿では動画で詳しく紹介しています。

劣化の早い枝豆が黄色くなっていました。こうなるともう誰も買いません。枝豆はとれたての方が香りが高いので、黄色くなるほど時間が経つと枝豆の香りは弱まりますが、違う風味を足せば新しい味が生まれるかも!?ちなみに古くなってもタンパク質などの栄養素は変わりません。タンパク質と食物繊維も取れる枝豆を加えて、完全食な1品を作りました。食材は古くなると乾燥してかたくなりやすいので酒をふって、塩5gで炊いていきます。炊き上がったら、刻んだわかめとごま油。懐かしのわかめごはんの完成です。こちらはInstagram6/19の投稿です。

仕事終わりの18時、鮮魚コーナーにタコが15パック残っていました。こんなときは助け合いです。タコは捨てられがちな長ネギの緑の部分と一緒にネギ塩味の炊き込みご飯にしました。水のかわりに中華だし、しょうゆ、塩、風味付けにごま油。黒こしょうを効かせて完成です。こちらはInstagram 6/18の投稿です。

はじめての #捨てない料理チャレンジ 参加者はyumiさん!冷蔵庫に置き去りかけたとうもろこしをおいしく変身させました(拍手)。Social Foodie(社会問題をおいしく解決する、社会グルメさん)が増えて嬉しいです。そして炊き上がりの動画がおいしそうですね〜。

その他、多くのメッセージやコメント頂戴しています。

「炊き込みご飯、ずっと味薄くてうまくいかなかったんですが、いまはすごく美味しくできるようになって、家族にも好評です!♡残ったおかずを入れて美味しく炊き込みご飯作れました🥺💗💗💗ありがとうございます♡」

食品ロスなどの社会問題をおいしく解決する人を「Social Foodie(ソーシャルフーディー)」と名付けました。社会グルメさんが増えてとても嬉しいです。ぜひ皆さんの #捨てない料理チャレンジ のご報告も楽しみに待っています。ハッシュタグをつけて投稿するか、DMなど頂戴できればすべて見にいきます!読んでくださっているあなたの、素敵なアクション待っています。

6.あとがき

炊き込みごはんはおにぎりにしておくと、重宝します。海苔で巻いたまま冷凍し、食べたいときにチンするだけで片手で食べられます。
私は男性と同じぐらい食べてしまう食いしん坊なのですが(デート代がかかると言われたことまで…)、連日の猛暑で食欲減退…。でも、味がついた炊き込みごはんだと、食欲がなくても食べやすくて本当に助かりました。まだまだ暑さが続きそうですね。残り物もぜひおいしい炊き込みごはんに変身させてください。

それでは、ここまで読んでくださったSocial Foodieさん。ありがとうございました。

あなたの捨てる瞬間が、「食べたい」瞬間にかわりますように。


▶︎ お守りレシピ2.焼き浸しの方程式

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