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お守りレシピ2. 焼き浸しの方程式

#捨てない料理チャレンジ  へようこそ!
食材が古くなっても、中途半端に残っても困らない「お守りレシピ」をお伝えしています。

今回のテーマは、焼き浸し。
油を使わず作ればおひたしに、冬は片栗粉で閉じればあんかけに、と、このパターンから100個は組み合わせが広がる調理法です。

特に、夏食材は浸せばいいと言い切れるほど、今時期の食材と相性の良い料理です。
朝、ゴミ捨てに出ただけで、汗が止まらない季節がきましたね。汗は水分だけでなくミネラルを失います。つまり、みなさんの体は塩分を求めています。焼き浸しは、食材に塩分を染み込ませた状態で、なおかつ冷蔵庫でキンキンに冷やして食べられるので、夏の食事にぴったりというわけです。

特に、食材を選ばない調理法なのが良さだと思います。野菜だけでなく、肉、魚、豆腐、卵と比較的なんでも浸けておけます。

調味料は、だし汁、しょうゆ、みりんだけでOKです。でも、最近はだしをとらないご家庭も多いので、めんつゆ.ver 、白だし.verも解説しました。似た調理法で南蛮漬けがあります。調味料を一部変えるだけなので一緒に覚えてしまいましょう。冷房で冷えた体に、冬までこの知識を活かすために、焼き浸しをおろし煮やあんかけにする方法も紹介します。

公開時は「揚げ浸し」と紹介していたのですが、たくさんの油は必要ないので「焼き浸し」という表現に変えました。めんどくさくなったりや微妙な量の残り物食材は、炒めて浸けて、おいしく捨てない料理に変えていきましょう!

1.そうだ、焼き浸しにしよう

①だし

だし 100ml
しょうゆ 15ml(大さじ1)
みりん 15ml(大さじ1)

だし.ver 焼き浸しの調味料

火を通し、揚げたり炒めたりした具材をこの調味料に浸しておけば完成です。具材は調味料と同じ量、つまり具材が100gぐらいの時は上記の分量で、具材が200gになるときは、だし200ml、しょうゆ大さじ2、みりん大さじ2と調味料も増やしていきます。漬け込み時間は、冷蔵庫で30分以上。しっかり冷やしたほうが夏場はすっきり食べられます。

油をつかわず、ゆでた小松菜やブロッコリーなどそのまま浸せばおひたしになります。

おひたしは、奥ゆかしい料理です。前菜やメイン料理の添え物に使われることが多く、献立全体のバランスを考え、主張しすぎない味つけを心がけます。今回の分量でおひたしを作ると、少し濃いめの配合です。食材を油でコーティングする焼き浸しに合わせた配合なので、おひたしにして濃かったら、後からだしや水を足して調整できます。一度こちらの配合で作ってみて、濃かったら後から薄めてご家庭の味になるようご調整ください。

作り方です。
タッパーや深めの皿に、調味料を直接入れます。今回は一度沸騰させるといった面倒なことはせず作ります。調味料を火にかけるメリットは2つ。①加熱殺菌されるので日持ちする ②みりんに入っているアルコールを飛ばす。3日ぐらい日持ちさせたい時、お子様が小さかったり、アルコール臭さが気になる方は調味料は一度沸騰させてお使いください。明日までには食べ切るわって方は、調味料は加熱せず直接混ぜ合わせて問題ありません。

食材は火を通せば、レンチンでも炒めても、揚げてもOKです。大切なのは、熱々で漬け込むこと。味は冷めていく過程で入ります。食材が頭まで浸かっていない場合には、ラップを食材を覆い隠すブルーシートのようにドボっと被せましょう。粗熱が取れたら冷蔵庫に入れて、半日〜寝かせます。

思い立ったら京都に行こう、と宣伝したJR東海のCMように、残った食材を見たら「そうだ!おひたしにしよう」と思い出しましょう。どうせ冷蔵庫で寝かせても、明日も同じように困るんです。ならば、さっさと味をつけて翌日おいしい状態にした方が、明日の私も食材も幸せです。

2.だしを作らずお浸しをする方法

思い立ったらすぐ作れるのが、焼き浸しのよさなので、だしがなくてもおいしく代用できる調味料をご紹介します。

②めんつゆ

めんつゆ(2倍濃縮) 45ml(大さじ3)
水 75ml(大さじ5)

めんつゆ.ver 焼き浸しの調味料

③白だし

白だし 30ml(大さじ2)
みりん 10ml(小さじ2)
水 80ml

白だし.ver 焼き浸しの調味料

みなさん、何気なく使っているめんつゆと白だしの違いはご存知でしょうか?同じメーカー同士で比較するために、今回はヤマキさんのめんつゆと白だし100mlで比較しました。

白だし→塩分10.2g、糖分7.5g
めんつゆ→塩分7g、糖分16.6g

つまり、白だしの方がしょっぱくて、めんつゆの方が甘みがある調味料ということですね。白だしは、白醤油という短い熟成期間で作る醤油を使用しています。醤油の風味は控えめで、だしの風味と塩味が強いのが特徴です。色がつかないので、食材の色を大事にしたい時に使います。塩分が高いので日持ちします。開封後の賞味期限は1~2ヶ月です。
めんつゆは普通のお醤油に、砂糖やみりんが既にバランスよく入っています。濃縮度によって賞味期限が違い、開封後ストレートは3日、2倍濃縮は2週間、3倍濃縮は1~2ヶ月。糖分も高いので、開封後は冷蔵庫で保存します。

意外と開封後の賞味期限が短い調味料です。ご家族の人数が多かったり、よく使うなら持っているに限りますが、一人暮らしやご多忙で料理頻度が低い場合には、どちらかの調味料があればよいと思います。使い切るのに苦労し、結果捨てるにつながるので、買う場合にも小さいサイズにしましょう。

例えば、先日赤くなりかけた万願寺とうがらしが販売されていました。ピーマン類は時間が経つと緑から赤に変色していきます。完熟してる証拠ですが、完熟は時間が経つと腐っていくので、買ったらすぐ料理したいところです。とはいえ忙しく、つい一回冷蔵庫にしまいたくなりました。冷蔵庫に入れたら最後、これを料理するのに重い腰を上げなければなりません。そこでめんつゆです。買ってすぐ洗い、ごま油と一緒にフライパンで炒め、タッパーに水とめんつゆ入れて漬け込み冷蔵庫にしまいました。手を動かしたのは2分。これで夕ごはんの1品が完成して、1つ食材を救えたのです。だしをとって丁寧に料理する選択肢と、すぐ料理できるための知恵を持っておくのも捨てない工夫です。調味料とは上手に付き合いましょう。

3.捨てない焼き浸しを作るポイント

①すぐ食べたい?後で食べたい?切り方で漬け込み時間を変える

基本的には、半日置いた方がおいしい焼き浸しですが、待てな日もありますね。いつ食べるかは、切り方と温度でコントロール可能です。

<すぐ食べたい>
・素材を小さめに切る
 →中まで味が染み込みやすくなります
・皮に切り込みを入れる、断面を大きくする
 →いつも輪切りに切っている場合、斜めに切る、縦長に切るなど断面を増やすと調味料との接触が大きくなり早く染み込みます
・漬け込みできたらすぐに氷水で冷やす
 →味は冷めるときに入ります
・調味料のだしや水を減らす
・かつお節 1パックを加える
 →味が濃厚になるだけでなく、調味料と具材の絡みがよくなります。見た目が散らかるので、奥の手かも

<後で食べたい>
・素材を大きく切る
 →調味料が素材に入りすぎると味が濃くなるだけでなく、素材が持っていた水分が調味料の中に出てきてしまうのでボケた味になるのを防ぎます。
・自然と冷まして冷蔵庫に入れる
 →じっくりと中心部まで味を染み込ませるために、時間をかけて調味料を入れていきます

②残った汁も捨てずに活用する

残った調味料の使い回しは可能ですが、食材から水分が出てくさりやすくなっているので次使うときには一度沸騰させましょう。味も薄くなっているので微調整を。どうせ沸騰させるなら、2回目はおろし煮やあんかけにして楽しむのもおすすめです。

焼き浸しの調味料は、そうめんつゆに近いので、そうめんにかけて召し上がるのがおすすめです。例えば、乾燥気味なトマトを湯むきして、焼いた鶏肉と一緒に漬け込みました。トマトだしのスープがそうめんによく合い、最高のおいしさでした。食材からビタミンなどの栄養素やうま味も溶け出ているので捨てるのももったいないですよ。

③日持ちさせたい

焼き浸しの日持ちは、調味料を加熱せず使ったら翌日まで。3日日持ちさせるには以下をご参考ください。

調味料を一度加熱し、沸騰させて使う
赤唐辛子を加える

4.味に飽きたらどうすればいい?

服の着回しを考えるように、料理も広げ方を覚えましょう。
困った時のお守りレシピは、1つ覚えれば100通りに広がる展開図をご紹介しています。

①焼き浸し→南蛮漬け

だし 45ml(大さじ3)
しょうゆ 15ml(大さじ1)
みりん 15ml(大さじ1)
砂糖 10g(大さじ1)
酢 45ml(大さじ3)
赤唐辛子(輪切り) 適量 

南蛮漬け

南蛮漬けは、ねぎや唐辛子、油を使った料理です。「南蛮」は本来、東南アジアのことを指していましたが、スペイン人やポルトガル人が東南アジア経由で来航したので、西欧州諸国も含めて東南アジアやヨーロッパ由来の料理には「南蛮」という名前がつきます。

さっぱりしているので、酸っぱいものが食べたい時におすすめです。
千切りのにんじん、たまねぎ、長ねぎ、セロリ、ピーマン、きゅうりなどサラダ野菜を軽く炒めて一緒に漬け込みます。一口大に切った魚や豚肉を片栗粉をまぶして揚げたものを漬けるのが一般的。作り方は焼き浸しと一緒なので、配合だけ覚えておきましょう。

②焼き浸し→おろし煮

基本の焼き浸しの調味料に、おろした野菜200g分

おろし煮

おろし煮は、すりおろした野菜を一緒に煮込んだり上にのせて食べる料理です。大根おろしが代表的ですが、れんこんやにんじん、玉ねぎなどでもおいしいです。
特に白い大根おろしの場合、雨と雪が混ざって降る「みぞれ」に似ていることからみぞれ煮とも言われます。

作り方は、基本の焼き浸しの調味料に、揚げた食材を入れて5分ほど煮込みます。煮込んでいる間に、野菜をすりおろしカスカスにならない程度に水気を絞って一緒に煮込みます。

味が変わるだけでなく、見た目も変化するので同じ調理法でレパートリーを増やすのにもってこいなテクニックです!たくさん食材が余ってしまったときの大量消費のお守りレシピとしてご活用ください。

③焼き浸し→あんかけ

基本の焼き浸しの調味料に、だしや水を大さじ2〜足して飲んでも味が濃くない程度に調整し、水溶き片栗粉でとじる

あんかけ

とろみをつけると、冷めにくくなります。
つまり、寒い日はスープよりあんかけの方が時間が経っても冷めないので体を冷やさない調理法です。しっかりとろみをつけ、ごはんにのせたら中華丼、やきそばにのせたらあんかけ焼きそばです。

水溶き片栗粉は水:片栗粉=1:1もしくは、2:1で作ると使いやすいです。大さじ1の片栗粉に、水が大さじ1という感じで考えましょう!

作り方は、調味料に加熱した食材を入れて5分煮込みます。火を弱火にし、水溶き片栗粉をはなまるを書くようにぐるぐるっと入れます。すぐに混ぜて、火を中火にし1分待ちます。片栗粉は火が通らないととろみがつかないので、火が入るまでがまんの1分。とろみが弱かったらさらに水溶き片栗粉を追加して調整します。

あんかけを作る時は、「よしよし」と褒める気持ちでたくさんのはなまるを描く気持ちで作ると失敗しないです。冬のテクニックとして、冷房に冷えた体を温めるときに、お使いください。

④風味を足す

おろししょうが、柚子胡椒、にんにくスライス

特に、味を変えるテクニックは、結構味が変わるのでおすすめです。その日の気分や、他の献立とのバランスを見て味変も楽しんでください。

5.あとがき

前回の、Eq.1 炊き込みごはんの方程式ではたくさんの#捨てない料理チャレンジ のご報告をありがとうございました。スーパーで半額になっていた食材を救ったよ、家の冷蔵庫で居残りしていたとうもころしをおいしく食べました!など多くの挑戦が生まれ、うれしかったです。

社会問題をおいしく解決する人を、ソーシャルフーディーと名付けました。社会派グルメさんという意味です。ただおいしいものを食べるだけでなく、意味を持っておいしく食べる、そんな素敵な仲間が増えるよう次回も更新していきます。

#捨てない料理チャレンジ  のハッシュタグをつけて、食品ロスを救った投稿もお待ちしています。お守りレシピを持って、捨てる瞬間が食べたいに変わりますように。


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