カフトレーニングの質を高める
「肩のインナーマッスルのトレーニングをしっかりできていますか?」
肩のインナーマッスル(主に腱板筋群:cuff)のトレーニングはゴムバンドなどを活用して行うことが多いと思います。
肩の故障を予防する上で適切なトレーニングであり、私もリハビリテーションの現場などで活用しています。
しかし、普段カフトレーニングをしている選手に実際にやってもらうと、間違っていたり、投球動作に求められる負荷がかけられていないことも多く経験します。
強化する目的の筋肉に適切な負荷がかけられないと、トレーニング効果も期待できません。
そこで、今回はカフトレーニングの質を高めるために、トレーニングの順序と注意点について解説していきます。
◼️肩のインナーマッスルとは
はじめに肩関節について簡単にまとめます。
肩関節は球状の関節構造のため、自由度の大きい関節です。
肩をぐるぐる回せるのは“関節のつくり“がボールのようになっているためです。
また自由度が大きいため、動きには軸が必要となります。
コマが回っていられるのは中心の軸が安定して回っているためです。
軸が不安定であるとうまく回らない経験をしたことがあるのではないでしょうか。
肩の軸をつくるのが、インナーマッスル(主に腱板筋群:cuff)です。
腱板筋は肩の筋肉のなかでもっとも深い位置にあり、それを安定させる役割を担っています。
そのため、
肩関節が適切な位置(アライメント)からズレていると上手く負荷がかけられません。
◼️トレーニングをする前に
肩の動きチェック
トレーニングをするための可動域が十分であるのかどうか、異常な肩の動き(動的アライメント)がないかを確認していきます。
肩を動かしたときに図のように肩が前に出てこないか確認します。
もしも肩が前に出るような動きがある場合は正しく動かせていません。
(骨頭の前方偏位)
肩の異常な動き(骨頭の前方偏位)がなく、十分な可動域があれば、ここまでのチェックはクリアです!
◼️トレーニング
|1 柔軟性
肩の大きな動きをコントロールする筋トレの前に「柔軟性」を上げていきます。
主に肩の回旋動作において前胸部・肩後方・側胸部の柔軟性がポイントです
<前胸部のストレッチ>
<肩後方のストレッチ>
<脇腹~背部のストレッチ>
トレーニングの前に柔軟性を上げておきましょう!
|2 求心性
肩のインナーマッスルのトレーニングと聞いたときにこの動画のようなトレーニングを思いつく方やよく行っている方も多いのではないでしょうか
関節を動かしたときに筋肉には大きく分けて2つの働き(収縮パターン)があります。
<求心性>と<遠心性>
あるトレーニングの例を参考にします。
下図はアームカールという上腕二頭筋のトレーニングですが、
ダンベルを持ち上げるときにかかる力(求心性)とおろすときに速度をコントロールするための力(遠心性)がかかります。
つまり、
今回の腱板のトレーニングも同じように、動画のようにチューブを引っ張ると、肩の裏側にある<棘下筋(きょっかきん)>のトレーニングをすることができます。
ゴムバンドを引っ張ることで働くのは
【棘下筋の求心性トレーニング】です。
反対に、戻る方向にブレーキをかけながら働くのは棘下筋の遠心性トレーニングとなります。
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|3 遠心性
つぎに遠心性トレーニングです。
投球動作において実際に強い力が求められるのが「遠心性」です。
※遠心性の解説は前項でまとめています。
上図のような動作では、肩を開いた動きにチューブの張力は戻ります。
力を抜いてもチューブは勝手に戻りますが、
チューブの張力に対してブレーキをかけるようにコントロールして動かす際に肩甲骨の内側にある肩甲下筋(けんこうかきん)の遠心性収縮が求められます。
そのため、チューブの張力を強めれば強めるほど、戻すときに肩の中心に引き付けるように肩甲下筋が作用し、負荷をかけることができます。
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|4 協調性
さいごに協調性です。
その言葉の通り、さまざまな種類の動きが総合的にバランスよく発揮される力になります。
やや抽象的な表現ですが、トレーニングでは求心性→遠心性→求心性→遠心性・・・
を繰り返して行っていきます。
この運動では、肩の後方に位置する棘下筋の求心性/遠心性のトレーニングとなります。
動画では重さのあるサンドボールを使用しています。
スピードや重さをコントロールする力が働くことでさらに負荷があがります。
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ここまで、カフトレーニングの順序をお伝えしてきました。
見よう見まねになりがちなトレーニングですが、自分にあった適切な負荷でできることが大切です。
投球動作に求められる負荷を理解し、自主トレをより効果的にしていきましょう!
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