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カフトレーニングを考える

臨床+.3週目を担当する佐藤康です。
今月は股関節・膝関節・肩関節・脊柱の記事を配信しています。

▼今月の配信記事はコチラ▼

※来週は脊柱編を配信予定(ライター:塚田悠平)
https://note.com/mryp2

私が今回、担当するテーマは「肩関節」
臨床で多くみる肩関節疾患では、肩関節周囲炎や腱板損傷、投球障害肩などを対応することがあるのではないでしょうか。

これら運動器疾患の対応をする上で、局所機能の徒手療法に加え、腱板機能を強化するカフトレーニングを運動療法で活用する場面が多いと思います。

カフトレーニングは一見簡単な動きと捉えがちですが、適切な動作・負荷により実践していなければ、代償運動を招き、目的とするトレーニングが行えません。そこで、今回は臨床で実践するカフトレーニングを掘り下げて考えていきたいと思います。


■ローテーターカフの機能

はじめに、腱板筋群(rotator cuff)の作用について整理していきます。

腱板は球関節である肩関節の回転軸を形成する
棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋の4つの回旋筋からなります。

その腱は集合して共同腱となり、
上腕骨頸部(結節部)に付着し関節包と癒合しています。

各筋の解剖学的作用について整理していきます。

▶棘上筋

起始:肩甲骨棘上窩
停止:上腕骨大結節の上面
支配神経:肩甲上神経 (C5.C6)

引用:運動療法のための機能解剖学的触診技術:MEDICAL VIEW

棘上筋は、肩甲骨棘上窩から肩峰・烏口肩峰靱帯の下方を通過し、大結節の上面に停止します。また、棘上筋は回旋軸を前後にまたぐ筋であり、作用も異なる部分があることから、それぞれ前方線維・後方線維と分けています。

棘上筋の機能として、下垂位からの外転において骨頭を関節窩に引きつける支点形成力として機能しています。すなわち、挙上動作の初動時に作用しています。

また、上記作用に加え、
前方線維は内旋運動・後方線維は外旋運動に関与しています。

▶棘上筋と三角筋のフォースカップル作用
棘上筋と三角筋とのフォースカップルは、安定した肩関節の外転運動を理解するための重要な運動学的知識です。

|force couple
1つの運動を遂行する際に、 2つ以上の筋肉が協同して関わる こと

棘上筋の上面には肩峰下滑液包があり、
棘上筋がスムーズに滑走するために機能しています。

肩峰下滑液包を含めた上方組織の癒着により、
棘上筋腱の遠位への滑走性が制限され、
回旋運動を制限することにつながってしまいます。

▶棘下筋

起始:肩甲骨棘下窩
停止:上腕骨大結節の中面
支配神経:肩甲上神経 (C5-C6)

引用:運動療法のための機能解剖学的触診技術:MEDICAL VIEW

棘下筋は肩関節の運動軸より
上方にある線維(横走線維)と
下方にある線維(斜走線維)に分けて考えていきます。

横走線維は、停止部が近接し、線維の走行も近いことから、棘上筋と共同し肩関節の上方支持機能を補強しています。

基本的には外旋作用ですが、
肩関節肢位により、優位に作用する動きがあることを整理しておきます。


▶小円筋

起始:肩甲骨後面の外側縁近位2/3
停止:上腕骨大結節の下面
支配神経:腋窩神経 (C5.C6)

引用:運動療法のための機能解剖学的触診技術:MEDICAL VIEW

小円筋は挙上位における骨頭の安定化
+90°屈曲位での外旋に作用しています。

また、小円筋は肩関節外旋時における後方関節包の挟み込みを防ぐ役割を持ち、挙上位での下方関節包の緊張を高めることで骨頭の安定化を補助する作用があります。

▶肩甲下筋

起始:肩甲下窩
停止:上腕骨小結節
支配神経:肩甲下神経(C5・C6)

引用:運動療法のための機能解剖学的触診技術:MEDICAL VIEW

腱板筋群の中で前方を支持する筋肉です。筋の形態から、肩関節の運動軸を上下にまたぐため、上方線維と下方線維に分けて考えていきます。

肩関節前方の不安定性のあるケースでは、
前方を走行する肩甲下筋の強化と
肩後方組織の柔軟性改善がポイントとなります。

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