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日本とイラン|気になる中東

安部首相はイランのロウハニ大統領と、2019年に3回も会談している。6月に安部首相がテヘランを訪問(現職首相のイラン訪問は41年ぶり)。9月にはともに国連総会出席のため訪れたニューヨークで。そして12月にはロウハニ大統領がイラン大統領としては19年ぶりに来日した。年に3回もの会談は、イランをめぐる情勢が難しい局面にある証左と言えるかもしれない。

米オバマ政権時代の2015年に欧米各国とイランとの間で結んだ核合意から、トランプ政権が2018年に欧州の反対を押し切って一方的に離脱。イランをめぐる緊張が高まる中で、安部首相としては何とか緊張緩和の仲介役を果たしたいと思い、またイラン側もそれを期待しているものと推測される。

日本とイランとは歴史的に関係が深い。

NHKの連続TV小説「おしん」がイランで視聴率90%という超人気番組だったことは、前回ブログでも書いたとおり。 

それ以外には、やはり石油をめぐる関係が大きい。

百田尚樹の小説「海賊と呼ばれた男」は、V6の岡田准一主演で映画化され私も見たが、出光興産創業者の出光佐三をモデルにした物語であり、この中で欧米の石油メジャーに頼らない石油輸入先の開拓のため、イランからの輸入に成功するというエピソードが出てくる。

ただ、税関(財務省関税局)のホームページ内に近年の原油輸入相手国の推移という資料を見つけたが、それによると1995~2007年はサウジ、UAE(アラブ首長国連邦)に次いでイランは第3位だったが、その後は急速に順位を下げ、2017年度は6位にまで下がっている。イランがアフマディネジャード政権時代に核開発に力を入れ、2006年頃から国連決議に基づく経済制裁を受けるようになった時期と符合している。

加えて、最近ではそもそも日本のエネルギー消費量自体が減少傾向にあり、シェールガスの拡大などで輸入相手国も分散化し、中東の原油への依存度は大きく減ってきてもいる。

かつて中東の安定は日本にとってエネルギー資源の安定供給が大義名分だった。その意味合いが薄れた今、対立するイラン~欧米の間で、歴史的経緯を踏まえた橋渡し役として存在感を示して欲しいと、欧米各国、イランともに日本に期待しているのではないかと思う。

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