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フリーランスを廃業した漢(オトコ)のハナシ

 この記事を書くかどうかは少し迷った。
 noteにはフリーランスになりたいヒトや企業の記事が多いので、廃業したヒトのハナシはどうなのかと。

 でも、こういうハナシもあるんだなぁということで書いてみようと思う。

フリーランスあるあるのハナシ

4月を乗り越えられない

 いきなり4月を乗り越えられないというハナシから始まってしまうが、フリーランスにとってはこの3月、4月、5月は、とてもしんどい時期になる。世間では気温が暖かくなり春を迎える季節になるが、フリーランスは税金を納めたあとで懐の状況は極寒状態になる。

 会社員時代の感覚でいると確定申告後の納税額に腰を抜かすことになる。
 数百万単位の税金なんてピンとこないよな。

 でも、売上が1000万を超えてくると納税額は普通にこの位を払うことになってしまうんだな。毎月、納税予定額としてある程度は貯めておかないと、最悪の状態、税金を払えない。なんてコトが起こる。

 会社員時代であれば所得税、市民税なんて形で払っていたものが桁を1つ増やしてのしかかってくる。
 これがフリーランスの現実の収入である。

向こう見ずな漢(オトコ)

 彼とは付き合いがそんなに長くなかったが、フリーランスになって収入が増えることで金銭感覚のタガが完全に外れてしまった。毎月入って来た分だ け使ってしまう。会社員でもいそうなタイプだった。

 気前よく他人に奢り、飲み屋ではチップをはずむ。
 領収書は切っていたけれど、まぁ、毎月、数十万ぐらいは派手に遊んでいた。
 
 毎月ある程度の額を稼いでいたので、税金のことを甘く見ていたんだと思う。年収が1800万を超え始めると実に税率は40%超えてくるんだよな。4割は税金で持っていかれる。
 もちろん純粋に4割持っていかれるワケではないんだけれど、3割は覚悟しなければならない。つまり600万程度は納税のために用意しておかなきゃならない。
 1800万稼いでも手元に残るのは1200万。ここから各種保険や生活費を引くと、毎月数十万も使って遊ぶのは不可能なコトがわかるはずなんだが、彼はそこを無理して過ごした。
 
 会社員時代と同じ程度の税金額だと勘違いしていたんだろうな。
 数カ月遊ぶのを控えれば問題ないとでも考えていたんじゃないかな。

税務署との攻防戦

 派手に遊んでいたので領収書は手元にたくさんあった。ここでも会社員時代と大きく勘違いしていたようで。
 会社員時代で経費と言えば、会社から全額戻ってくるワケだがフリーランスの場合、経費にしたってキャッシュが出ていくだけで誰かが補填してくれるわけではないのよな。
 確かに1割引きか2割引きぐらいの計算にすることにはなるんだけれど、おカネが出ていくこと自体は何も変わらんのよ。

 オッサンは経費を使って節税という考え方には大反対である。

 ハッキリいって経営上は全く意味がないからだ。それぐらいなら素直に税金を払った方がいい。キャッシュが残る
 もちろん法人になるとこのラインは少しずつ変わっていくのだろうけれど個人事業主のフリーランスであれば、得をすることなんて全くない。

 どうしようもなくなった彼に泣きつかれる形で青色申告のための記帳処理を手伝ってはみたものの、マジでどうしようもない状況だった。

 うん。

 通帳の記帳処理すらまともにやっていないありさまで、最初に銀行に通帳の記帳処理に行かせて数字の洗い出すところから。なんだかんだで平日まで巻き込んで3日間かかったのを覚えている。

 そして、収支計算をしたところ、確実に税金が払えない額であることが想定でき、その額は数百万、という現実が浮かび上がった。
 
 猶予をしてもらうこともできるんだが延滞税が付くのよな。これがまたバカ高い。10%弱だった記憶がある。数百万の10%は数十万。
 しかも簡単に延滞なんて認めてくれねぇのよ。こんな遊び呆けたような飲みの領収書ばっかりこさえてしまって。
 
 詳しいことはあんまり聞けなかったが、分割納付ということになって1年間毎月払いづづけることになったそうだ。そして、来年度の税金も貯めることになる。
 税金を払うために1年間働き続けるという、フリーランスの魅力を全く生かせないような時を過ごしたようだ。

 翌年の3月に彼は廃業した。

税金や経理処理が出来ないなら起業はするな

 彼はその後、普通の会社員に戻った。

 入ってくる額が大きくなったことによって気が大きくなってしまった、税金のことを全く考えていなかった、など反省の弁を述べていたが、オッサンは違うと思ってる。

 自由を得るということはその代償もついて回る。
 何事も対価を払わなければいけない。

 フリーランスは自分で色々と決めることが出来る。そして、誰の指図も受けずに気ままに仕事が出来る。
 
 というのはただの妄想だと、オッサンは思う。
 そこまで甘くねぇんだよな。

 もちろん、本当にそういうヒトもいるんだろうけれど、オッサンの働き方ではソコに行けないし、多分、無理なんだろう。
 好きなコトばかりやっているようでも、裏ではやっぱり泥臭いことをやっているわけで。エンジニアでフリーランスをやっていても、ゼニ勘定からは逃げられない。

 つまり、自己責任なので、自分に甘い人間は続けられないんじゃないかなぁと思っている。

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