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今まで出会ったヘンなエンジニアのハナシ

エンジニア列伝


 色々な社外常駐の現場を渡り歩いていると変わりモノと出会うこともありそのパターンは数パターンに分類されていたりする。つけられるあだ名もパターン化されていたりするし、身内で呼称されるパターンもある。
 あくまで、オッサンの身内だけで通用する言葉なので一般で使ってもまず通じないのでそこは頼む。が、似たようなコトが色々な現場や会社であるんじゃなかろうかと思ってる。
 

通称「オレ」

 使用例
 「この前入った現場にオレ様がいてさー」
 「大変だったろ?」
 「チームが違ってたからよかったけれど、オレ様のチームがギリギリの状態でヤバかったみたい。」

 どんなエンジニアにこの「オレ」という呼称が付くかというと、やってますアピールをしていて仕事をやっているように見せかけているだけで、その実は全く何もやってなかった、というのが後々になって露見するといった類のエンジニアである。
 どのプロジェクトにも1名ぐらいは紛れ込んでいることがあり、大きなプロジェクトになってくると複数名潜んでいることもある。
 
 この手のエンジニアは、定例会議や進捗会議でもやってます、出来ています、という返事をし続け、定時で帰って残業もしない。普通に仕事をして成果を積み上げていると勘違いをしていると、工程判定などのタイミングで全く何もできていないことが発覚し、周りの人間がケツ拭きに回るという状況に追い込まれる。ヤバイですアラートが上がってくることはなく、いきなりプロジェクトが窮地に立たされるパターンが多い。

 そして、そのタイミングにはほとんどの場合、オレはプロジェクトに残っていない。このタイミングを「パクられた」と身内では呼んでいる。

 語源は、詐欺師→オレオレ→オレ。

 極まれに、自分でなんとかしてしまう劇場型のパターンもあるがこの場合はオレとは呼ばれない。もっとヒドイ罵倒が顧客やPM、営業から直接浴びせられる。構築や製造のフェーズだけに参加してくることもあり、経歴書などから見破るのは困難を極める。
 要件定義フェーズや最後の納品フェーズでは明確なアウトプットを求められるため存在できない。

通称「役者」

 使用例
 「本番作業はいつもあいついないよな。」
 「なんか体調不良らしいよ。」
 「はじまったよ。」
 「役者だしね。」

 大切な本番作業や、会議、工程判定会など本当に休むことが許されないような時に限って休みになるエンジニアが呼称される。前日まで元気で大飯を喰って定時で帰っても、なぜか大切な日にはいない。
 PMやリーダの場合、「主演」と呼称される。

 大切な日を過ぎた翌日には、何事もなかったかように颯爽と出勤をしてきて「昨日どうだった?」と元気な声で探りを入れてくるまでがセット。

 プレッシャーに弱いだけのヒトもいるので、そのあたりは考慮して緊張を強いられるような場所からは外してあげる配慮も必要。ただ、毎回こんなことをやるヒトも別な意味で名前が売れるので、単価が貰えるような仕事には徐々に参加できなくなってくる。
 単価が高いって、強いられるプレッシャーも別次元なのよね。

 運用保守フェーズの案件で遭遇するコトが多い。オレが足を洗って役者に転生するコトが多いようだ。ようは、構築・製造で現場に入れなくなったたため、運用保守に流れ着いてくる。

通称「魔術師」「手品師」

使用例
「プロ級の手品師になるとやっぱり凄いな。」
「見破れない?」
「分からないからリストアになった。」

 時にエンジニアは派手なミスをやらかすことがあるが、定例作業などの定期オペレーションに限って言えば、手順書の通りやっていればほとんどの場合は間違えない。
 だけれど、魔術師の手にかかれば、なぜか想定している結果とは別の異次元の結果が導き出される。イリュージョン!

 手品にはネタがあるように、この魔術師や手品師のミスにもネタがあり見破ることが出来ればリカバリーは可能だが、プロ魔術師やプロ手品師になってくるとネタを見破るのが困難になってくるため、システムログやアプリケーションログなどと長時間にわたり格闘することになる。

 オペレーションミスでシステム障害やシステム停止が発生するような時は魔術師や手品師が一枚噛んでるコトが多い。障害復旧後に別の部屋に呼び出されてキビシイ叱責を受けたりして、そのまま離任になるパターンが多い。
 悲しいな。魔術師、還らず

 そもそも手順書が間違っていたため、誰がやっても正しい結果にならない場合とは明確に区別される。オレが担当していた部分をパクられた後、残ったメンバーでなんとか埋めようとした結果、ダメな手順書が納品物として生成されてしまったり、手順書のアップデートをせずにそのまま作業を実施し何も知らない善良なオペレータがハマってしまうような悲劇も多い。

通称「10番」「ファンタジスタ」

使用例
 「今のプロジェクトに10番がいるんだよ」
 「うは。久しぶりに聞いたな。ワールドクラス?」
 「バロンドール狙える」
 「やばくね?」

 サッカーという競技には、ファンタジスタというあだ名を付けられるエースプレイヤーが存在する。ファンタジスタにかかれば、余人の想像をはるかに超えた創造性豊かな華麗なプレイで観客を魅了する。

 当然、そこまで優れたプレイヤーは世界に数人しか存在しないため、サッカープレイヤーとして栄誉あるバロンドールという賞を貰えるわけだが。ITプロジェクトのオッサン達が呼称するこのファンタジスタは、創造性豊か行動をおこなって、プロジェクトルームをメンバーの悲鳴や怒声で沸かせる。

 実際、オッサンもそれなりにエンジニアの経験があるが、「10番」は1人しか見たことがないほどレアである。

 「手品師」との違いは、手品にはネタがあるので、見破れれば何が起こったかをトレース出来るが、「10番」には創造性はあるがネタがない。なので何が起こっているのかを正確にトレースする術がない。

 オッサンが見た「10番」は、チーム全員で昼飯を食いに出て行った1時間の間に、システムを破損した。
 
  「みなさん忙しそうなので代わりにやっておきました」(満面の笑み)

 結局調査をしても復旧の糸口すらつかめず、最初から構築しなおすことになりカットオーバーが1カ月遅延して、リカバリーにメンバーが400時間以上の稼働をした、というとんでもないビハインドを負った。

 その時のPMは早期退職になった、と風の噂で聞いてマジで涙が出そうになったが、その時の感情は非常に複雑なものである。

とはいえ。

 他人のコトをあーだこーだいう前に、言われないように真面目に仕事しろってハナシよな。

 でも、遭遇しちゃうんだよな。色々な現場に行くと、どうしても。

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