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イメチェン?認知向上?競馬×ワンカップコラボは話題性だけじゃない

 こんにちは。ベトナム在住ライターの寺内です。

 みなさん競馬は好きですか?私はウマ娘のアニメから競馬を始めたタイプで、今もお勉強中です。競走馬に魅せられ、一時帰国中も競馬場や有名産駒引退馬に会いに行きました。
 さて、先日ワンカップで有名な酒造メーカー・大関株式会社が日刊スポーツ新聞西日本とコラボしたのをご存知ですか?過去に春のGIを制した名馬10頭をラベルにデザインした「G-OneCup」が2023年4月3日から数量限定で発売されたのです!!

商品サイトより:G-OneCupのラインナップ

 個人的に名前からしてワクワクしてしまうこのコラボ。
 「今回のコラボ商品の狙いは?」
 「なぜ競走馬がコラボとして選ばれたのか?」

 今回「Knowns Biz」の億単位の消費者データを活用し、ワンカップx競走馬のコラボの理由について分析してみたいと思います!

ワンカップ大関

商品サイトより

 「ONE CUP OZEKI(以下ワンカップ)」は1964年に大関株式会社より発売して以来、すっきりとした飲み口と飽きのこないバランスの良い味わいで、愛され続けているロングセラー商品です。大関独自の製法である「酵母仕込み」から生まれた味わいは、日々の温度管理を徹底し、酵母や麹菌が発酵しやすい環境を整えることでお米の旨みを引き出しています。

Knowns Biz調べ:ワンカップのデモグラ

 ワンカップの購入層のデモグラを見ると主な購入層は40代~50代前半と出ています。

Knowns Biz調べ:ワンカップの年代・世代別比較

 年代・世代別比較をしてみると認知率は40歳以降からどんどん高くなっています。世代で見ると団塊Jr.・ロスジェネ世代〜団塊世代の認知率、購買率が高いです。

Knowns Biz調べ:ワンカップの7Journey

 7Journeyを見てみると潜在顧客の割合が高く、きっかけづくりをすることで購入や利用の可能性のある顧客が多いことがわかります。

どのような人に選ばれる?

 では、どのような人が「ワンカップ」を購入しているのかサイコグラフィックを見てみましょう。

Knowns Biz調べ:ワンカップ購入者の個人価値観
Knowns Biz調べ:ワンカップ購入者の社会価値観
Knowns Biz調べ:ワンカップ購入者の消費価値観

 サイコグラフィックを見ると個人価値観は「健康志向」「時間にシビア」「倹約家」の方が多いようです。
 社会価値観は「おりこうさん」「ワーカホリック」で真面目で仕事への熱意が強い人物がイメージできます。消費行動においては「リターン期待型消費」「良いもの良い価格消費」と自分の気に入った商品を適正価格で買う傾向、また懐かしいものを好む「ノスタルジー消費」の方が多いのが特徴です。

Knowns Biz調べ:ワンカップのイメージ

 ワンカップのイメージや消費者の声を見てみると、古くから親しまれていることに対する伝統や定番、コスパの良さに関してのコメントが多かったです。
 一方で20~30代の方のコメントを見ると「高齢男性が飲むイメージ」「新幹線移動や旅行中に飲むもの」という意見も多かったです。

競馬アプリ・競馬場

 今回競走馬コラボということで、“競馬”をKnowns Bizで検索したところ、「競馬・競艇・競輪アプリ」と「競馬場」のジャンルがヒットしました。

 それぞれのデモグラを見ていきたいと思います。
※競馬・競艇・競輪アプリジャンルで認知度の最も高い「オッズパーク」と競馬場ジャンルで認知度の最も高い「中山競馬場」を参照しています。

Knowns Biz調べ:デモグラ(左:オッズパーク/右:中山競馬場)

 競馬アプリの主な利用者は30代~40代・50代前半の方が多く、競馬場利用者は40代の方が全体的に多いです。アプリと比較すると競馬場は40代が特に割合が多いのと、20代前半の割合がやや伸びてくるところで違いが出ました。

どんな人が利用している?

 では、競馬アプリ・競馬場利用者の個人的価値・社会的価値・消費的価値の3つの項目はどうなっているでしょうか。

Knowns Biz調べ:個人価値観(左:オッズパーク/右:中山競馬場)
Knowns Biz調べ:社会価値観(左:オッズパーク/右:中山競馬場)
Knowns Biz調べ:消費価値観(左:オッズパーク/右:中山競馬場)

 個人価値観では「結果至上主義」「倹約家」「モノ重視」が共通していますが、競馬場利用者の方がアプリ利用者と比べると時間に余裕があり、アウトドア派の方が多いです。実際に競馬場へ行く人とアプリで楽しむ人との違いが見えますね。
 社会価値観を見るとどちらも真面目で仕事への熱意が強いですが、アプリ利用者は自分の経験や得た情報を元に行動をする「ゴーイングマイウェイ」、競馬場利用者は対人関係において思いやりを持って行動する「人情派」の比率が他の項目と比較すると高いです。
 消費行動はアプリ利用者の「リターン期待型消費」「ブランド消費」の傾向に対し、競馬場利用者は「ハラオチ型消費」「コレクター消費」の傾向が高いです。アプリ利用者のほうが競馬をやることによるリターンを意識しているというのは面白いですね。

今回のコラボの狙いは?

 「ワンカップ」の主な購入者は高齢化傾向にあり、競馬アプリ利用のある30代の顧客層が少ないです。主にそこがターゲットになるのでしょうか。今回のコラボの狙いについて、色々な方面からデータをみてみましょう。

ワンカップ潜在顧客と競馬利用層


Knowns Biz調べ:ワンカップの潜在顧客

 まずワンカップの潜在顧客を見てみると、30~40代が多いです。元々ワンカップの顧客層にも40代が多かったですが、まだ掘り起こしきれてないターゲット層も多いということも考えられますね。今回のコラボでは競馬場利用が多い40代もターゲットとして含まれていそうです。

Knowns Biz調べ:ブランドイメージ(左:ワンカップ/右:中山競馬場)

 さらにワンカップと競馬場のイメージを比較してみると、ワンカップではイメージの低い「期待感・ワクワク」や「チャレンジ・応援」「爽快元気・エネルギッシュ」などが競馬場においては高いです。こういったイメージチェンジも図っていそうですね。

 JRAもここ数年、CMや実際の競馬場でのプレゼンター​に若い俳優などを起用してフレッシュなイメージ戦略をしているように見受けられるので、ワンカップの顧客以外の層へのアプローチも同時に期待できそうです。

 そして執筆中改めてKnowns Bizで調べたところ、競馬場・競馬アプリだけではなく「G1レース(競馬)」のジャンルもできましたので、そちらも見てみましょう!

Knowns Biz調べ:G1レース(競馬)のデモグラ

 G1レースのデモグラを見てみると40代の利用者が圧倒的に多いです。競馬場との違いは30代の割合がやや比率が上がっている部分でしょうか。競馬アプリ利用層もいると考えられるのでその層からの補完もありそうです。


Knowns Biz調べ:G1レース(競馬)の満足度x認知度

 また、G1レースの満足度と認知度を見てみると、9つのレースの認知度が50%を超えており、「有馬記念」に関しては70%以上に認知率となっています。

 今回の誰でも一度は聞いたことがある懐かしの名馬とのコラボ起用は、潜在顧客に多い30代・40代に対しての新たなアプローチと、現在の主な購入者層にも懐かしさや親しみを感じ手に持ってもらうのを狙った商品化だったことが考えられます。
 またワンカップにはないイメージを持つ競馬とコラボすることで、双方の強みをいかし、新たなイメージの獲得​が狙いだったのではないでしょうか。​

「大関」と「ワンカップ」

 次は少し見方を変えて日本酒ジャンルの中でのワンカップについてもみていきたいと思います。

Knowns Biz調べ:日本酒のブランドランキング

 日本酒のブランドランキングを見てみると、「ワンカップ」が4位なのに対し、「大関」は10位と低い順位となっています。

Knowns Biz調べ:大関のブランドスイッチ分析
Knowns Biz調べ:ワンカップのブランドスイッチ分析

 「大関」と「ワンカップ」のブランドスイッチ分析を見てみると、現在「大関」購入者が銘柄変更をする際に選ぶのが「ワンカップ」に対し、「ワンカップ」購入者の場合は「月桂冠」が選ばれています。大関というブランドというよりは手に取りやすい日本酒を求めているということでしょうか。

 今回のコラボをきっかけにワンカップを手にする機会を増やすことで、商品単体だけではなく大関というブランドの宣伝や潜在顧客の取り込みにも繋がるのではないかとも考えられますね。

さまざまなコラボを行う「大関」

 実はワンカップはこれまでも「キングダム」や「キン肉マン」などのアニメコンテンツやさまざまな分野で活躍されるクリエイターとのコラボなどを行い、コラボするたびに話題沸騰となっています。

 そしてワンカップのデザインコラボだけでなく、「大関」と他社メーカーのコラボ商品も目が離せません。
 例えば2023年1月に雑貨メーカー「キリー&アソシエイツ」が発売したワンカップとのコラボ商品、“ワンカップトート”。

キリー&アソシエイツ・まちかど画廊より

 こちらの商品はワンカップを収納用の保冷機能付きのポケット、魚肉ソーセージやチーカマを収納するのにぴったりの細長いポケットや缶詰が入るポケットなど、酒飲み外出用バッグとしてワンカップファンはもちろん、デザインの可愛らしさからランチトートなどの日用使いにも人気を集め、現在欠品中だそうです。(私も欲しい…)
 今後のコラボも注目していきたいです!

まとめ

ワンカップ大関消費者の特徴
・40代~50代前半から人気
・倹約家、真面目で仕事熱心
・リターン期待型消費、良いもの良い価格消費、ノスタルジー消費
競馬アプリ(オッズパーク)利用者の特徴
・30代~40代・50代前半に人気
・時間にシビア、真面目で仕事熱心、ゴーイングマイウェイ
・リターン期待型消費、ブランド消費
競馬場(中山競馬場)利用者の特徴
・40代を中心に人気
・アウトドア派、真面目で仕事熱心、人情派
・ハラオチ型消費、コレクター消費

 「ワンカップ」購入者と今回のコラボに関連する“競馬”を好む人は真面目で仕事熱心、倹約家という価値観が似通っていることがわかりました。一方で一部重なるものの、ワンカップと比較すると競馬のほうが少し若い30代の顧客がいたり、世間に持たれているブランドイメージに違いがあることも見えてきました。
 今回の競走馬コラボはワンカップの潜在顧客層である30~40代をターゲットにし、イメージチェンジや大関自体の認知向上も狙っているのではないでしょうか。今後どんなコラボをするのか楽しみですね。

筆者のひとこと

 日本に住んでいた頃、自炊のお供によくワンカップを購入していました。
料理にちょろっと使って、残りは料理の合間に。(笑)
 大関のHPでは大関を使ったレシピも紹介していたので気になる方はこちらもチェックしてみてください。

 ちなみに今回の「G-OneCup」、なんと母が購入しておいてくれました!

母からのLINE(笑)

 私が欲しかった競走馬の商品はなかったものの、馬券はともかく(笑)今回のコラボは箱推しなので嬉しいです。次回の帰国の楽しみが増えました!

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