【開催報告】第2回!オンライン・トークイベント「聞きたい!フィールドワークと生理のはなし:ねえねえ,みんな・先輩,どうしてる?!」
開催日時:2021年11月29日(土)20時〜21時
開催方法:Zoomウェビナー形式
参加者数:当日参加者78人(参加登録:128人)
登壇者:ナビゲーター(司会)=木村由莉、パーソナリティ=徳山奈帆子、ゲスト=久世濃子
※各自のプロフィールや開催趣旨等は開催告知参照。
<概要>
今回のテーマは、【大学生〜若手研究者の声と,指導教官のお立場(or めざしている研究者)をつなぎたい!】です。参加者への事前アンケートをもとに、「配慮」を具体的な言葉にしていくトークイベントとなりました
「生理で体調が悪いことをどうやって伝えればいい?」
「(あ,体調悪そう..)でも、こちらから聞いてもいいのだろうか?」
言葉にして共感を見つけていくうちに、生理にまつわる事情における若手女性研究者・大学院生としての立ち位置も見えてきた?!次の世代がフィールドベースの研究を続けていけますように!
(1)前回の振り返りと今回の趣旨説明
まずは徳山から、前回アンケートの結果を紹介し、今回のイベントの趣旨を説明。現実、フィールドワーカーには男性が多い中で…
Q(男性へ)女性特有の問題について、何か配慮したいと思ったけれど難しかった経験などがあれば教えてください
回答数 10 ← 事後アンケートへの男性の回答者11名、イベントへの登録者22名
(事後アンケートに参加してくれた)男性のほとんどが、配慮したかったけど難しかった経験
・聞きにくい
・分かっていたら配慮できたのでは?
・(自分には経験がないので)どうすればいいのか分からない
⇒ 聞けない/どうしたらいいのか分からない
男女問わず、配慮ってむずかしい…
Q 生理中に配慮があって嬉しかったこと/こういう配慮があると嬉しい!
回答数 30/34件
多かった答え
・気遣う声掛け:「体調悪いですか?」など
・トイレ/休憩の回数
・体調が悪いということを軽く受け止めて認識しておいてくれること
・(急になることがあるので)備品としての生理用品・鎮痛剤
⇒ 体調が悪いことを伝えられること/大げさにではなく必要な対処
ということで今回は
「生理で体調が悪いことをどうやって伝えるか、聞くか?」というテーマでイベントを開催しました!
20代ー30代の大学生〜若手研究者の声と、指導教官のお立場(or めざしている研究者)をつないでいくことをゴールにかかげ、気軽にトークを展開!その結果は??
(2)第2回事前アンケートの結果報告
続いて木村が今回の事前アンケートの結果を紹介!
① 性別:前回は参加者全体の1割弱が男性でしたが、今回は1/4(28%)が男性!
② フィールド最中の生理で体調不良、教員/上司から体調を聞かれたら?:男女問わず「生理に触れずに聞いて欲しい」という回答が一番多いが、女性教員なら「直接的に聞いてもらってもOK」でも男性教員だとNGという回答が多い。
③ フィールド時に体調悪くなった!教員/上司に体調悪いことを伝えないと!:女性教員に対しては「直接的に話す」の割合いが増える(NGが減る)が、男性教員に対して「場合によって」、「NG」が多い(女性教員には言えても男性教員には言いにくい)
④ 日常の授業や仕事の時に、教員/上司から体調を聞かれたら?:日常になると、教員や上司から「(直接的&婉曲的でも)聞かれるといや」がググッと上がる!
⑤ 異性から生理を婉曲的に聞かれる時どんな表現ならOK?:「ホルモンバランスが悪い日」今はこれ一択!
「あの日」、「女の子の日」、「月のもの」、「お月様の日」等はNG!
⑥ 男性教員から、体調不良の学生に生理かどうか聞く必要がある場合、これならばOK!:
<聞くときの状況>
体調不良の原因が生理かどうかによって自分や同行者に危険が生じうるなどの必要性が生じている。
信頼関係ができている。
周りに人がいないなどの配慮がされている。←これについては、当日のチャットで、「セクハラ疑惑が生じないよう、女子学生と2人きりになるのは避けたい」という男性教員の意見もありました。女性の先輩や友人に同席を頼む、「話は聞こえないけど姿は見える」距離で話す等、工夫は必要かも。
<聞き方>
事務的に(=過度に心配そうにせず、面倒くさそうでもなく)聞いてくれる。
茶化したりせず、からかわない、いやらしく、ニヤニヤせず、シンプルかつストレート真剣に。
前置きで「これはセクハラとかではなく、どう体調が悪いのかが知りたい」とか言ってくれたらなら。
まとめると…
伝えられるか、聞けるかは、結局「信頼関係ができているかどうか」にかかっている。生理に関わらず、フィールドに行くチーム内で体調に関して気軽に話せるような信頼関係ができていることは大事。性別問わず普段から信頼関係を築く努力をしていこう!
※ただし現状は、女性教員にコンサルをお願いできるなら、そのほうが男性教員/上司側も安心!
(3)ボノボとオランウータンの生理事情
続いて徳山と木村が第1回でお話できなかった、ボノボとオランウータンの生理を紹介!
まずは基本情報:ボノボはアフリカ、オランウータンは東南アジアの熱帯雨林に住んでいて、どちらも果物が主食(でもオランウータンは果実が食べられない期間が長い)。
ボノボもオランウータンも生物学的には同じヒト科なのでホルモンの変化や生理の周期などはヒトに似ている(生理周期はボノボ=40日、オランウータン=28~30日)。
ボノボもオランウータンも生理出血の量は少なく、観察できることはほとんどない
ボノボもオランウータンも一生に経験する生理は60回程度。妊娠・授乳中は生理がないため。→日本でも2世代位前(久世の祖母世代)までは、3歳差で9人出産するとか珍しくなかった!その当時の女性の生理の回数は、ボノボと同じ位…
オランウータンも飼育下では生理の回数が現代人に並になり、子宮内膜症や生理痛になる個体もいる。
(イベント当日は言えなかったですが)「ヒト科では、子どもを産みたい(子どもを産める環境にある)時以外は生理がないのが当たり前。だから、ピルなどで生理をコントロールすることは、不自然なことでも悪いことでもない!ピルを飲むことに罪悪感を持つ必要はないよ!(でも「ピルを飲まなければならない」わけではない)」ということを伝えたくて、ボノボやオランウータンのことをお話したのでした。
当初思いつきで企画したイベントでしたが、予想以上に多くの方にご参加いただき、貴重なご意見を沢山いただきました。ありがとうございます!イベントの最後でもお話しましたが、今後はアンケート結果やイベントで寄せられたご意見をまとめて、学会誌等で報告し、イベントに参加しなかった方にも生理に関する女性の意見をお伝えしたいなと考えています(学会誌等に投稿する時は、別途、参加者の皆さんに事前にお知らせします!)。
ご参加いただいた皆さん、宣伝にご協力いただいた皆さん、本当にありがとうございました!(木村・徳山・久世)
【開催報告】オンライン・トークイベント第1回「聞きたい!フィールドワークと生理のはなし:ねえねえ,みんな・先輩,どうしてる?!」(2021年10月23日開催)