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想い出ちょこれーと。

「地元、戻るんです」

それまで楽しい時間を過ごしていたのに、ポツリとこぼれ落ちた言葉。
一瞬何のことかわからなかった。
ーーーわかりたくなかった、ともいう。

”…どうしても?それならお揃いが欲しいよ…””

泣きそうになりながらそう伝えたのに、
「向こうにも遊びに来てくださいね」と優しい笑顔。

そんな曖昧な約束とも取れない言葉はやはり曖昧なままで。
気付いたらそのまま居場所がわからなくなった。

本当に地元に戻ったのか、それともまだ同じ街にいるのか…

出かければバッタリ逢わないかソワソワしたし、
住んでいると言っていた地域に行くことがあれば注意深く見まわした。

たまたまお仕事で知り合った男の子。
出身地の話題、なんとなく出した名前に男の子の顔がぱぁっと輝く。
居場所がわからなくなったひとと知り合いだという。

ーーーあの日から1年近くが経っていた。
連絡が取りたいことを伝えると、快く教えてくれた電話番号。

握りしめたメモ用紙。
ドキドキする気持ちと少しの戸惑いと共に思い切って押す番号。

1コール2コール3コール…

突然の電話に、はじめはとっても驚いていた。
でも、それはほんの一瞬のことですぐにいつもの穏やかな声。

久しぶりに耳元へと届く声に”この穏やかな声がやっぱり好きだな…”
そんなことを思っていた。

そして改めて知る、あの時のこと、現状、地元に戻っていること。

「雪、苦手でしたよね。特に運転」

なんていつかの話を覚えていてくれたことが嬉しくて切なくて。
わたしだけの想い出じゃなかったんだ、そのことにギュッとなる。
そして変わらず強請る”おそろい”に笑った気配がして、

少し遅い桜の季節、逢いに行く約束ーーー

ふわり姿を消してもうすぐ1年になるひとの夢。
去年渡したチョコレートと同じものを準備してその時を、

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