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好きを仕事にするまで④

退職してしばらくすると体調も少しづつ回復し、穏やかになれる時間も増えてきた。
余裕も出てきて、映画や本、音楽をあさって1日が終わるような生活と病院への往復が1、2ヶ月続いた。
どっぷりと好きなことに浸かって心に栄養をひたすら蓄えていった。

生きるための最低限のこと(食事と睡眠)をうっかり忘れてしまうこともあったので、気をつけるようにしていた。

好きなものに好きなように時間を使う生活。
それでもなんとなく、自分の居場所のなさのようなものがどこかにあった。


1週間ほどかけて京都のひとり旅したことがあった。当時学生だった友人の自転車を借りて神社や名所とよばれる場所をなんとなく巡って、会いたい人に気ままに会いに行った。

とある神社の竹林に囲まれた境内を歩いた。  
どこの神社かは覚えていないけど、吸い込まれれるようにそこに入っていったことは覚えている。

差し込む日差し、鳥のさえずり、葉の擦れる音や肌に当たる風。
その全てが完璧に調和をしていて、体や心の底から「美しい」と思える感動的な体験をした。

身体の中からぶわ〜っと何かが湧き出るような、言葉では表現しがたい感覚に、しばらく動けなくなった。

そのことが今でも忘れられない。

もしかしたら、美しいものを美しいと思える、そんな感覚すら忘れていたかもしれないし、自分のことは自分が思っている以上に知らないのかもしれない。

この京都の旅で、ほんの少し自分のことを思い出した気がした。

自分の得意とすること、苦手とすること、好きなこと、嫌いなこと、出来ること、出来ないこと向いていること、向いていないこと。
それをもっと知りたいと思った。

こうして自分とのすり合わせが始まった。


⑤へ続く…


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