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「物事の隙間」と「メルボルンCBDの路地(レーン)_その1」と4/23〜4/29の日記

お知らせ

2023年2月よりオーストラリア メルボルンへ移住。現在はMBA取得に向けて大学院に通いつつ、Absolute MMAというジムでグラップリング/ブラジリアン柔術の練習に励んでいます。
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今週の文章は「物事の隙間」
今週の写真は「メルボルンCBDの路地(レーン)_その1」
です。

今週の文章「物事の隙間」

物事はなんでも隙間が大事だと思っている。
棚がギチギチだと新しいものが入る余地がないし、整理もしづらい。仕事でも業務構築やシステム設計が隙間なく詰め込まれているとトラブルが起きた際に対応することもできない。

隙間、言い換えると余裕だったり余地だったりはたまた無駄だったり、そういう何でもない部分があるからこそ、想定外の出来事に対応することもできるし、新しいことに挑戦することもできる。また、少ししんどくなった時の逃げ道だったり息抜きだったりというものも余裕がなければ作ることが難しくなってくるし、何よりも人生を豊かにするものはこの余裕や無駄と思われるものがあるからこそ享受できるものだと思う。

二項対立ではなく違いに注目すること

人間は世界を前にするとどうしても物事を区別、整理したいという欲求にとらわれる。敵と味方、白と黒、右と左、正解と不正解。ただ、実際はその二つに分けたものの中にも数えきれないほどの違いがあるものだし、その隙間にもどちらにも収まらないものがたくさんある。物事を二つに分けるということは、こういった収まらないものや分けられたものの中の違いを無視して、同一性に着目するという行為である。しかし、世の中を前進させるのはこの違いの部分であり、同じものばかりが並んでいては何も進歩は起きない。

例えば音楽で言うと、音楽ジャンルに固執すると似たような曲ばかりが量産されることになり、歌詞だけ違う同じ曲が大量に生成されることになる。音楽を前進させるのは常にジャンルにとらわれないと言われる曲やアーティストであり、ジャンルとジャンルの隙間から生まれるものである。

街の隙間

酒鬼薔薇の事件が起きた時、宮台真司はニュータウンの隙間のなさが人間性に歪みをきたす原因になり得ると分析していた。それでなくても、隙間のない街、例えば巨大なイオンの中には、新しい商売が生まれる余地はない。それは物理的な隙間だけではなく、例えば入居の条件や経済的な条件なども含め隙間がなく、新しいものをやろうとしてもそれが許される余裕がないためだ。

渋谷などをはじめ、再開発で元のまちが巨大なビルに塗り替えられると、ビルを基準にした新しい街が作られ、元々そこにあった隙間や余裕はどんどんなくなっていく。渋谷が若者の街だったのは若者が商売できる街だったからと言う側面もあるはずだが、特に宮益坂周辺からはそのような余裕はどんどんなくなっている。

イノベーションに必要な多様性

イノベーション(新しいものが社会に広まること)の構成要素として真っ先に挙げられるのは多様性である。これは、世界にはAでもBでもない色々な人がいて色々なものがあると言うことを知る、それだけでなくその人やものを認めると言うことだ。そして、それをするためにはこの隙間というものがとても大事だと思う。

本来は隙間というのは元々そこにあるもので偶然生まれるものだと思う。それはイノベーションだったりリーダシップだったりという社会や人間に関わる物事も同様だ。ただ、それがなくなっていきそうな世の中であったり、それを発揮する要請があるシチュエーションにあるのであれば、その構成要素だったり効果を知った上で社会や自分に合う形で意識的に取り入れていく必要がある。

そして、今の東京の街や日本社会は概してこの余裕だったり隙間だったりがどんどんなくなっているのではないかと思う。例えば19時に会社を出て街を歩いたりすると、その見え方が大きく変わってくることに気づくと思う。そういった余裕を身近なところから作っていくことが日本社会の閉塞感を打開するための第一歩なのではないかと思う。

今週の写真「メルボルンCBDの路地(レーン)_その1」

今週の写真はメルボルンCBDの路地(レーン)です。先に書いた話にもつながってくるのですが、メルボルンのCBD(中心街)は基本的には⚪︎⚪︎ストリートや⚪︎⚪︎ロードと呼ばれる通りが碁盤の目のように折り重なって構成されています。しかし、その通りの合間だったりビルとビルの隙間だったりにレーンと呼ばれる路地がたくさんあります。

このレーンはものによってただの行き止まりだったり、通りぬけができるようになっていたり、左右の壁一面グラフィティでいっぱいだったり、カフェやレストランの客席が展開されていたり、その形も利用され方も様々です。こういう余裕があるからこそ歩いていて楽しい街になるのかもしれないなと思います。

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