20240709

 ドキュメンタリー映画『三島由紀夫VS東大全共闘 50年目の真実』を観た。先日の石丸氏のメディア対応や、小池百合子都知事の討論拒否などを報道で見てきただけに、三島の真っ当さが際立っていた。三島だけでなく、まだ大学生だった全共闘の聴衆も三島の話を最後まで聞き、堂々と意見をぶつけているところも好感を抱いた。それだけに、その後のあさま山荘事件や三島の割腹自決など人間というものの不可解さを改めて思う。分断が叫ばれて久しいが、この映画を観て思ったことは、政治に必要なことは討論の場を設けることであり、政治家の仕事は対立する意見の調整、落としどころを設定するところにあるということだ。石丸氏の構文が揶揄されていたが、わたしは一〇年代のキャンセルカルチャーも似たような態度だったと思う。右も左も自身の正しさだけを声高に叫び、敵と認定すれば一切の会話を受け付けず攻撃し続ける……これでは分断されて当然である。そういう意味で、いま必要なのは三島や全共闘たちの相手と顔を突き合わせて対話する態度であろう。

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