見出し画像

移住直後の食について。

韓国に移住して半年経ち、ようやく韓国の料理にもなれてきました。

移住したての頃は食事についてとても悩んだものです。元々韓国の料理が得意ではなく日本食が好きだった私は、あの醤油やみその味が恋しくてしょうがありませんでした。

確かに韓国料理は美味しいです。しかしそれはあくまで異国の料理としてです。旅行に来て一週間ぐらいなら美味しく食べられるでしょう。しかしこれが数週間、一ヶ月と経つと、状況が変わります。だんだん苦痛を感じるようになってくるのです。移住して一ヶ月後ぐらいからそれは始まりました。

まず困ったことが、お腹いっぱいにならない、ということです。ご飯をたべても完全な満腹感は得られません。どの料理も、私が「今」本当に食べたい味ではないし、慣れない味のせいか少し食べただけでお腹がいっぱいになってしまいます。お腹が膨れたように感じはしますが、実際は全然食べれていないので、すぐにお腹が空いてしまいます。食事はお腹だけでなく、気持ちさえも満たされることがなく、私は常に空腹を感じるようになりました。

じゃあ自分で作ればいいじゃない、となりますが、料理をしようにも、日本の調味料がどこに売っているかもわからず、この頃は自炊をする元気さえありませんでした。

好きな食べられない→元気が出ない→料理ができない→好きな味が食べられないの無限ループです。本当に疲れている時こそ、食べたいものを食べればすぐに元気がでるのでしょうが、私にそれは叶いませんでした。

自炊できる状態になるまでの間、デリバリーや義母がくれたキムチなどの韓国料理で過ごしました。とはいえ、私は辛いものが苦手なので、食べられるものがかなり限定されており、ほとんど同じ食べ物の繰り返しになっていました。

しかし面白いことに、人間って慣れてくるものなのですね。今の私は韓国料理に慣れて、ちゃんと満腹になるまで食べれますし、気持ちも満たされます。相変わらずレパートリーはありませんが、それでも平気です。毎日の食事として体が認識したのでしょうか。

とはいえ、心の底から満たされる料理ではありません。やはり母国の味、小さいころから食べなれた味でなければならないようです。


日本の料理が食べたい。

でも食べることはできません。


もちろん食べられるものはあります。寿司やトンカツなどは人気があるようで、お店もたくさんあります。でもこれだけが日本食ではありませんし、私の食べたいものは少し違っていました。

最初は親子丼、魚の煮つけ、卵かけご飯など、具体的に食べたいものが頭に浮かんでいました。しかしそれも少しずつ「無理」だ、「食べたいと思っても食べられないもの」ということを認識し、次第に候補としても上がらなくなっていきます。

そして遂に何も思い浮かばなくなってしまったのです。

よく夫から「何が食べたいか」と聞かれますが、ないのです。必死に頭を働かせて味を想像しますが、何も浮かんでこず「食べたい」と思うものがありません。もう、頭が諦めてしまっているようです。

もちろん助かってもいます。「食」というのはかなり強い欲求で、いつも、毎食ストレスが溜まりました。常に満たされず、そして空腹でイライラしっぱなしでしたし、夫が美味しそうにご飯を食べているのも、少し妬ましくも思ったものです。食事が嫌になって、元気もなくなっていく

「食べたいものがない」ということで、食事に対してのストレスが全部解消されたのです。その代償として、食への楽しみがなくなってしまいました。一応お腹は空きますし、お腹が空くと元気もなくなるので何かは食べていますが、別に食べたいわけではありません。仕方なく食べている、という感じになってしまいました。

韓国の料理にもっと慣れてくれば、もしかしたら、「食べたい」と思うものが出てくるかもしれませんね。

食事は本当に大事です。お腹が膨れるだけじゃだめなんです。気持ちも満たされて、初めてお腹いっぱいになるのです。

満足感が得られる食事はいつ食べられるのでしょうか。

いつ日本に帰れるかな。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?