チキータとは!?打ち方/やり方/コツ/練習方法/用語の意味も・サーブレシーブの技術🏓
卓球には、守備的〜攻撃的なものまで、色々な打ち方があります。「チキータ」もその1つで、近年の卓球界を賑わせている技術です。
張本智和選手のかけ声「チョレイ!」に続いて、広く知れ渡っている用語でもあります。どんな打ち方なのかと合わせて、言葉の語源や意味も気になるところですね。
今回は、そんな卓球チキータの打ち方・やり方・コツ、そして練習方法などについて解説させていただきます。
(1)卓球チキータとは!?
卓球のチキータとは、近年発達・流行した新しいバックハンド技術です。台上の短いサーブに対して、レシーブで使用されることが多いです。
同じく台上で、強く弾くように打つ「フリック」と言う技術があります。これをさらに攻撃的にしたもので、横回転を加えて軌道を曲げ、スピードのあるボールを繰り出します。
チキータは、1980年代後半〜2000年前半に活躍した、チェコ代表のピーター・コルベル元選手によって開発されました。そして中国の張継科選手が、2011年の世界選手権でこれを多用して優勝し、その頃から世界中で流行り出しました。
日本でも男子の張本智和選手などをはじめ、今では女子選手でも使用する、スタンダード技術になりつつあります。
また、バックハンド技術にも関わらず、フォア側のボールに対しても使用するなど、これまでの常識を覆すプレーも多く見られるようになりました。
このように、チキータは卓球界に革命をもたらした技術と言えます。
「チキータ」という用語の意味は、スペイン語で「小さい」です。また、バナナのブランド名でもあります。放たれたボールやスイングの軌道が、チキータバナナのように曲がることから、命名されました。
以上のように、近年発達・流行した新しいバックハンド技術に、チキータがあります。
(2)卓球チキータのメリット
卓球のチキータの大きなメリットは、以下の3つです。
▣フリックよりも安定的
▣どんな回転のサーブに対しても使用できる
▣強烈な威力がある
それぞれについて、解説させていただきます。
❶フリックよりも安定的
チキータのメリットは、フリックよりも安定的なことです。なぜなら、回転をかけて打つからです。
フリックでは、ボールを強く弾くように打ちます。一方、チキータでは、擦り上げるようにして回転をかけて打ちます。
これにより、ボールの軌道がドライブのような弧線になり、相手コートにバウンドしやすくなるのです。
このように、フリックよりも安定的なことが、チキータのメリットです。
❷どんな回転のサーブに対しても使用できる
チキータは、どんな回転のサーブに対しても使用できることがメリットです。
チキータでは、ボールに横回転を加えて打ちます。これにより、相手サーブのボールの影響を受けにくくなります。むずかしい言葉で言うと、「回転軸を外す」ことができるのです。
ゆえに、どんな回転のサーブに対しても、打つことができます。また、サーブの回転を見極められなかった場合にも、使用できます。
このように、相手サーブの回転に関わらず使用できることが、チキータのメリットです。
❸強烈な威力がある
強烈な威力があることも、チキータのメリットです。チキータには、ラリーを終わらせてしまうほどの威力があります。
ひと口に「チキータ」と言っても、そのバリエーションは多いです。スピードを重視したものや、強い横回転を加えたもの、あるいは下回転をかけたものまで様々あります。
これまでは、受け身のレシーバー(レシーブをする人)よりも、サーバー(サーブを出す人)のほうが有利とされてきました。しかし、チキータの出現によって、レシーバーのほうが有利になる状況が増えました。
レシーブから先手をとり、相手のミスを誘うことができます。
このように、チキータには強烈な威力があることが、メリットです。
(3)卓球チキータ封じ
チキータを習得する上で知っておいて欲しいのが、「チキータ封じ」です。これは、「チキータをさせない」ようにすることです。
前述したように、チキータには強烈な威力があります。なので、レシーブで先手を取ったり、得点したりできます。
そこで、対戦相手はこれを防ぐ対策として、チキータをすることがむずかしいサーブを出してきます。例えば、フォアへのロングサーブや、強い真下回転のかかったものなどがあります。
こうしたサーブに対して、他の打法でのレシーブができないと、ペースが「ガタっ」と崩れてしまいます。レシーブをチキータだけに頼っていると、痛い目を見ることがあるので、気をつけましょう。
このように、相手に「チキータ封じ」をされることも、頭に入れておいてください。
(4)卓球チキータの打ち方・ やり方・コツ【初心者編】
チキータの打ち方・やり方は、以下のステップで行います。バック前に出された、ナックルサーブを打つ想定です。
▣台の下に右足を踏み込み、ボールに近づく
▣ネットの高さ以上のボールを狙う
▣バックスイング
▣バウンドの頂点、ボールのやや左側を捉え て一気に振り抜く
▣フォロースルーは横に
それぞれについて、コツを含めて解説させていただきます。
❶台の下に右足を踏み込み、ボールに近づく
まず、卓球台の下に右足を踏み込み、ボールに近づきます。
台に覆いかぶさるくらいの気持ちで、「ガバっ」と行くことがコツです。ボールに顔を近づけるようにして、なるべく低い体勢にします。
このとき、ボールに対して体は正面ではなく、下図のようにやや右側の位置に入り込んだほうが、強い回転をかけやすいです。
このように、チキータの打ち方ではまず、台の下に右足を踏み込んでボールに近づきます。
❷ネットの高さ以上のボールを狙う
チキータでは、ネットの高さ以上のボールを狙いましょう。これは、成功率を上げるためです。
チキータを成功させるには、ボールを選んで打つことが重要です。基準は、回転の量や方向ではなく、バウンドの高さです。
バウンドの高いもののほうが、チキータをやりやすく、ミスをしにくいです。
反対に、ネットすれすれで飛んできた低いボールは、ミスをする可能性が高いです。たとえ回転が弱くても、チキータをするのは避けましょう。
これを見分けるためにも、前述したように、低い姿勢でボールに近づくことが大事です。
このように、チキータでは、ネットの高さ以上のボールを狙います。
❸バックスイング
チキータのバックスイングは、下の写真のように、肘を前へ突き出すような形にします。
こうして、懐に空間を作ります。これと同時に、手首を最大限内側に曲げてください。
ラケットの先端が、ズボンの右ポケットあたりを(時計で言うと4〜5時くらいに)向くようにします。このときの手首の曲げ具合によっても、回転量や威力が決まります。
独特かつ特徴的なフォームなので、慣れないうちは力んでミスをしやすいです。なので、力を抜いてバックスイングをすることがコツです。
無駄な力がないほうが、打球が安定し、回転もかけやすくなりなります。
そして、ボールをしっかり引きつけることもコツです。
以上が、チキータのバックスイングです。
❹バウンドの頂点・ボールのやや左側を 捉えて一気に振り抜く
チキータでは、バウンドの頂点・ボールのやや左側を捉えて、一気に振り抜きます。
バックスイングで曲げた手首を、解放するように思い切りスイングします。肘から先はムチのようにしならせて、しっかりとボールを擦って打ちましょう。「打つ」というよりも、「擦り飛ばす」イメージです。
コツは、手首だけでなく、肘から先・体全体を使ってボールに力を加えることです。
また、体をやや仰け反る形にすることで、反動を利用して威力を出せます。ちょうど、バックドライブを打つときのようにです。それと同じことを、台上で小さくやるイメージで打ちます。
ボールの左側を捉えて打つと、相手の回転の影響を受けません。ここを打つことで、十分な回転をかけることができ、安定して返球できます。
以上のように、チキータのスイングでは、バウンドの頂点・ボールの左側を捉えて一気に振り抜きましょう。
❺フォロースルーは横に
チキータのフォロースルーは、横方向にします。
フォロースルーを大きくすることで、回転量やスピードが増します。
右側(時計で言うと3時の方向)まで、しっかりラケットを動かします。中途半端なスイングはダメです。
攻撃的なドライブをするときのように、攻める気持ちで打ちましょう。
このように、チキータの打ち方では、フォロースルーは横方向にします。
(5)卓球チキータの打ち方・ やり方・コツ【上級者編】
前述した初心者編に加えて、より威力のあるボールを打つやり方・コツは以下の通りです。
▣肘の位置を高くしてバックスイング
▣ボールの真正面(後ろ)を捉えて打つ
▣ラケットの先端に当てて打つ
それぞれについて、解説させていただきます。
❶肘の位置を高くしてバックスイング
上級者向けのチキータの打ち方では、肘の位置を高くして、バックスイングをします。
こうすることで、懐の空間がより大きくなります。また、手首を曲げられる範囲も広がるので、より威力のあるボールが打てます。
安定してチキータが打てるようになったら、トライしてみてください。
このように、肘の位置を高くして、バックスイングをします。
❷ボールの真正面(後ろ)を捉えて打つ
チキータのさらなるコツは、ボールの真正面(後ろ)を捉えて打つことです。
これにより、よりスピードのあるチキータが打てます。言わば「台上バックドライブ」になります。
体の正面で、ボールの左側ではなく真正面(後ろ)を捉えて打ちます。相手の回転を打ち消すように、しっかりと打ちましょう。
以上のように、ボールの真正面(後ろ)を捉えて打つことが、チキータのさらなるコツです。
❸ラケットの先端に当てて打つ
上級者向けのチキータの打ち方では、ラケットの先端に当てて打つこともコツです。これをすることで、強烈な回転をかけられます。
チキータは、台上のボールに対して行う打ち方ゆえに、コンパクトなスイングになります。
こうしたスイングでは、ラケットの根元と先端で、スイングスピードが大きく違ってきます。先端のほうが、遠心力がはたらいてスピードがあるので、威力のあるボールを打てます。
しかし、とっさに出されるサーブに対してこれをするには、かなりの技術力が必要になります。トップ選手は、前述したように、ボールの真正面(後ろ)を捉えて、ラケットの先端で打っています。
このように、ラケットの先端に当てて打つことも、上級者向けのチキータの打ち方のコツの1つです。
(6)卓球チキータがやりやすい ラケットやラバーの特徴
チキータがやりやすいラケットやラバーは、以下のような特徴のものです。
▣あまり飛び過ぎない
▣球離れが早くなく、打球感が柔らかい
▣回転がかかる
特にラバーは、しっかりとボールを掴めるものがおすすめです。中級者以上の方は、これに加えて適度な弾みのあるものがいいでしょう。
他の技術とのバランスも見ながら、考えてみてください。
以上が、チキータに適したラケットやラバーの性質です。
(7)卓球チキータの練習方法と戦術
チキータの練習方法は、以下の3つです。
▣感覚を身につける
▣多球練習
▣ラリー練習で戦術を磨く
順を追ってやるといいです。それぞれについて、解説させていただきます。
❶感覚を身につける
チキータの練習ではまず、スイングやボールを擦って飛ばす感覚を、身につけることからはじめます。
複数のボールを、カゴに入れて用意します。1球ずつ、フリーハンド(ラケットを持ってないほうの手)で、台に1バウンドさせて、これをチキータで打ちます。
肘を前へ出すことや手首を曲げること、ボールの左側を捉えて思い切りスイングすることなど、コツをしっかりと抑えて練習してください。
どの位置で打球するといいのかや、体全体の使い方も一緒に確認しましょう。
このように、スイングやボールを擦って飛ばす感覚を身につけることが、チキータの最初の練習です。
❷多球練習
次に、多球練習でチキータを練習しましょう。
多球練習とは、複数のボールを用いて行うもので、ラリーはせずに1球につき1回だけ打ちます。ミスをしても、ボールを拾いに行く時間や手間がなく、効率的に反復練習ができます。
練習相手に、バック側へ短いボールを出してもらい、これをチキータで打ちます。簡単なナックルからはじめて、横上・横下回転、下回転の順に練習するといいです。
思うように台の下に踏み込めないときは、ボールをフォア側に出してもらって打つことをおすすめします。こちらのほうが台が邪魔にならず、右足を大きく踏み込めるのでやりやすいです。
身につけた感覚通りに打つのは、容易ではありません。他の打法よりも身につけるのに時間がかかりますので、焦らずじっくり取り組んでください。そして時折、打ち方やコツを再確認して、正しく打てているかチェックします。
このように、チキータの練習方法に、多球練習があります。
❸ラリー練習で戦術を磨く
最後は、実戦形式のラリーでチキータを練習し、戦術を磨きます。
練習相手に、バック前やミドル前にサーブを出してもらい、チキータでレシーブします。多球練習と同様に、ナックルからはじめて、横上・横下回転、下回転の順に行うといいです。その後は、ランダムでラリーをします。
このとき、チキータでラリーの先手をとって、4球目を狙うことを考えておきましょう。
例えば、相手がサーブ→自分がチキータで レシーブ→相手がブロック→自分がドライブで4球目攻撃、などのようにです。
チキータは回転量が多く、相手は強打できないことが多いです。なので、4球目が攻撃のチャンスです。
しかし、威力が強すぎるゆえに、チキータの回転が残った状態で返球される場合も多いです。
こういうケースでは、スマッシュをするとミスをする可能性が高いです。よって、ドライブで攻めるのがおすすめです。
慣れてきたら、色々な回転や長さのサーブを混ぜて出してもらって練習します。チキータができるサーブなのかどうかの、見極めもしっかり行いましょう。
このように、最終的には実戦形式のラリーでチキータを練習し、戦術も磨きます。
♣まとめ
今回は、卓球チキータの打ち方・やり方・コツ、そして練習方法などについて解説させていただきましたが、いかがだったでしょうか!?
チキータでは、レシーブで先手をとって有利なラリー展開ができたり、得点したりすることが可能です。
憧れの技、チキータを打てるとカッコいいですよね! 難易度が高いので、じっくり時間をかけて習得してください。
次回は、チキータとミユータの違い・ミユータの打ち方やコツを紹介させていただきたいと思います。
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