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浪人前のお話

まともに勉強をしなかったのだから当然の結果だった。
「どこか合格してるでしょ。」
根拠ない自信があり、正直浪人は全く想定していなかった。

高校3年の3月。受験に失敗した。

「あ、落ちたんだ。浪人してあと1年勉強するのか。めんどうだな。」
PC画面に自分の受験番号が見つからなかったとき、そう思った。
その時は、辛い悲しいといった感情はあまり感じず、割かしドライだったと思う。


そう、その時は。

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高校最後の年は、体育祭で応援団に所属し、全校リレーを走った。女子とフォークダンスもした。
夏休みはほとんど応援団の演舞練習に費やした。
当時の彼女と夏祭りにも行った。
夏祭りで一番印象に残っていることは、自販機が壊れて入れた1000円札が戻って来なかったことだ。懐かしい。

当時

そんな体育祭の応援団チームメイトと卒業前に集まる機会があった。
進路が決まり、私と同じように浪人する奴もいた。
「俺だけじゃない」と少し安堵した。
その日はボウリングをしたり、海に行ったり、温泉に行ったあとにゲーセンで『太鼓の達人』をした気がする。
楽しかった。そう思いながら帰りたかった。

"帰りたかった"
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財布がない

やらかした。PORTERの折りたたみ式財布。
『太鼓の達人』をやっている間はあった。
19時頃か、家に帰り着く前に気づき、独り全力でチャリを漕ぎ、ゲーセンまで戻る。
エスカレーターを走る。
筐体の前まで来た。
無い。どこにも無い。店員も知らないと言う。

仕方なく家に帰った。
様子がおかしいことに勘づいた母親に財布のことを聞かれ、「無くした」と言った。呆れられた。

まだ、泣かなかった。

自分の部屋で横になり、ふと『長渕剛』を聴きたくなった。そう、あの『長渕剛』。(個人的に、彼が活動の一環でやっている『書道パフォーマンス』がとてもツボだ。筆先吹っ飛ばしてでも書く、その気迫がツボだ。)
当時、私は長渕剛なんてほとんど聴いたことが無かった。なぜ聴きたくなったのかはよく分からない。
youtubeで↓の動画がヒットした。

長渕剛/HOLD YOUR LAST CHANCE

浪人決定
財布無くす
友人との別れ
長渕剛

役者は揃った。さあ、泣け。

泣いた。どちゃクソ泣いた。

イントロを聴いた途端、堰を切ったように涙が止まらなくなった。
歌詞もまた胸にガツンガツンと響く。
エモ(emotional)の境地。
泣きすぎて嘔吐いている私に気づき、母が家に入ってきた。構うものか。この日だけは我を忘れてウォンウォン泣いた。
私は受験に失敗し、「LAST CHANCE」を「HOLD」することはできなかったが、この曲は「強く生きろ」と自分を強く励ましてくれた。

この当時の辛かった経験も、今ではすっかり笑い話だ。
辛い過去も、いつか笑い話になる。
そう思いながら「今」を生きていきたい。
ベッドに横たわり、フリック入力で文字を重ねながらそう思っている。
神様仏様、人生のネタを提供してくれてありがとうございます。

合掌🙏

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