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13年前を綴る


今月で三十路という人生で云う所の、
立派な大人と言われるであろう年齢を迎える。
立派な大人になったか?と聞かれると
かなり怪しいけど、それなりに色んな経験をして
酸いも甘いも噛み、味わい、時にはそれを
吐き出したりを繰り返してきた。


付き合う前や、付き合った後のデートは
やらかしてきた事も楽しかった事も
沢山有ったと思い出に耽ってみる。
思い返すと、好きになった人にはもれなく
全員に土下座をしたい気持ちになる。


今思うと、望んだ結果は別として、
どの人も相応に良い人達だった。
もう届かないし、一々届けないけど、
等しくありがとうございました。

始めてで有ろうデートは10年以上前。
当時高校生で、少し年上の大学生の方と
文通のやり取りをしていた。
今思うと、恋というより憧れだった。


学校という3年間の行動範囲を
決められていた箱庭以外の繋がりが
その場所以外の知らない人が自分の知らない
世界を教えてくれる交流がとても楽しかった。
楽しかったから、どんな人かと好奇心が高まった。

暫くして部活の春休みに丁度日が空いてたので、
ひょんな事からその人とお会いする事にした。
京極通りの映画館でミュージカル映画を観て、
お昼をシェーキーズで食べて、その後鴨川で
少し雑談という京都在住の人には大体想像が
出来るありふれたコースを我々は巡回した。
人見知り故に緊張し過ぎて、下ばかり見てたが、
笑う口元が綺麗な人だなとぼんやり思った。


後々、私の好きになった人の共通点が
笑顔が凄く可愛いという事なのだが、
当時はまだ気付いて無かった。
本当に我ながらチョロい。

結局手も繋がなかったというか、
緊張から振り払ってしまうという高校生の私。
お会いしたのもその一度きりで、
もうお顔はあやふやで思い出せないけど、
そのミュージカル映画は今でも主題歌が好きで
ふと口ずさむ時が有る。


顔は忘れても、その人の笑った口元だけは
割としっかり覚えている。
何も進展も今後も無いし、会う事も無い。
文通の手紙も大人になる頃には
全てどこかにやってしまった。
1回きりの意味も無い事、されど楽しかった。


青春とはかけ離れた三十路の私に
薄く雲が掛かった、綺麗な春の空は
隣に誰も居ない時、少しだけ懐かしく思う。
そこに誰も居なくとも、ふと鴨川河川敷に
寄り道をしたくなる。



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