豊 麻衣(ユタカ マイ)

社会人劇団で役者&脚本を書いてます。 ありそうで無さそうな、少し優しいお話をあなたに。…

豊 麻衣(ユタカ マイ)

社会人劇団で役者&脚本を書いてます。 ありそうで無さそうな、少し優しいお話をあなたに。現在超不定期で#万里子さんと僕 シリーズを書いています。後エッセイも。 作成脚本も投稿したいけどまだまだ先になりそうです…φ(..)

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  • 万里子さんと、僕。のまとめ

    これは万里子さんと、僕の日常の話。 これは私の優しい記憶のお話。 謎のアンニュイ系美人の万里子さんと 隣人かつお目付け役の僕、基本的に この2人のお話を不定期更新で短く 幾つか書いていく予定です。 2019.1.14 現時点2話まで公開

最近の記事

帰る家を探して

桜が咲き切った頃、このご時世なので お花見をする事も無く終わりそうな時期に 大阪市の南の端っこに引っ越した。 京都の片田舎から片道1時間半掛けて 通勤していた職場が10分で行ける様になり、 商店街も賑わってて近くに町のお銭湯も 何件か見受けられる場所に暮らす。 引っ越して2ヶ月後に仕事を辞める事に なるのはまた別のお話。 持っていく荷物は最小限にして 業者さんにお願いして先に荷物を 運んで頂きこれから住む家にまで 移動する2時間弱でここ数年の映像が 頭に流れていた。 人生

    • 万里子さんと、僕(3)

      海月と万里子さん 「水族館、新しく出来るんだって?」 部屋の本棚から海洋生物の写真集を 引っ張り出してきて、パラパラ見ている 万里子さんから唐突な質問をしてきた。 初夏にしては気温が暑く、室内には エアコンと写真集の音が微かに響いていた。 「来月末からみたいですね。 隣の市の海沿いにオープンする みたいですよ。TVで宣伝してましたっけ?」 「TVは見てないけど、何かポストにチラシが 入ってたからちょっと気になってね。」 「水族館、お好きなんですか

      • 私とご飯 1

        ナポリタンもどきを求めて 今も昔も美味しいご飯を食べるのが好きで ふと気付くとご飯にまつわる話が 多くて夕御飯にナポリタンを作っていたら ふと小話を書きたくなった。 子どもの頃、祖母が作ってくれたトマトベースの 甘めのスパゲティが1番のご馳走だった。 豚ミンチ と沢山の玉葱微塵切りとトマト、 少しだけウスターソースとお砂糖が入ったミートソースが 盛られたスパゲティがとても好きだった。 大人になって外食で始めて ボロネーゼを食べた時、全然甘くなくて 何なら

        • 万里子さんと、僕(2)

          恋話と万里子さん 夏は薄手のブランケット。冬は着ぐるみかと 思う様なもこもことした毛布を纏って 大体年がら年中カタツムリに擬態しているが、 今みたいな春の中途半端な季節だと、 そんな万里子さんも部屋の中で少しヨレた ルームワンピースを1枚着て、 体育座りで僕の部屋に居る。 「どうぞ。」 「あぁ、ありがとう。」 氷を入れた水出し紅茶を入れたカップを 目線を合わせずスッと掴んで口に含んでる。 「少しずつ暖かくなってきたね。」 「もう4月半ばですからね。お菓子も

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        • 万里子さんと、僕。のまとめ
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          13年前を綴る

          今月で三十路という人生で云う所の、 立派な大人と言われるであろう年齢を迎える。 立派な大人になったか?と聞かれると かなり怪しいけど、それなりに色んな経験をして 酸いも甘いも噛み、味わい、時にはそれを 吐き出したりを繰り返してきた。 付き合う前や、付き合った後のデートは やらかしてきた事も楽しかった事も 沢山有ったと思い出に耽ってみる。 思い返すと、好きになった人にはもれなく 全員に土下座をしたい気持ちになる。 今思うと、望んだ結果は別として、 どの人も相応に良い人達だっ

          万里子さんと、僕(1)

          カレーライスと万里子さん 実家から大学までそう遠くは無かったけど 進学を期に1人暮らしをして早6年目。 始めて作ったカレーライスは散々だった。 母の手伝いで野菜の皮剥きを何度かした時に 横で見ていた筈なのに、出来たのはカレー味の 何とも言えないスープの様なモノだった。 食べれない事は無いけど、美味しく無かった。 おまけにご飯も炊き忘れるんだから、 カレーライスが成立しなくなった。 1人でワンルームの部屋で食べるのに 3日間程掛かって少しだけ寂しくなった。 あれから年月が

          万里子さんと、僕(1)