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『ビスケット殺人事件』ピアノ講師・高岡紀美子エッセイ作品

 童話『ヘンゼルとグレーテル』。森に捨てられた兄妹は、ビスケットで造られた「お菓子の家」に迷いこむ。そこには、子どもを食う恐ろしい魔女が…。危うく食べられそうになった2人は、アベコベに魔女をパン焼きガマに押し込んでしまった。

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 「お菓子の家」の旧跡を発見!そんな書物が、40年前、ドイツで出版された。フランクフルト近郊の発掘現場からは、カマ跡と女性の白骨が見つかり、現場写真20枚が掲載された。推理の結果、魔女といわれた女性はビスケット作りの名人で、その名声をねたむ同業者の手によって殺害されたのでは…という。

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 「あの童話がビスケット殺人事件ですって!」。ショックを受ける幼稚園の先生たち。が、この大発見は真っ赤な「創作」であった。やがて、怒り狂った読者によって出版社の電話線は切られ、検事局までが動きだす始末。ベストセラーという「甘いお菓子」を期待していた出版社は、この結末に慌てふためいたとか。「それって、魔女のシッペ返しね」と、肩をすくめる読者たち。甘いあま〜い「お話」には…ご用心!

2003年8月25日岐阜新聞掲載


最後までお読みくださりありがとうございます。こちらのnoteでは岐阜県のピアノ講師・高岡紀美子先生のエッセイを紹介しています。2021年第1号は「お菓子の家」をテーマにした作品を紹介しました。写真はくらびあはな作の「お菓子の家」です🤗今年もどうぞよろしくお願いします🎶

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