切ない婚活女子に捧ぐ。自称ハイスペ女子が婚活の旅で傷つき、手に入れたもの
「忘れられない旅」
この何ともエモーショナルなお題を見た時、最初に浮かんだのが20代ラストの半年間でした婚活のことでした。
(お題は旅行記に限らず「価値観や考え方が変わった旅」についても書いて良いそうです)
ワーママ&パパのフォロワー様の多いこのアカウントでは期待値に合わないかもしれない婚活の話ですが、婚活に限らずいま心に「切ない」という感情に苦しんでいる方に向けて書いた記事ですので、お読みいただけると幸いです。
婚活を始めたきっかけとその内容
28歳の誕生日に、約2年付き合っていた彼氏に振られました。
当時血の気の荒かった私は、絶対にこの彼氏よりいい人と1年以内に結婚してやる!と意気込み、その日に大手結婚相談所数社の資料を取り寄せました。
婚活の切なさ①結婚相談所入会時の特典
取り寄せたパンフレットを眺めていると、あることに気が付きました。
それは、入会時に特典のつく人達がいるということです。
(特典は、通常10万円単位でかかる入会金が無料になったり、月々かかる会費が安くなるといったもの)
細かい条件は相談所によって異なりますが、概ねの傾向は以下のようなものでした。
【特典のつく男性】
・高学歴(国立大、有名私立大など)
・医師、弁護士、会計士などの資格職
・高年収(年収1000万以上など)
【特典のつく女性】
・20代
相談所が特典をつけてまで入会させたいということは、婚活市場で需要があるから多少損をしてでも自分たちの人材プールに引き入れたい層ということです。
男性は自分の努力の結果手にしたステータス(学歴や職歴)で特典がつく一方、女性は年齢(若さ)なのか…と愕然としました。
婚活の切なさ②削ぎ落とされるプロフィール
相談所には様々な種類がありますが、私は婚活アドバイザーと呼ばれる人(多くは、おばさま)が張り付いてオススメの人を紹介してくれるようなガチなタイプの相談所に入会しました。
最初に、男性側の会員に配る用のプロフィールシートを作成するのですが、婚活アドバイザーから以下のような助言をいただきました。
・年収は下げて書く
・趣味は結婚生活をイメージできるものを書く
当時、年齢の割には高いお給料をいただいていた私。
しかしアドバイザーいわく、男性はお相手の希望を出すときに「自分より年齢と年収が下」の女性を選ぶことが多いため、高年収をそのまま書くと書類の段階で男性から選んでもらえないよということでした。
結果、プロフィールにはボーナス分として100万円ほど抜いた金額で記載しました。
(年収記載のために男性は源泉徴収票の提出が必要だったのに、女性は自己申告で良かったのです)
私はキャリアには自信を持っていたし、そこにたどり着くまでにした努力に誇りがありました。
でもその誇りは、婚活市場のプロフィールでは「選ばれない原因になるから」とざっくりと削ぎ落とされてしまいました。
ちなみに趣味は「(アイドルの)コンサートにいくこと」と書いていたのですが、アドバイザーとの会話の中で「たまーに自炊もします」と言った一言がピックアップされて『料理』に書き換えられておりました。
婚活の切なさ③報われない土日
相談所に入っていた半年間は、土日は多い日は1日に3件お見合いをしていました。
お見合いは、都内のホテルのラウンジでお茶を飲みながら1時間程度話すというものです。
小綺麗な場所なので、それなりに時間をかけて服を選び化粧をしヒールを履いて出掛けます。
にも関わらず、お見合い相手がまるでタイプでなかったときの徒労感。
結局、貴重な土日がこの報われない時間で過ぎていくのがつらすぎて、半年で相談所を退会してしまいました。
「切ない」という感情の正体
相談所退会後、無事にいまの夫と出会い結婚した私ですが、この半年間の婚活はいま思い出しても胸がきゅっとなる「切ない」時間でした。
なんであんなに切なくて辛かったんだろう?と考えると、自分の頑張ってきた努力が報われない世界があると気付いたからだと思います。
私は今、「子供なんてどうせ食べないんだから、料理スキルなんて育児に必要ないよね」と言われても悔しくはないし切なくもなりません。
ろくに料理を頑張ってこなかったからです(趣味欄に書かれたのに笑)。
しかし婚活市場で、努力で勝ち取ってきた学歴やキャリアがマイナス要素ですよと言われ傷つき、オシャレをして頑張って着飾っても好きな男性には出会えず泣きました。
切なくなるのは、頑張ってきたことの証。
頑張ってきたものがあるからこそ、それを否定されたり報われないと、人は切なくなるのかもしれません。
まとめ
この記事のタイトルは、内館牧子さんの「切ないOLに捧ぐ」という本のタイトルをオマージュいたしました。
内館さんは最近だと『終わった人』などの老後小説が話題になった人気作家です。
作家になる以前、内館さんは誰もが知る大企業の三菱重工で働いていました。
時には結婚に焦りながらも、キャリアアップを目指して仕事を頑張ったのに当時の会社や社会の「しきたり」で努力を無下にされることもあった切ない13年半が綴られています。
30年ほど前に書かれた本ですが、今読んでも十分に伝わる切なさを感じました。
そんな切ない経験を重ねてきた内館さんの後書きに、このような優しい一節があります。
そして、切ないという言葉を辞書で引くと、こんな意味が出てきます。
切ないって、 実は「非常に親切である」という意味があるのです。
自分の積み上げてきた努力が通用しない世界で胸がきゅっとなる経験をしたからこそ、目の前に昔の自分と同じような苦しい経験をしている人がいれば心から共感し、親切に寄り添うことができるのかもしれません。
私にとって婚活の半年間は辛く切ない忘れられない旅でした。
しかしその経験のおかげで、努力が報われず不安になっている人に寄り添える優しさを手にすることができたと思います。
(それまでは、「努力が報われないやつは努力が足りないだけ」と思っていたし、かなり天狗になっていました)
切なさは、人を優しく親切にします。
いま努力が報われず切ない思いをされている方は、今は辛くともその経験がいつか誰かに元気を与えると信じてみるのがいいかもしれません。