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熊の飼い方 12
影 7
昨日はあまり寝れなかったが、今日も変わりなくいつものように作業着に着替える。日差しがあまりない。雨の日と曇りの日はいつも気分が下がる。そんな落ち込んだ気分で作業場に向かう。
「にっしーさんおはようっす」
「ごっさんおはよう」
僕は「にっしー」と、大男は「ごっさん」とお互いのことを呼ぶようになっていた。毎日作業で会うぐらいだが、何かしらお互い拠り所となっていたかもしれない。しかし、互いに深く関わることがなかったため、その程度だった。
「今日は何かテンション低いすね」
急に胸が締め付けられた。ただ、曇りで気分が下がっているだけなのに。なぜ、そんなことに気付くのだろう?そんなに監視されているのか。気遣ってくれる嬉しさとともに、恐怖も覚えた。
「そうですか?」できるだけ平然を装って答えた。
「うん。なんか落ち込んでそう。顔ものすごい怖いっすよ。夜中に幽霊見た人みたい」
「そんな暗い顔してますか?特に何もないすよ」
「それならよかった」
ごっさんは特に深入りしてこなかった。それが不思議にも思えた。しかし、それに気にすることなく今日も作業が行われた。いつもより気分が乗らなかったため効率は良くなかったが、何とか手を進めた。
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