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シンジケートローンを知っていますか(その4)

前回に引き続き、今回も資金調達に利用されるシンジケートローンに関する話題です。今回、シンジケートローンは借入人にとってどんなメリットがあるかを解説します。


5.借入人のメリット


今回はシンジケートローンを利用する借入人のメリットについて解説します。まず、借入人のメリットは以下のものです。
 

  1. 融資条件をアレンジャーのみと交渉すればいい

  2. 対応するのはエージェントだけでよい

 

①融資条件をアレンジャーのみと交渉すればいい

 
まず、借入人の最大のメリットは大きな金額の借入を複数の貸付人からしなくてよい点です。
例えば、企業が50億円を調達したいと思っていて、銀行に話を持ち掛けます。そうすると、こんな感じになるでしょう。
 
「50億円を借りたいんですけど……」
A銀行「10億円までなら融資できますよ」
 
「50億円を借りたいんですけど……」
B銀行「うちが融資できるのは20億円ですね」
 
「50億円を借りたいんですけど……」
C銀行「10億円ですね」
 
「50億円を借りたいんですけど……」
D銀行「うーん、うちは10億かな」
 
4行に声を掛けてやっと50億円集まります。さらに、4行に借入に関する資金使途を説明し、資料を提出します。普通は大きな金額を調達するのに時間が掛かるのです。
 
これに対して、シンジケートローンの場合はこんな感じです。
 
「50億円を借りたいんですけど……」
X銀行「うち単独だと20億円までしか出せないから……他の銀行に声を掛けて集めますよ!」
 
借入の交渉が1行で済みます。
 
 

②対応するのはエージェントだけでよい


貸付をした後、貸付人(銀行)は債務者に対する定期的なモニタリングが必要です。
借入人は貸付人(銀行)に対して、月次報告、決算説明をしないといけません。元利金の返済も貸付人(銀行)の指定する銀行口座にしないといけません。
 
シンジケートローンの場合はエージェントに対して資料提出、説明をすれば足ります。また、元利金の返済はエージェントの銀行口座にすれば全ての貸付人(銀行)に返済したことになります。
借入人にとって資金調達後の事務手間が減ることがメリットといえるでしょう。
 
シンジケートローンの借入人のメリットは以上です。

次回は、シンジケートローンの特徴的な契約内容について説明します。


<その5に続く>

<過去記事はこちら>


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なお、シンジケートローンについて詳しく知りたい人は下記の書籍を参考にして下さい。

【金融マンのための実践ファイナンス講座】

【金融マンのための不動産ファイナンス講座】

 


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