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シンジケートローンを知っていますか(その1)

前回に引き続き、ファイナンスの解説です。今回は資金調達に利用されるシンジケートローンについて解説します。


1.  シンジケートローンとは


 
資金調達金額が小さい場合は1つの銀行で対応可能です。
でも、企業が大きな金額、例えば大規模プロジェクトの資金を調達する場合、金額が大きすぎて1つの銀行だけでは対応できないことがあります。

調達金額が大きすぎる場合、融資の相談を受けた銀行は他の金融機関を召集して融資を行うケースがあります。このような融資スタイルを「シンジケートローン」といいます。
日本人は略すのが好きなので「シローン」という場合が多いですね。

「シンジケートローン」は「協調融資」と日本語訳されます。複数の金融機関が一つのグループ(「シンジケート団」)となって単一の契約書のもとに借入人に対して行う貸付のことです。
 
シンジケートローンの契約は一般的な銀行借入とは少し違います。
例えば、シンジケートローンは譲渡可能な契約です。なので、貸付人はシンジケートローンを他の銀行に売却することができます。通常の銀行借入と比較すると、貸出人が資金化しやすい契約であることが特徴の一つです。
 
シンジケートローンは欧米から輸入された融資スタイルです。このため、従来の日本の伝統的な貸付にはない言葉や概念があります。
シンジケートローンの特徴について説明しましょう。
 
 

2.    シンジケートローンの登場人物



まず、シンジケートローンには「アレンジャー」や「エージェント」という役割があります。
 
アレンジャーはシンジケートローンを組成(アレンジ)する銀行です。アレンジャーが複数行存在するシンジケートローンもありますから、アレンジャーをリード・アレンジャー(主幹事)などに分けたりします。
ちなみに、シンジケートローンの参加金額が大きければアレンジャーになったりしますから、ゴールド会員みたいな感じでしょうか……

最も貢献度の高い銀行が契約書やツームストーンの左上(Top left)に表示されます。銀行員はトップレフトに表示されるMLA(マンデイテッド・リード・アレンジャー)を目指して案件取得を競争します。
こちらの小説が有名ですね。

 
エージェントは事務管理を行う銀行です。担保管理を行う銀行をセキュリティ・エージェント、資金管理を行う銀行をペイング・エージェントと言います。
エージェントは通常アレンジャーが兼ねます。ただ、バックオフィスの弱い外銀がアレンジャーの場合、外注することもあります。
 
次は、シンジケートローンを利用するメリットについて解説します。

<その2に続く>

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なお、シンジケートローンについて詳しく知りたい人は下記の書籍を参考にして下さい。

【金融マンのための実践ファイナンス講座】

【金融マンのための不動産ファイナンス講座】


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