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書籍・論文を読み,まとめるシステムの構築

今回のnoteでは,論文を読み,まとめるシステムについて私の実践を紹介します.そんなに大したことはしていませんが,あらたに研究生活を始める方や,これまでの環境を見直したい方はぜひ参考にしてください.

今回の仕組みは,今後も更新される可能性があります.しかし現状では,論文の読書メモと本文の検索を行うことができるシステムになっており,非常に快適です.

今回ご紹介するシステムは,論文で読んだことを一旦忘れても,思い出すことができるシステムです.有名なライフハックのひとつであるGTD(Getting Things Done)を自分の仕事に適用する際にできた副産物です.

GTDのコアは「自分の抱えていることを信頼できるシステムに預け,いつでも引き出せる,あるいは(半)自動的にリマインドできるようにしておく」ということだと思います.ご紹介するシステムでも,それがある程度共通しています.


全体図

まずは全体図をお見せします.

図:全体的なフロー


文献(書籍・論文)を読み,消化するプロセスは大きく3つに別れます.探す・読む・保存する,という3プロセスです.このnoteではこの3つのプロセスに沿って説明しましょう.まず,探す・読む部分を紹介し,次に読んだ後の保存する部分を紹介します.

探す・読む:文献を収集し,吸収する

まずは,読むべき文献を探します.研究に関連するキーワードを幅広く検索し,論文や書籍を探します.文献の探し方は以前に別のnoteで紹介しましたので,そちらをご参照ください.

このnoteでは,そのあとに文献を読むための下準備を紹介します.

論文:PDFで保存

現代において,ほとんどの論文はPDFで取得することができます.私は入手した論文のPDFをオンラインストレージサービスのBoxに入れています.

普段はGoogle Driveをメインのストレージとして使っているのですが,Boxを論文保存に使っているのは,ちょっとした経緯があります.

私は論文を読むためにSonyのデジタルペーパーを使っています.デジタルペーパーは,PDFに直接書き込み・マーカー入れができる(物理的に)軽いガジェットとして,重宝しています.

さて,私はデジタルペーパーの一つ前の世代(DPT-S1)を使っていました.一つ前の機種では,Wi-fiに接続してオンラインストレージと同期を行うことができました.Boxは同期が可能なサービスだったのです.

現行の機種では,その機能は削除されてしまいました.そのうえBoxでは同期するための通信方法(webDAV)も扱えなくなってしまいました.なのでBoxを使い続ける積極的な理由はありませんが,Driveよりも同期が軽快ですので,そのまま使い続けています.Boxのフォルダに論文を入れ,デジタルペーパーと同期して使っています.

書籍:そのまま読むか,PDFで保存するか

書籍は,書店やAmazonなどで購入,あるいは図書館で入手するか,の2択になります.購入した本に関しては,大体の場合はそのまま読みます.読んでいて,おもしろいと思ったところには,3Mの付箋を貼ります.昔は書き込みをしていたのですが,今は要約に書き込みたいことを入れ込んでいます.細いものが個人的にはお気に入りですね.

図書館で借りた本には,付箋をつけるわけにはいかないので,スキャナーで取り込んでPDF化し,デジタルペーパーに取り込んで読みます.また,書き込みながら読みたい本も,PDF化にして書き込めるようにします.本を取り込むのはScanSnapを使っています.昔は読みたい部分をコピーして,それをiX500を通して読み込んでいましたが,現在は見開きでスキャンできるSV600を利用しています.

保存する:忘れるための検索可能性

読んだ文献の内容を,いつまでも頭の中に入れておくわけにはいきません.というよりは,できません.どうせ忘れるのであれば,あとから思い出しやすくなるよう,検索できるようにしておきましょう.

まず,エクセルに要約と書誌情報を入力します.私の場合は,著者名,タイトル,出版年などの情報を入力すると,数理社会学会の雑誌『理論と方法』形式になるように,関数を組んであります.

図:エクセルのイメージ

論文には要約(あるいは最低でも1行分の感想)を付けます.いま取り組んでいる研究との関連を記すこともあります.いずれにせよ,論文・書籍の内容や感想,他研究との関連などをメモしておきます.メモの取り方の要点は以前に以下のnoteで紹介しました.

この内容を,Evernoteに一つのノートとして転記します.このとき,論文やスキャンした書籍のPDFがあれば,添付します.

図:Evernoteの画面の一例
(以前紹介したメモの書き方より,だいぶあっさりしていますが……)

Evernoteは有料プランであれば,PDFの中まで検索してくれます.論文や書籍に適当なタグをつけて保管しておくと,あとで関連研究をあさろうとしたときに,Evernoteを検索すれば網羅することができます.これが冒頭のGTDでいうところの「信頼できるシステム」にあたります.検索可能性を担保することで,読んだ直後に忘れても安心して次の作業に取り掛かることができます.

今回は,文献の管理システムを紹介しました.個人的にはもう少し改善できる余地があると考えています.またその時には,ご紹介できればと思います.