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60日後にタクシー運転手を辞める男の話 4日目 タクシー運転手の寮は基本汚い

契約書を交わし、諸々の手続きを済ませたら、次は入寮だ。
タクシー会社は、そこそこの割合で寮がある。
どんな感じなのかは、事前によく調べておくことをお勧めする。行けるなら下見もした方がいい。俺は遠方からの引っ越しだったので出来なかった。

俺のいたところは、古い6畳一間。古いベッドと汚い冷蔵庫とくさいエアコン付きだった。布団だけはクリーニング後のようだったが、カーテンはタバコ臭かった。
タクシー運転手は部屋でタバコ吸いだすヤツが多いから、こういう寮はタバコ臭いのはつきものだ。

この冷蔵庫だが、開けてみるや否や、ものすごい量のカビと謎の水が溜まっていた。
その場で異議を申し立て、運よく綺麗なモノが見つかったからそれと交換したが、見つからなかったらそのままだっただろう。

エアコンは、古いエアコンなだけあって、それなりの変なにおいを醸し出す。においは慣れるが、温度調節に難がある。なんとこの寮、「冷房」「暖房」設定が一括だったので、各部屋で冷暖房の切り替えが出来ないのである。初夏ごろに気温が上がり、とても暑かったときに、冷房を付けようとしても、暖房モードになっていたため大変暑い思いをして過ごしたことを思い出す。

また、俺のいた寮は、風呂とトイレとキッチンが共同だった。

キッチンは、まあ、汚くて狭い、ガスと電子レンジがあるだけの小さな部屋だった。基本1人しか入れない程度の狭さだったから、誰かが使っていると使えない。

トイレは、有難くも便座が暖かいウォシュレットタイプだった。ただ、結構な割合で茶色いブツがビチビチにこびりついていた。きったねえなと思いつつもここしか使う所がない。小便器もあったが、殆ど水が流れないという仕様。ほんまどうなってんだ

風呂は、基本的に週1で掃除がされているようだった。その間、お湯が張りっぱなしである。常に蛇口が開いていて、お湯が注がれ続けている。勿体ないとは思うが、綺麗な湯を維持するために必要なことだという。ほっとけば3日間ぐらいずっと流れてる。古さはあるが、浴槽は大人が3人ギリギリ入れるぐらい。ひとりだと足を伸ばせる程度。着替え場所は、いつ変えてんのかわからないマット。一瞬で水虫になった。

そんなこんなで、気になる家賃は2万円と少し。この都市としては安いが、環境を考えるとどうだろう…といった所だ。

人間どんな環境にも慣れることができる。俺も例にもれず、この程度ならばまだ適応できたようだ。これ以上の悪い環境というと早々ないと思うので、これよりマシな所ならばどこでも大丈夫だろう。

潔癖症の人間にはまずお勧めしない。というか、タクシー運転手自体お勧めしない。


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