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叱らないで育てる~うまい先生のしている7つのこと~

先週、修学旅行に行ってきました。
その道中、みんなの前である子に注意をする場面がありました。
いま振り返っても、同じ場面になったらまた叱ってしまうだろうなと思います。
時間が無い中で改善を求める声かけは、どうしても注意という形になってしまいます。
でも、叱る側も、叱られる側も、見ている側も、気分はよくないですよね。
僕自身も、「あぁもっと早く気づいておけばよかった」と反省したワンシーンでした。
そんな中、別の場面で同行した校長が行った注意が「うまい!」と思わず唸ってしまうものでした。
そこで、子どもを叱らないで何かを伝えるために、うまい先生のしていることを7つ紹介したいと思います。

①予告して時間を設ける

注意が必要となるのは、大分すると「望ましい行動が行われないケース」か「望ましくない行動が行われるケース」です。
前者のケースに関して、"すべきこと"や"してほしいこと"を伝えた通りできるのであれば何の問題もありません。
が、いつもうまく行くわけではありません。
そこでまずできることが、"すべきこと"や"してほしいこと"と、費やせる時間をセットで伝えるということです。
例えば、
「10分後に発表してもらいますから、ノートに自分の考えを書いて下さい。」
「ご飯ができるから、5分で片づけてね。できる?」

などの伝え方があります。
いわゆる"見通しを持たせる"ということですね。
これによって、「聞いていない」「時間がない」という事態を防ぐことができます。
大人が「伝えたつもり」「言ったつもり」になっていても、言葉が曖昧になっていることもしばしばです。
そうならないためにも、行動と時間をセットで伝えましょう。

②叱る原因を取りのぞく

注意が必要となる別パターンとして「望ましくない行動が行われるケース」があります。
このケースに関して、まずできることは「原因を取りのぞく」または「原因を遠ざける」というものです。
例えば、
授業に必要のないものをしまう。
ゲームやタブレットを、目につかない場所にしまう。

といった方法が考えられます。
禁止するというより、はじめから触れなくてよい環境をつくるということです。
はじめは大人が行い、少しずつ子ども自身でできるよう促していきましょう。
子どものうちは、いけないと分かっていることも、どうしてもしてしまう、うっかりしてしまうものです。
その原因を遠ざけることで、大人も子どもも気持ちよく生活することができるようになります。

③一緒にやる

何かをしようと思ったときに、何をどうしたらいいのか分からなくてできないということもあるでしょう。
その時、まずできることは「一緒にやる」ということです。
例えば、
算数の問題を、最初から最後まで一緒に解いてみる。
片づけを、最初から最後まで一緒にする。

といった場面が考えられます。
できないことを叱らず、一から教えるということです。
これは、幼い子はもちろんですが、小学校高学年や中学生にも効果があります。
年齢を重ねてくると、「どうやっていいか分からないからやらない」という子だけでなく、「真面目にやってできない姿を他の人にみられるのが嫌だからやらない」という選択をする子も少なくありません。
そういう子と、手取り足取り、淡々と、一緒に学習を教えると前向きになってくれたり、こちらの想像以上に感謝されたりします。
子どもは、意外と大きくなっても、一緒にやって欲しいものなのかもしれませんね。

④ヒントを示す

上の③で挙げた「一緒にやる」の次のステップとして考えられるのが、このヒントを示すということです。
何をどうするかは分かったけれど、どの程度、どのような手順でやればいいか分からないといった細部のつまづきに気づくこともあります。
一度、一緒にやってみても、分からなかったりできなかったりすることもあります。
その後に見守る方法として、ヒントを示すことを考えましょう。
例えば、
作文やワークシートの、「書き方の例」を示す。
「まずは?そうだね。そして?うんうん。次に?…」のように対話を通して考えさせる。

などの方法が考えられます。
こうすることで、徐々に子どもが自分自身でできることを増やしていくことができます。

⑤「まだできない」と考える

大人が「望ましい」と思うことと、子どもが「したい」と思うことには差異があるものです。
子どもの意思を尊重することは、もちろん重要なことですが、だからと言って大人の意思を抑えこむということも、ストレスにつながります。
教師にしても、親にしても、あなたが心から良いものだと信じているのであれば、それを子どもに伝えることは悪いことではありません。
しかし、それがどうしても子どもに伝わらないときや理解できないときもあります。
そんな時は、
「まだできない。でも、いつか…」
と考えて接してみてください。
大人も子どもも、気持ちが楽になります。
子どもが何かをできない場面に直面した大人が、「いくら言ったって…」「また…」という言葉を口にしている姿を見かけます。
こうした言葉を口にしたい気持ちも分かりますが、子どもは過去よりも未来のほうが間違いなく多い存在です。
その未来に目を向けて、言葉を変換してみてください。

⑥大人がしてあげる

これは、子どもができないことを、さっと大人がしてあげるということです。
例えば、
「大変だよね。ここからは交代するから、休んでいていいよ。」
「大丈夫?こっちは片づけておくよ。」

などの声かけが考えられます。
それでは、子どもの力がつかないんじゃ…という疑問もあるでしょう。
でも、子どもを成長させる要素の一つに、大人への憧れがあります。
ガミガミ叱って指図する大人よりも、さっと手助けしてくれる大人への憧れが成長を促すということも感覚的に理解できるのではないでしょうか。
せっかくなので、かっこよく、爽やかに、手助けする姿を見せてあげましょう。
ここで、少しでも恩着せがましくしてしまうと、せっかくのカッコよさが台無しです。
くれぐれも、爽やかに、上機嫌にしてあげましょう。

⑦笑いに変える

お待たせいたしました。
冒頭にお伝えした、修学旅行に同行した校長が行った注意です。
行程の中で、水族館を見学しました。
見学を終え、お土産に買ったペンギンのぬいぐるみを持った子どもたちが集合場所に集まります。
すると…一人また一人と、ぬいぐるみを上に向かって放り投げ、キャッチする遊びが始まりました。
徐々に参加人数が増え、騒がしくなってきます。あちゃーーー。
その時、
「みんな!ペンギンは鳥なんだけどね、空飛べないんだよ。ペンギンさんびっくりしてるから、やめてあげてね。」
子ども達も、その場の大人も、みんな笑顔で自然とその遊びは止まりました。
私も、さすがだなぁと思いながら、その様子を見ていました。
注意を笑いに変えるのは、うちの校長の特技のようです。
上級テクニックではありますが、力のある先輩を参考にして身に着けたい技です。

①~⑦ができる大人の注意は聞く

最後に、それでも注意しなければいけない場面もあるのではないかというのが僕の考えです。
特に避けられないのが、危険なときや、急な行動変更を促すときです。
そんな時、上記7つのことができている大人の言うことは、子どもたちはよく聞きます。
この記事を参考に、叱る場面を少しずつ減らしてみませんか?
えぇ、かく言う私も、明日からも心掛けていきます。
大人も子どもも、気持ちよい関わりの毎日を過ごしましょう。

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