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風穴

秒針が ケツをはたき
七時過ぎの 電車へ急かす
横を走り抜ける男子の
裂いた風が 眠い目にしみる

白い息が 視界を染めて
不意によぎる 失った日々
何かを目指して 駆け抜けた道
今はもう つまずくことはない

駐輪場に 殴り書いた
落書きの謎 解けないまま
高架下に散らかった 若気の殻
逆光があぶり出す 時のかけら
寄せては返す たちこめる朝もやに

青信号 渡る途中
道の真ん中 足を止める
砂時計が つまるように
戸惑う鼓動 途切れがちに
今を 脈を 身体を 刻んで

日々が胸を うがっていく
ホコリかぶった 引き出しの誇り
あの頃のいらだちは そっとして
締め切りでつなぐ 仕事の絆
手繰っては締めた この胸の風穴に

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