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バーチャルYouTuber研究5        バーチャルYouTuber調査② 提供コンテンツ

 バーチャルYouTuber調査(東京、大阪在住のサンプル141人)の回答データの集計2回目は、その活動内容です。バーチャルYouTuberが収入を得ているのは全体の46.8パーセントでしたが、YouTubeプラットフォームからの収入源は、広告掲載、サブスクリプション(ユーチューブプレミアムと呼ばれる有料サービス)、そしてスーパーチャット(投げ銭)やチャンネル課金であるチャネルメンバーシップなど幅広くなっています。

1. プラットフォーム内外のビジネス活動は:

 まずプラットフォーム内外からの収益活動を聞いた結果です。表1は4つの活動の経験についてです。

       表1 プラットフォーム内外のビジネス活動

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「企業や団体の商品サービス、コンテンツとコラボしたことがある」、いわゆるタイアップ広告の経験者は74.5パーセントいました。これは驚きです。趣味として活動する人が半数以上いる中で、タイアップ広告は7割以上が経験しています。続いて、「企業や団体が主催する企画イベントのアンバサダーなどをしたことがある」。これも63.1パーセントと高い結果でした。バーチャルYouTuberがそのアバターを生かして企業のプロモーションに起用される機会は増えていますが、今回の調査サンプルの6割以上が経験している。この中には本業で勤める企業内で「社員ユーチューバー」として活動する例も含まれているかもしれません。そして「ライブやコンサートの配信」が66.7パーセント。これも高い割合です。後でまた詳しく見ますが、ライブ配信はユーチューバーと比べてバーチャルYouTuberの大きなコンテンツの特色です。最後は「独自の通販サイトの運営や商品開発を手がけたことがある」で、これも69.5パーセントと高い割合でした。この活動は人気ユーチューバーでもごく少数の人が展開できるビジネスと思われますが、1年程度の活動でバーチャルYouTuberにとっては参入しやすいのでしょうか。もちろん経験があるという回答なのでチャレンジや試みただけという回答も含まれると考えられます。

 これらのうち、ライブやコンサートの配信経験者94人に対して、1回あたりのライブ配信時間(分)を聞いた結果が次のヒストグラムです。

    図1 1回あたりライブ配信の平均時間(分)

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 平均値は32分、中央値は20分、9分以下が25.5パーセント、20分以下までで全体の54.3パーセント、100分を超える人は5人おり、うち最大は200分でした。今回の調査サンプルでは5割強の人がライブやコンサートを20分以内で配信していた。関連する記事ですが、日本経済新聞2020年11月18日付朝刊でバーチャルYouTuberが紹介されています。その中で「ユーチューバー動画は5分程度の編集動画であるのに対して、バーチャルYouTuberは2時間から5時間程度のライブ配信と長い」と紹介されています。これは取材などで集めた事例が一定の人気を持つバーチャルYouTuberの特徴だったと思われます。人気バーチャルYouTuberほどライブ配信時間が長くなり、投げ銭などの収益も増えていくのでしょう。

2.力を入れている活動内容は:

 次に、改めてバーチャルYouTuberがどんな活動に力を入れているか、その回答をみています。図2は、6つの活動に分けて、それぞれ5点スケール(5:あてはまる~1:あてはまらない)で複数回答していただいた得点の平均値です。

    図2 バーチャルYouTuberが力を入れている活動

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 3点以上で相対的に高い回答は次の3つです。

「悩み相談などユーザーとのコミュニケーション」

「さまざまな分野の情報や知識を伝える」

「さまざまな実験や検証」

 反対に相対的に低い回答は次の2つでした。

「ゲーム実況」

「歌やパフォーマンスのライブ配信」

 ユーザーとのコミュニケーションや知識・情報の伝達、実験や検証が多いようです。先の日経新聞記事ではバーチャルYouTuberの配信特徴は「雑談、ゲーム、歌が3本柱」と紹介されていますが、やはりこれは少数の人気者であり、私の調査では「雑談」に悩み相談が含まれますが、他は知識・情報提供や実験・検証という結果でした。

 以上、マスコミなどで紹介されるバーチャルYouTuberの活動イメージと本調査の回答の間には乖離があり、違和感があるかもしれません。しかし、これが平均的な実像ではないかという思いもありますが、総合的な考察は後にしたいと思います。

 次回はバーチャルYouTuberのアバター(キャラクター)に関する調査結果を紹介して考察します。








 

 






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