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# 連載コラム 書籍化作家になろう! 第4回 読者を襲う二の矢! あらすじ&キャッチコピーで心を射止めろ! ○○がわからない話は読まれない!

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どうも見ての通りの文学少年、野良小説編集の小山です。
夏の暑さもすっかりひいて、途端に秋めいてきて……っていうかもう冬かってくらい寒暖差おかしくありません!?
夏が長すぎたのか、冬が早すぎたのか……どちらにせよ秋らしい秋を今年は味わえないかもしれません。少しものさびしいですね。

まぁ時候の挨拶はこの辺で、今日も書籍化目指して頑張っていきましょう!
というわけで以下本編です。


☆あらすじってなーに?☆


あらすじ
今更あらたまって考えてみると、難しい存在です。
もとは粗筋、物語における粗い筋立てのことを指す言葉でした。

今のWEB小説やエンタメ小説においてはもうちょっと複雑な概念になってしまっていますね。
昔のようにただ物語の内容を書くだけでは、なかなか読者の気を惹くこともできません。

では、今の時代に書くべきあらすじとは一体どんなものでしょうか?

その問いに答える前に、あらすじと梗概の話をしましょうか。
効果的なあらすじを書く前に、まずそもそもの形を理解していないと中に何を入れても、意味が薄いです。
穴の開いた袋に水を入れ続けるようなやり方は今日で卒業です!

梗概

というわけで梗概とは何か?
これはよく公募で使われることの多い用語です。

意味的には物語の粗筋、つまり物語全体がどんな始まり方をして、どんな終わり方をするのかまで明瞭に書かれたものを指します。
つまり、みなさんがよく見るあらすじのように、ここからどうなるのか気になる! という引きで終わらせてはダメということです。
この主人公は何を見て、何を為すのか……。みたいなことを書くと一発アウトになります。
ネタバレするつもりで結末までしっかりと書きましょう。

起承転結をしっかりと整理して、主人公がどんなキャラでどんな物語を繰り広げてどう終わるのか、それを800字程度でまとめるのが梗概だと理解してもらえれば。

基本的には公募する時につけるあらすじはこの形式ですが、そこ以外では梗概としてあらすじを書くとあまり読者受けが良くないので、試験対策で古文漢文を勉強するようなものだと割り切っておくといいと思います。

使う機会がないとは言わないけれど、普段使いはしないものです。

あらすじ

逆にあらすじはおそらくみなさんが一番見慣れている形式ですね。
主人公にこんな特別なところがあって、序盤でこんな展開があって、ここから一体どうなっちゃうの~~!?
ってやつです。

すごい漠然とした書き方ですが、あらすじの基本は実際こんなものです。
いつ、どこで、誰が、何を、どんな理由で、どうするか。
5W1Hさえしっかりと書いてあれば、及第点です。
そのうちで重要なのは、誰が、何を、どんな理由で、どうするか。
特にWEB小説ではファンタジー的な世界観のお約束が共有されていることも多く、いつ、どこの2点に関しては触れなくていいことの方が多いです。

なので、最初に言ったような感じで、

  • どんな主人公が(能力・チートや出自)

  • どんな障害や目標に(ヒロインがさらわれた、ライバルに勝ちたい)

  • どんな理由で(馬鹿にしたやつを見返したい、弱い自分が許せない)

  • 立ち向かうor乗り越えるor受け流す。

というのをより読者受けしやすい形に整えていくのが良いあらすじです。

読者受けしやすい形については後述しますので、待ちきれない人、特にカクヨム以外で活動している人は次の項は飛ばして一番目玉っぽいところから読んでみてください。


☆キャッチコピーって必要?☆


箸休めみたいになってしまいますが、キャッチコピーについて語ります。
これに関しては導入しているサイトが少ないというのもありますが、煽り文の一種なので、あらすじにまとめて入れてしまうのが良いと考えています。
なので、あまり個別に話してもなぁと思っているんですよね。

でもカクヨムではこれが上手くできているか否かで伸びがまったく違いますし、あらすじに入れるとはいってもやり方自体はキャッチコピーを書く場所があらすじというだけなので、知っておいて損はないとは思います。

というわけで、キャッチコピーとは何なのか?

元々は人の気を惹く広告文という意味の英単語を合わせた和製英語です。
なので、目指すべきところは簡単です。
タイトルやあらすじ、1話を見てもいいかな、と読者に思わせることです。

そのために重要なのが、煽りです。

よく連載漫画のラストに編集が「次回、どうなるのか!?」みたいな煽りを入れてるのを見たことがある人もいると思います。
売っている小説や漫画の帯に「チートで無双!」「不遇だった私がこんな幸せに!?」みたいな文言が入っているのも見覚えがあると思います。

それらが煽り文。
読者が続きを読みたいと思ったり、この本を買いたいと思うのを手助けするキャッチコピーです。

必要か不要かで言えば、必須の存在です。

より読まれるためには、入れない方が損ですからね。
1人でも多く読者の気を惹けるなら、やれることはなんだってやりますよ。

ただ、キャッチコピーを効果的に書くことは想像以上に難しいです。
僕たち編集者が帯文にどれだけ頭を悩ませるか。
なぜコピーライターという専門職が存在するのか。
それらが、キャッチコピーを作る難易度を端的に表しています。

端的に、キャッチーでいて、内容を的確に表し、誰かに広めたくなる。
それが優れたキャッチコピーの要件だと思いますが、そんなものが量産できれば誰も苦労しません。
「そうだ、京都に行こう」なんて神がかったキャッチコピーは一朝一夕で考えつけるものではないのです。

でも、考えて出てこない代わりに、思いつくことはあり得ます。
天から降ってきたみたいにピタリとはまるキャッチコピーを思いつけた時、その作品は爆発的な伸びを見せると思います。
丁度カクヨムの年間トップを張っていた『凡人転生』のキャッチコピー、「しまった……努力しすぎた……」のように。

というわけで、優れたキャッチコピーを一発で出すのは難しいまでも、基本だけは覚えていきましょう。
基本さえ覚えていれば、そのうち天から降ってきます。
こういうのは数です数。いつかいいものができるまで作り続けて、経験値をためるのが一番の近道です。

まず、タイトルやあらすじの内容を要約する方法
どんな能力でどんな境遇で~、みたいな長文タイトルやあらすじを要約してしまって、とりあえずそこに興味があればもうちょっと見ていきませんか? とやる方法。

これのいいところは、ただ要約するだけなので難しいことを考える必要がないところ。手軽にできます。
悪いところは、タイトルやあらすじを読めばわかることしか書いていないので、プラスの要素になりにくいこと。

せっかくキャッチコピーとして別枠があるのだから、タイトルやあらすじと相互補完になっていたり、追加でもっと興味を引けることをした方が効果的です。

なので、おすすめがこちら。
タイトルやあらすじに書ききれなかった補足情報を書く方法
伝統的な例で言えば「ポロリもあるよ」というやつですね。

これのいいところは、読者の気を惹ける要素を置けるので、キャッチコピーからの流入が純粋に増えること。
悪いところは、本筋とは関係ないおまけ情報を使うことが多いので、タイトルやあらすじ、本編に対して興味を持っていない読者まで寄ってきてしまうところです。
ほんのちょびっとだけ低評価やよくない感想のつく率が上がります。
まぁ人気作になれば避けられないことなので必要経費と割り切ってしまえばいいとも思いますが。

そして最後にもう一つ、ランキング上位作品に多いやり方です。
主人公がその作品に対してツッコミを入れるタイプの方法
大伸びする作品はこれを使っているケースが非常に多いです。
ただ逆に言えば、センスが必要とされる上にキャラ立ちしていないとなかなかうまくいかない方法です。

これのいいところは、主人公と読者の作品に対するスタンスが一致するので、共感度や没入度が上がること。
人は自分の意見が肯定されると、肯定した相手を好きになりやすく、自分が好きになったものをより好きになる傾向があります。
なので、読者が作品の展開に対してツッコミを入れたいと思うだろうところを用意して、それをキャッチコピーで主人公にツッコませる。
まぁツッコみじゃなくてもいいです。主人公が作品の展開に対して思うところを吐露して、それが面白くて読者目線で理解しやすければOKです。
そして、理解できるけれど、その感想はおかしいだろ! と読者に再ツッコミさせられるキャッチコピーが最上です。
ここまでくると天から降ってくるレベルのキャッチコピーになってしまうので、目指すべきではありますが、こだわりすぎないのがいいと思います。

悪いところは、センスや時の運に頼ってできているものが非常に多く、再現性が低いこと。
キャラ立ちというエンタメ小説における奥義のようなものをある程度納めていないと、作者のボヤキにしか見えず逆に読者を落とすこと。

正直これを使いこなせる人は書籍化で困るようなレベルにいないはずです。
一定以上の人気を集める人がやる方法なので、最初は前者2つの方法から試していって、そのうちこれができるようになればいいと思います。

☆○○のわからないあらすじ&キャッチコピーは逆に読者を遠ざける!☆


というわけで、ここまではあらすじやキャッチコピーを書くための基礎的な考え方を語ってきました。
ここからは、もう一歩踏み込んだ効果的なあらすじ&キャッチコピーの書き方について語っていきます。

お待ちかねの方もいると思うので、ぶっちゃけて言ってしまいましょう。

○○のわからないとは、ズバリ面白さ、読みどころです。

「面白さがわからなかったらそりゃ読まんだろ!」と思った方。
あなたのあらすじは本当にその作品の面白さを表すことができていますか?

先ほどあらすじの書き方は5W1Hをしっかり書くことだと言いました。
ですが、この5W1Hはどういう作品なのかを説明しただけであって、それ以上のことには触れていません。

つまり、あなたにとって読むとどんなお得なことがありますよ、ということをアピールできていないというわけです。

すごい不遇な主人公がいます! 周りのやつらは全部悪いやつです! 主人公は頑張って足掻いています!
といくら書いたところで、一般的な読者は読みたいと思いません。
なぜなら、主人公がどんな境遇にいても読者にとっては何の関係もないことだからです。

「さっき言ったことと矛盾しているぞ!」と言いたいのは分かります。
順序の問題です。
まず、どんな作品なのかわからなければそもそも興味を持てない。
その上で、どんな面白さがあるかわからなければ読みたいと思わない。

すべてを一つにまとめてしまうと何事も上手くいきません。
あらすじと一言にいうときも、それがどんな理由で何を目的に書かれているのか、それを意識して書くだけで全然効果が違います。
ステップバイステップで考えていきましょう。

というわけで、面白さを読者にアピールするのでおすすめなのが、
チートで主人公が無双します! ヒロインたくさん出てきます! 主人公溺愛されます! 悪いことしてたやつには罰が下ります!
と素直に書いてしまうことですね。
ちょっと安直ですが、その分わかりやすいです。

例えば、鍛冶師がチートでスローライフするという筋立てを5W1Hで書いたとしましょう。
これだけだと、地味ですよね。
剣を打って日々を暮らすって、ほのぼのはしていますけどおじいちゃんみたいです。

でもその後に、かっこいい武器がたくさん出ます! みんな女の子に変身してハーレムやります! と書いてあれば、がぜん読みたいとみなさん思うのではないでしょうか?
武器がたくさん出るならバトルもあって日常非日常の起伏が激しそうですし、みんな女の子になるなら日常も華やぎますよね。

そしてこれが、前段で話したあらすじにキャッチコピーを入れ込む、ということなのです。
どんな物語なのかを書くのがあらすじ、そしてどんな面白さがあるのかアピールするのがキャッチコピーです。

  • あらすじ=鍛冶師がチートでスローライフする

  • キャッチコピー=かっこいい武器がたくさん出ます! みんな女の子に変身してハーレムやります!

すごい簡単に例を出せばこんな感じです。
あらすじの部分をしっかりと書きこめばそのまま作品に使えると思います。
ここの鍛冶師とかスローライフみたいな単語を置き換えてぜひ効果的なあらすじやキャッチコピーを作っていってみてください。

☆終わりに☆


そろそろまとめに入りましょう。
今回の第4回で話したかったのは、あらすじもキャッチコピーも形は簡単につかめるけれど、プラスアルファがないと逆に読者が去ってしまうということでした。

色んな具体例を出して説明してみましたが、いかがだったでしょうか?
最初はランキング上位の作品の書き方を真似てみるのが多分一番上達に効くと思います。
何事も真似から入るのが一番です。そのうちオリジナルになっていきます。
守破離です。

あなたが読者だった時にこの作品を読みたい! と思えるようなタイトル、あらすじ、キャッチコピーを作っていきましょう!

さて次回の第5回では、
どんな作品が受けるのかわからない! アイデアの出しかた、整理の仕方ってどうすればいいの? トレンドとなる○○を見逃すな! 
という内容でやっていきます。

とりあえず読者に対しての顔見せとなるタイあらまで話しましたからね。
実際に本文に入っていくためのお話を始めていこうと思います。

タイトルやあらすじ、その他細かい各項目をまとめて雑に一記事で説明してしまうこともできますが、この連載シリーズは全部読んで実践すれば書籍化できることを目標としているので、一つ一つの要素を深掘りしながら進めていこうと思っています。
次の配信は9月28日(木)を予定しています。
ちょっと事情があって4日後の更新予定です。

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コメント・感想もめちゃめちゃ喜びます。

スプリングをダメにしてしまうくらいベッドの上で跳びはねるでしょう。

また、以下に有料記事を載せています。
無料部分では書籍化するための方法論、有料部分ではさらに発展した書籍化し続けるための方法論について書いています

今回は商業において編集者の作るあらすじは、小説投稿サイトでよく見るあらすじとは作り方が違う、という話をします。
無料部分では作家向けに説明しましたが、では編集者は普段本を作る時にどうやってあらすじを作るの? という話です。

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それでは、ここまでお読みくださりありがとうございました!
みなさんの反応、感想をお待ちしております!
見ての通りの文学少年の提供でお送りしました。


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